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赤く染める
鮮やかな景色を
愛しいあなたを
赤く染めて
夕焼けよりも眩しく
鮮血よりも濃く
あなたの笑顔も言葉も声も
自分の感情も流した涙も表情も
滲みゆく景色 霞みゆくあなた
何もかもが消えていく
赤く染めなければ
私の記憶は赤くなければ
何も残すことができない
『赤』という色が 唯一の手段
私の中に残せる思い出だ
『赤』という色が
私が生きているという
実感ができる
唯一の証なのだ
そしてあなたほど
赤と結びつく人はいない
愛しているからこそ
誰よりもあなたとの思い出を
刻みつけたいから
私は己の世界を赤く染める
赤く染め続ける
他人から見れば
それは狂気の行いだろうと
恐怖し逃げるだろう
でもあなたは違う
私の行為を誰よりも
うっとりと見つめて
微笑んで褒めてくれる
でもどこか儚くて
きっとそれは最も美しく
最も狂おしい祈りに
似ているのだろう