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『手』四詩
1、何だったのか?
手を伸ばして
掴もうとしたものは
何だったのか?
日差しにさらされた
己の手を見ても
何も思い浮かばない
2、コンプレックス
「美しい手」と
よく手を褒められる
古くさいが
白魚の手とか繊手とか
だが私は自分の手が
一番大っ嫌いである
コンプレックスの塊だ
3、跳ね除ける
たくさんの人が
私を助けようと手伝おうと
手を差し伸べてくれる
でも私は
すべて跳ね除けた
強く突っぱねた
ここから先は私が
一人でやらねばならない
一人で進まなければならない
4、そっとにぎれば
「ほら」と
気軽に差し出された手を
そっとにぎれば
強くにぎり返される
どこか必死さが感じられた
あなたの顔は真っ赤だった
私まで顔が熱くなってきた