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「えっと、レオン。もう3日めです」

 あれから、レオンはハーブ系の草を採りまくっていた。日をまたいで復活したのも全部。

 わたしはほどほどにハーブと鉱石を採っている。けれど、薬草と木材はまだだ。

 レオンはハーブを、指輪型アイテムボックスに放り込んでいる。ハーブを取り尽くすと、豚鬼オーク狩りだ。肉も大量に入れていた。どれだけあの焼き肉を好きになったの。

 ダンジョン内の食事は、わたしのインベントリにしまっていた、宿で作ってもらった湯気の出てるお弁当とか、レオンのアイテムボックスから、パンや肉類とか、同等に出していた。


 わたしは鉱石掘りに飽きて、料理に使えそうなハーブのイラストを、インベントリにしまってあった紙と鉛筆で描いた。覚えてるだけで、8種類くらいあったかな。

 全部は知らない。スパイスもハーブも、加工済み調味料セットで持っていただけだし。生の草の状態で知っているのは、カモミールって花だけだ。

 葉の形を正確に描けるのは、若いころハーブのことを調べていたから。よく覚えていたな。


 調理法は、うやむやだ。簡単な料理しか知らない。『料理』スキルを取ったら分かるかしら? ちょっとウズッとした。

「そうだな、これくらいにしておくか。また、人に依頼出すのもなんだなぁ……どうしよう」

「ダンジョンはこれだけじゃないんでしょう? どこでも採れるわよ。とりあえず、いったん初心者ダンジョンの攻略に戻りましょう」

「ああ、これでこのダンジョンの価値も上がるな。冒険者たちが、豚鬼以外にも躍起になりそうだ。アキのお陰だ」


 レオンは、5階へ続く階段への進路をとる。

「ねえ、レオン」

「なんだ」

「パーティーって、組まないの?」

 レオンの顔に困惑が拡がる。けれど移動のための足は一定のスピードのままだ。

「一応、級の差があっても、俺とアキはギルドに仮のパーティー申請は出してきたが。パーティーにはなっているはずだ」

「なるほど。『ギルドにパーティー申請』。書類上ってことか」

「どう言うことだ?」

「いいえ、それで通用しているなら、言うことはないわ」

 レオンの足が止まった。


「どう言うことだよ?」

 同じ言葉を繰り返す。

「うーん。……まあいいか。ダンジョンに入って、レオンが敵を倒していても、わたしには経験値が入ってこないなーと」

「んん??」

「『書類上』でパーティーになっていても、実際にはパーティーを組んでいないのかって」

「……」

 レオンは、無意識だろう、腰に佩いた剣の柄を握りしめていた。

「普通のパーティーには、わたしみたいに非殺傷の人はいないだろうから、とどめを刺す人だとか、戦闘に参加している人は一発攻撃を与えるだけでも経験値をもらっているんだろうな、と思っただけよ」


「なら、『戦闘に参加していな……』森では、アキがとどめを刺したか。俺も、攻撃していた……」

「うん。ダンジョンでは採取だけ。経験値が欲しいわけではないし、別に良いわ。スライムではもらっていたし。疑問は解消したから」

「……良くない。全く良くない。『本当のパーティー』になる方法を教えてくれ」

「えー」

「教えてくれ!」

 レオンは本当に背が高い。158cmしかないアキが見上げるほどデカい。おおよそ、180cm台後半、190cm台かも。


 見上げないと、胸の辺りしか見えない。首が痛くなる。まあ良いか、とため息をついた。

「『パーティー申請』」

 首の鎖骨辺りを、宣言しながら1本指で触る。ステータスみたいな、ポップアップみたいな淡く光る石版みたいなのが出てくる。

「『この者と、パーティーを組むか?』」

 石版に書いてある文を読み上げる。あとはお決まりのはい / いいえだけだ。はいを押す。

「終わり。パーティー申請来た?」


 おそらく、レオン側しか見れないあの石版みたいなのが現れたのだろう。ちょっと身体が揺れてた。驚いたみたい。大した精神力だ。

「これか……外し方は?」

「『パーティー申請』した人が、そのパーティーのリーダーだから、その人が『除名』だとか『パーティー解散』ってしっかり心で強く願いながら宣言すれば良いわ。解散もしてみる?」

「ああ」

「『パーティー解散』」

「なるほど、やはり、同意を求めてくるんだな」

「同意を求める普通の『解散』で解消できないとき、『パーティー強制解散』もあるわ。付きまといはできないようになってるの。パーティー申請自体、同意なき申請はできないわ」


 ゲームでのパーティー申請と同じならね。『転生』のとき、『神さま』はわたしの中の『ゲーム情報』を読んでいたのかしら。

 本当に現実にゲームを落とし込んでるみたい。

 他の人は、わたしと関わらければ以前のまま、関わったら『ゲームがある現実』に書き換えられるのかな?

「この、本当のパーティーになると、経験値とやらがアキにも手に入る?」

「ええ、隠れてても、レオンが倒してくれたらレオンももらえるし、わたしももらえる。パーティーリーダーが、パーティーを作るときに、色々条件を付けることもできるわ」

 レオンが、石版を出したままじっくり見ているようだ。


「あと、ダメージを受けたときも傷が分配される。強い敵の攻撃を、一人で負わなくなるから、致死攻撃でも充分生き残れる」

「っダメだろうそれは!」

 自分だけで受けようと思っていたのだろうレオンが、焦る。

「ダメージ分配は、当然じゃない? パーティーなんだから」

 ホントは解除する方法もあるが、言わないでおく。

「いや、俺はずっと以前、パーティー仲間に傷を負わせていて。俺が受ければ良いと……アキの攻撃役にもなったし……」


 問答無用でもう一度、パーティー申請をした。何の設定もなしに。デフォルトパーティーは、ドロップランダム、経験値均等分配、ダメージ均等分配だ。

「パーティーに入った?」

「…………こんな機能、聞いたことがないな」

 レオンが渋々うなづきながら、つぶやいている。ダメージ分配が気に入らないんだろう。

(これでレオンを無理させずに済むわ。わたしに入るダメージを気にして、無茶な行動もしなくなるだろうし)


「腕を出してみて」

 レオンが腕の装備を外す。素直だなー。

 持っていた採取用のナイフで、自分の腕の同じ部分をひっかくと、レオンの腕にも小さな赤い線ができた。

 ナイフを取り出した時点で慌てていたけれど、腕の傷を見て納得している。

「ね、分配だから、ダメージは少なくなるの。結構なチカラでナイフを振ってみたんだけど」

 レオンは吹き出すように笑う。

「赤ちゃんみたいな力だもんな、傷にもならないよ」

「もうー」

 腕にまた装備をつけ直し、しげしげと装備を見ている。うん、そう。

「装備によって、もっともっとダメージは軽減されるわ」


 わたしにも、軽装系の装備が必要になってくるかも。

 レオンはまた歩き出した。

「次の階からは、敵にも攻撃方法に遠距離系が混ざる。隠れていても、攻撃は来るぞ」

「大丈夫。策はあるわ」

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