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俺はクール、私は怠け者  作者: 火憐ちゃん
5/10

超越級第8位

台風により定時帰宅

です


爆発ドールズ事件から早1か月

重力女は俺らからではなくオバサンから聞いたらしく、それ以来交流はない

魔術男もどうにか復帰したらしい


そして、クールが代名詞の俺は珍しく目の前の紙切れ一枚に怯えていた


「…降格される」


降格通知書である

ランクは上に出てくれば、その下にいるものは落ちる


そして、少し前まで1988位だった俺は…

1999位

目の前には次の昇級者が現れれば俺はそこそこごみ級へと格下げされる絶望的な報告書が送り込まれていた


「どうしようか…」


俺としては、降格だけは避けたい

そこそこごみ級になるのだけは絶対ごめんだ!!


頼みなのは相変わらず1000位前後をキープしている現在1007位のローラ

俺の部屋の俺のベッドでグデグデ寝てるローラへ助けの目を送る


「ん~昇格っていうよりも順序上げるクエスト受けようか~」


俺の目線に気付いたローラが女神のようにアドバイスをくれる


「わかった!!よし受けに行くぞ!!!」


「うぇ~い」


無理矢理腕をつかみ、強制的におぶらせて集会所へと向かう

クールな俺としてはそこそこごみ級とかそんなクソみたいな称号はいらん!


集会所についた俺らは早速クエストを探す

と言っても俺はキョロキョロして面白そうなのを探す役割

イヴはきっと俺の順序をあげるためのクエストを探してくれているだろう


順序上げに必要なのは簡単で、当人にとって難しいレベルのクエストを受けるだけだ

あれ以来、殺戮目的で格下クエストを受け続けた負荷が今俺に降りかかっている


「あ…楽なの見っけ~これなら他チームいるけど、楽にできる」


「ん?」


ローラが見つけたのは、一枚の紙

内容は城落とし

超級以下と組み、城を落とす

単純であり、殺戮解禁であり、超級以下であれば一人いれば城落としなんて釣りがくる


つまり、余計な縛りは無く、順序を上げられ

好きなだけできる最高のクエストである


「んじゃ決定!!さぁ今すぐ行こう!これなら私たちのチームで最低人数行けるから楽だね」


またやる気を出した

今日は…共通の近接訓練がある日だ


やはりそれか

だが、無駄に一杯ある用紙からこれを引き当てるローラには感謝のしようがない

ってもいつもおんぶしてるからチャラだな


「んじゃ行くかぁ」


人数が揃えば、校内放送が始まる

人数が揃ったのは俺らはわかるので、直接集合部屋へと向かう


集合場所についたのは当然ながら俺らが一番だった

あとは、序列高いのが集まってくれて俺らが楽できれば一番だ

俺は顔見ただけじゃ、わからない

だが、ローラなら目ぼしいものはわかる

チームワークって大事だな

そもそも、ローラなら見ただけで大体の順位は分かるという

魔力を見て感覚でわかるそうだが、俺にはできない


1時間もぼーっとすれば大体集合される

チラホラとローラが一瞥し、一礼し言葉は交わさずにテキトウに陣取っていく

そしてその度にローラの顔が青くなっていくのが俺にとっては一番問題である


残りは超級だけっていう状態であるが、ローラは青い

もはや顔面蒼白である


俺はそれを見て理解している

序列が全員ローラより低いのだ


今回のクエストには序列の指定はなし

つまり誰でも参加できる。さらに超級がいればぼろい

それを考えれば順位上げ狙いのカスどもが集まるのも当然である


少なくとも強級はチラホラいるだろうというのが、ローラの狙いである

これが、499位の超級であれば正直しんどい

敵の勢力は知らないが、かない厳しいことになる


そして、最後の一組

つまり、超級以下のお出ましである

丁寧に扉があけられ、そこから現れたのは刀を杖にして歩いてくる一人の少女であった


「うわぁ~まじか…」


コツコツと音を響かせて歩く少女

俺はわからんが、ローラはそれを見て顔面蒼白やる気なし状態から復活した

そして、周囲もざわざわと騒ぎ始める


「どうも、初めまして…私はカンナと言います。盲目ですが戦えますので今回のクエストはともに頑張っていきましょう」


丁寧な物言いに釣られて頭を下げてしまう

何だか、そうしなければならないという感覚がある


「カンナってやつ誰?超級?」


こっそりとローラだけに聞こえる声で質問する

ローラが答える前に、クスクスっと綺麗な笑い声が響いた

そこまで大きな声で無いが、透き通るような声は集合場所へ響いた


「失礼しました。改めまして私はカンナ…二つ名は殲滅、超越級第8位です」


カッチリと記憶が嵌った感覚がある

二つ名を聞けば一発である。

殲滅のカンナ、我が校が誇る超越級のトップ10に入る実力者

よく知らないが、盲目の刀使いで超強いらしい

噂では開眼すると超強くなるとか

いや、ありえんな


「さて、ではいつも通り私が戦場の先頭に立ちますが、あいにくの盲目なのでサポートを依頼します。私の次に順序が高い方は?」


ニコニコと笑う少女


「覚えてよ。カンナ、序列8位で武器使い、刀使わせたら誰も勝てない。盲目で常に城落としを行う超越級。歳は私と同じ17歳。めっちゃ可愛い!!」


ローラから一通りの情報がインプットされる

ローラから覚えろと言われたものはキチンと覚えることを意識している


「あれ?その声はローラちゃんじゃないですか!お久しぶりですね」


先ほどの笑みとは少し雰囲気が違う笑みを浮かべてローラを呼ぶ

ほんわかした笑みからほんわか嬉しそうな笑みに進化した


「あと、私の同期だよ…ローラ久しぶり~まことに残念だけど、次の順序は1007位の私だよ~」


立ち上がり、ふぇふぇ~と効果音が似合いそうな感じで歩きながら近づくローラ

手を伸ばすとカンナはそれを取り、両手で掴んでぶんぶんと縦に振る


「ローラなら安心です!でも1007位ってローラちゃんがですか?」


「私は前からめんどくさがりだからねカンナが強すぎんだよ」


旧友という感じで嬉しそうにするローラ

長年付き添っている俺としてもそれは珍しい表情だ


「でも、私チーム組んでるからカンナのサポートはイヴに任せるよ」


来い来いと俺に向けて手を動かす

ローラに導かれるようにカンナに手を差し伸べる


「初めまして、私はカンナです。よろしくお願いします」


「俺はイヴでローラのパートナーだ」


差し伸べた手を握手へと変える


「…っ」


周りの声はどうでもいい…物凄く強い。気配なんかはわからないが、握った感覚で勝てないと自覚できる。

細い腕にしなやかな身体で可愛い少女、目の前に立つと身長もローラほどではないが160㎝あるかないかだ

さらに盲目である。

強い要素はまるでないが超越級8位

だが、世界が逆立ちしても勝てないと感じることができる

俺の尊敬する師匠的な存在よりは恐らく弱い

それだけだ。師匠的な存在と出会ってなければこの相手が強いという感覚すら知らなかっただろう


「私は一応、頑張れば周囲を視ることができるのですが…あ…あまりしたくなくて基本的に手をつないで貰ってもいいでしょうか…戦場に出れば離して貰って結構ですから。えっと…あと…さ…作戦とかは一緒に考えてもらえれば…」


初対面だからか、ローラとはまるで異なりおどおどとしている

恐らくカンナは気が弱いが、芯がちゃんとある子であると思える

どんだけ強いのか…さて、超越級の戦いは初めて見る

今回だけはローラには悪いが、殺戮よりも本当に強い奴の力を見てみたい


そしたら師匠的な存在に近づけると思う


楽しんで見ていただければ幸いです

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