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第111話 閑話(ミレイユとセクター)

「もうすぐです! もうすぐ街につきますから、しっかりしなさいセクター!」


 自ら着ていたローブを引きちぎってつくったあて布でセクターの止血をしながら、ミレイユは、ぐったりしているセクターに話しかける。

 布で止血はしたが、抜けば致命傷になるほど深くつきささった矢は抜けないでいた。セクターの傷は深く、助からないであろうことは容易に想像できた。……それでも諦められなかった。


 センテンシア領はカルロが後妻を迎えてから、すべてがおかしくなった。

 加護をもつはずのカルロがなぜか操られ、後妻の操りに人形になり、それを治そうとしたラディウスも謎の奇病にかかり動けなくなった。

 ラディウスの奇病にかかってから少しあと、センテンシア領のものは領地を出るのも厳しく制限され、まるで監獄のような状態になった。

 なんとかセクターの商隊が領地を出る事を許され、ミレイユもそれに同行した。


 王都の近くに住むという伝説の大魔導士メリルに頼るため、ミレイユもこっそりと領地を出たのだ。伝説の人物でどこにいるかも不明ではあったが、それでもカルロの状態もラディウスの奇病も大魔導士に頼るくらいしか方法が思いつかなかったのである。


 馬車で隊列をくみ、商隊の旅は途中まで順調だった。

 だが精霊の森を抜けるその寸前、待ち構えていた兵士たちの襲撃を受け、商隊のものほとんどが命を奪われ、セクターとミレイユが命からがら馬でその場を離脱したが、セクターもまた背後からの攻撃でからミレイユを守り、負傷してしまった。

 

 兵士達からかなり離れたところまできたところで木の陰に隠れミレイユが治療をしたが、それでも傷は深くもう街につくまで命はもたいないであろうことはミレイユもセクターも想像ができた。


「……俺はもう無理だ。ここに置いて行け」


 土の上に横に寝かされた状態のセクターが弱弱しく微笑んで、ミレイユに言う。

 背にはまだ矢がささったままで、無理に引き抜くと血があふれ出して死んでしまう。


「何を言っているのですか!?諦めたらそこで終わりです!貴方が死んだら旦那様やラディウスはどうなるのですか!?」


「だからこそだろ。ここで二人くたばっちまったら、あの二人を誰も助けられない。

 だからせめて、お前だけでも行ってくれ。……な?」


「……誰が貴方の言う事なんて聞くものですか!絶対連れて行きます!

 こんなところで死ぬなんて無責任です! 誓ったでしょう!

 私と貴方で、センテンシア領を救おうって!!!」


 涙ながらに、ミレイユがセクターを馬に乗せようと、肩をもつと、セクターはやれやれとため息をつき、ミレイユの手をふりほどき、瞳からあふれ出る涙を指でそっとぬぐう。


「泣くなよ。せっかくのべっぴんさんが台無しだぞ?」


 顔を真っ青にして無理にいつのも笑みを浮かべるセクターにミレイユはぐっと涙をこらえた。


「こんな時でも軽口をいう元気があるなら、大丈夫です。さぁ行きましょう!」


 そう言ってセクターの体を持ち上げようとしたとき


「悪ぃな。こんな押し問答をやってたら、追いつかれちまう。

 お前だけでも……生きてくれ」


 セクターが笑って、何か魔法を唱えると背に刺さっていた矢を無理に引き抜いた。


「なっ!???」


 途端、セクターの背から出血し………


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」




「って、大丈夫か!????ミレイユっ!???」


 絶叫したところで、セクターに肩を揺さぶられ、ミレイユは目を覚ました。

 心配そうに顔をのぞきこむセクターに思わずミレイユは抱き着いた。


「はぁ!???」


 そのまま押し倒すと、きっとセクターを睨みつける。


「なんで約束を破ったんですか!? 約束したじゃないですか!二人で生きて、生きて世旦那様もラディウスもお嬢様も、センテンシア領も救おうって!!!

 一人で先に逝くなんて!!!!!」


「……ちょ!?マテ!?何の話だ?」


 セクターが押し倒されたまま、心底わからないと表情でミレイユに聞き返したところで、ミレイユはわれに返る。


 そこはミレイユにあてがわれた執務室で、どうやら居眠りをしていたらしい。


 寝ぼけて起きた途端セクターを押し倒してしまい、ミレイユは顔を赤くする。


 そこへガチャリと扉が開き


「ミレイユ、悲鳴みたいの聞こえたけど大丈夫!?」


 と、紗良が覗き込んできて、そこで硬直する。


「あー……ごめん、もしかして、お取込み中?」


 紗良が固まりながら聞くのを、ミレイユとセクターが一度視線をあわせて


「「違いますっ(違うっ!!!!)」


 と、声を合わせておもいっきり抗議するのだった。


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こちらも併せてよろしくお願いいたします!


挿絵(By みてみん)

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