番外編:鬼の仮面の行方
母さんの付き添いで、菊田家の屋敷に来たオレは暇つぶしに廊下を歩いていた。
「あっ!しょーう!」
突然大きな声でオレを呼ぶ声。夢歌だ。
「おぉ!夢歌。どうした?会議か?」
「そう」と返事をした彼女は少し疲れているようだった。
すると、紫がかった瞳がこちらをじっと見つめてくる。
「ねぇ、翔。鬼の仮面はどうしたの?」
首をかしげて、可愛らしく聞いてくる夢歌。
ドキリとしつつも、いつもと同じように接する。
「あぁ〜。お嬢様があの仮面を怖がったらしくてな。何も喋らなかったのが余計怖がらせたらしい。」
そう、あの仮面は二回使っただけで終わった。
「そっか…」とちょっとへこんでる夢歌に、
「オレ的には結構気に入ってたんだけどな!」
とフォローを入れる。
「じゃあ、自分でまた選び直したの?」
「いいや、母さんが選んだ。自分で選ぶって言ってんのによ。」
「美華さんが?」
「あぁ」
そう返事をすると、夢歌はいたずらっ子のようにニヤリと笑い。
「ねぇねぇ、見せて見せて!!」
幼稚園児のように無邪気にいう彼女は眩しくもあり、可愛い。
カバンの中から仮面を出して渡す。
「ほらよ。」
「狐の仮面だ!…そういえば他の人達も狐だったな。」
「あれ?」と首をかしげる夢歌に、
「母さんが『他の部下たちも狐にしちゃいなさい。』って言ってな。お前とバカ女以外は全員、狐になった。」
黙ってしまった。
せっかく選んでもらったのに変えてしまったことに怒っているのだろうか?
それとも泣いている?!
「お、おい?」
慌てて声をかけると
「翔は副リーダーなのに…。なんで部下たちとお揃いなのさ!ウチもみんなとお揃いがいい!!」
違った。
部下たちとお揃いなのに怒ってた。
「まあ、母さんが言ったことだから仕方ないだろ。」
と、宥める。
複雑だが、むぅ〜と膨れてるのが可愛く見えて仕方ない。
ツキサが夢歌に対して膨れててもなんとも思わないのにな。
「あっ、そうだ!」
ガサゴソとし、カバンの中から何か出した。
ミサンガか?
それを仮面につけて返された。
「これでウチともお揃い!」
右足のほうを指差し、見ると同じ色のミサンガをつけていた。
赤、紫、水色。
「あとでツキサにも渡すんだ!またね!」
帰っていく夢歌に手を振り、自分も母さんの方に戻る。
「『ウチともお揃い』か」
部下たちと同じなのが気に食わなかったんじゃない。
オレともお揃いじゃなかったのが不満だったんだ。
「なぁ〜んだ、みんなってそういう意味か。」
ニヤける顔を抑えながら、「敵わないな」そう思った。




