エピローグ『白き王』
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「あれ、来てたのかい?」
真っ白な髪を靡かせながら入室した先。
L字ソファで寛ぎながらスマホをいじるその姿に、久遠寺御言は驚きを示しつつ……しかし一瞬後には、柔らかな微笑みを浮かべた。
「来るなら来ると事前に言ってくれれば、お茶菓子の一つも用意したのに……相変わらず唐突だね、君は」
穏やかな言葉に、対面する男は軽薄に嗤った。
「ほざけよ【中庸】。テメーからの貢物は受け取らね〜ようにってなぁ、俺の地元じゃ昔から言い伝えられてんだよ」
天辺の逆理……全ての悪の免罪符、明石真が嗤う。
狂気じみたその嗤顔に、久遠寺御言は柔らかなばかりの微笑みを返した。
「それは寂しいな。『俺』としては、久々にこうやって逢えた友達には、少しでもおもてなしをしたいばかりだったのだけど」
「それこそいらね〜世話だぜ。特に今回はな」
明石真が、笑った。
「テメーの差し金だろ、アレぁよ」
「なんのことだい?真」
「とぼけんなよ王様。阿島京介さ。あんな出来過ぎのタイミングでスーパーヒーロー参戦……偶然で片付けるにゃあんまりにもって話だぜ。お陰でこちとら死にかけだ、全く」
「それは大変だったね——お気に召さなかったかい?」
「い〜や、最高だったぜ。あんなにひりついたのは久々だ」
「それは良かった」
二人、ひとしきり笑った後に。ふと、明石真がその目を微かに細めた。
「……けどよ、今回は些かテメーらしくなかったじゃね〜か」
「どう言う意味だい?真」
「詰めが甘い上に、狙いがわかりやすすぎるって話だよ……ま、テメーのやりたい事から考えりゃ、アレほど適任な『パラドクス』他にはね〜からな。テメーが欲しがるのも無理ね〜か」
久遠寺御言が、微笑う。
「さぁ、どうだろう。そこに関しては『俺』の方こそ聞きたいな……どうだい?彼女は〝火種〟になるかな?」
「微妙なトコだな。そもそもアレの特異性に勘付いてる奴は今時点じゃほぼ皆無だろ。ま、ただの『パラドクス』関係者じゃまず辿り着かね〜ロジックだしな。実際俺も気付いたのは静の家でやり合ったタイミングだったしな……実物見なきゃ思い至らね〜ぜ、ありゃ……ついでにちょいと教養まで求められるしな」
久遠寺御言が、微笑う。
「三文役者も最強ヒーローにも気付かれてない……狙い目としては悪くね〜んじゃね〜か?」
「ふふ、君のお墨付きが貰えると心強いね、真」
久遠寺御言が、わらう。
「伸之達〈無名〉との戦争が始まるまで、もう間もないだろう。馨の存在が白日の下に晒された今、これまで守られていた拮抗に最早意味は無いからね」
「で、最強ヒーロー諸共巻き込んで、カオス作って、アンタは望みを叶えて世は事もなし、ベリーハッピーエンドって訳だ……賢い奴の考える事はつまんないね〜、全く」
「ふふ……じゃあ、君が阻止してみるかい?真」
「嫌だよめんどくせー……けど古い馴染みだ。一個だけ忠告はしといてやるよ」
「へぇ、なんだい?」
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「爆弾を一つ仕込んどいた。不発に終わる目も多分だが、アイツらが俺の見込み通りなら、今回はそう全部が上手くいくとは限らね〜ぜ……そう簡単に、仙波星翠を好きに出来ると思うなよ〜?御言」
——久遠寺御言が、咲った。
「あぁ、それはいいね。楽しみにしておくよ、真」




