八十三話
夕食を食べ終わった後。
アスカ皇国産のお茶を二人に振る舞いながら明日の予定について話す。
「明日は周辺に巣くっているハイオークを討伐しようと思うのですが」
「改まって言うってことは師匠何かあるんですか」
よくわかっていないミリアーヌが首をかしげながら聞いてくる。
「ミリアーヌさん奴らは基本的に群れで襲ってくる上に武器を巧みに使ってきて魔法も使ってくるような個体もいるんだよ」
「それはリザードマンと大差ないのでは」
「軽く偵察をしてみましたが街に近い規模の群れが何か所もありましてね」
「ウィリアムさん。そう言い出したってことはその街に近い群れを討伐するんだよね」
「私が参加すれば討伐は簡単ですがせっかくなので二人には頑張って狩って貰って経験値稼ぎをして貰おうと思いましてね」
人は魔物や生物を倒すと理由はわかっていないが強くなっていく。
「今までも思っていましたがウィリアムさんってスパルタですね」
「もう少し他の魔物を相手にしてからとも思いましたが事情が変わりましてね」
「事情が変わったとは」
「どうも魔物を人為的に増やそうと動いている人達がいるみたいなんですよ。このペースで増えられると私でも討伐に手間取ってしまいますからね」
「人為的にですか」
「邪教である魔王信奉者と呼ばれる方達です」
「師匠。その方達って圧倒的少数で毒にもならないから教会でも無視するような組織ですよ」
「お二人には話しておきましょうかね。彼らが信奉する魔王は実在していて彼らはその魔王の為に魔物を増やしておきたいみたいなんですよ」
セバスチャンは後ろに控えておりお茶のお代わりをそそいでくれる。
「魔王とはどういう存在なんですか」
「我々がいる世界の他にもいくつか世界が存在しているのですが悪魔や魔族が住んでいる魔界と言われる世界における貴族の総称のことです。セバスチャンは上級悪魔で貴族の一員なので魔王の一人でもありますね」
「セバスチャンさんって悪魔だったんですね」
「そんな大物に給仕させてるウィリアムさんって」
「横から失礼いたします。補足いたしますと破壊神の落とし子と呼ばれる魔人が王族としております。彼らのこと魔界では大魔王と呼びます」
「大魔王は人間界に興味はしめさないのか」
「人によるとしか言えませんね。ですがめったなことでは動かないかと思われます」
「話を戻しましょう。彼ら魔王は魔界にある転移魔法陣を通ってこちら側へやってきます。そして増やされた魔物を使役して人間を滅ぼそうとするのです」




