三十八話
陣地を追撃に参加していた領軍に引継ぎロッテムハルトに戻ってきた。
日給と戦争で消費した分の物資代を無事貰い冒険者ギルドに顔を出す。
併設された酒場の方を覗き込むと目当てであるダッカス達がいた。
テーブルに近づくと向こうも気付いたのか声をかけてくる。
「よぅ。ウィリアム戦争に行ったと聞いて心配してたが元気そうだな」
「ウィリアムさん魔術書ありがとうございました。おかげでかなり助かっています」
「そうそう。おいらたちBランク試験に受かったんだよ」
自慢するようにフェンがギルドカードを見せつけてくる。
「お役に立てたようでよかったです」
「今日はゆっくりできるんだろ。よかったら戦争の話でも聞かせてくれ」
こちらは戦争の話をしダッカス達はここ最近の依頼の傾向を話してくれる。
かなりの時間を過ごした後ミリアーヌが訪ねてきた。
「宿屋にいってもいないし師匠探しましたよ」
「何かあったのかな」
「王都の教会で洗礼を受けることになりまして。師匠は王宮から呼び出しを受けていますよね。道中ご一緒させていただこうと思って」
「王都の教会ということは聖女認定されたのか。おめでとう」
「ありがとうございます。これも師匠のおかげです」
「ウィリアム。俺達にも紹介してくれないか」
「申し遅れました。ウィリアム様の弟子になりましたシスターのミリアーヌと申します」
「ウィリアムさんには我々も魔法の手解きを受けていますし弟子といってもいいんですかね」
「やめてくださいよ。今まで通りでお願いします」
「しかし、ウィリアム王都に行くのか」
「王太子殿下に呼ばれていまして」
「ウィリアムさんは凄腕の魔術師ですからね。抱えておきたいと思う王大師殿下の気持ちもわかります」
「いつ頃発つんだ」
「明日には向かおうかと思っていますよ」
「ぇー せっかく修行の成果をウィリアムに見て貰おうと思ったのに」
「すぐ戻ってくるつもりですのでその時に見せてください」
「約束だからね。明日からも頑張ってウィリアムを驚かしてやるんだから」
「フェンは今まで使えなかった魔法が使えるようになって楽しいのですよ」
「私にも覚えがありますね。新しい魔術の事を考えていると時間のたつのを忘れてしまう」
ミリアーヌを加えて飲み直し夜は更けていった。




