電脳で行動
ワールドアクションなるものが起動したせいなのかさっきの惨劇の現場とはうってかわり…どこだここは?どこにいるのだろう。
目の前にはやはり文字が…「ようこそ、あなたの冒険へ♪」だと?ふざけてんのか?よく見るとあなたの部分だが題名を変えられるようだ。自分の名前がそこにどうやら入るらしい。頭を打ったんじゃないこれは、ゲームの世界なのか?
本名を打ち込むのはどうかと思う。悪い人に見られたら悪用されるもんね、犯罪に発展することもあると思う。僕はあえて自分の名前は偽名を使うことにした(当たり前だ)。何がよろしいかな…妹がアーサーならば兄の僕は…悩んだ…そして迷いながら思い浮かべる。空を指でなぞる。
「アーサー(妹)の騎士、スズナイト!!いや、まてまて~それは痛い!!心が痛い!!もっと胸を張って名乗れるような…う~ん…」
名前とは難しい、なのでシンプルにそこは空欄でスタートさせた、名前は必要ない。必要になったら適当に名乗ればいいのだ。
「ゲームの世界なのか?死後の世界か…この目の前に文字が出てくるなんてゲームの世界だよね?思い浮かべばメニューを視野に出せるし…」
なれない…でも順応しなければならない。さっきの死にそうな現状からよく立て直したな僕の精神は…てかゲームの世界とかあり得ない…認めたくない。きっとそうだ、まだ夢を見ているとか。覚めろと願いを込めて頬をつねるが効果なし、諦めてご想像の世界と認めるのか、ゲームの世界だと。見に覚えがあるとした…の冒険だな。あのゲームのせいだ、スズの部屋からいきなり飛び出してきたのだ。悪魔の罠だ!!
次のステップ
文字が出現、矢印のカーソルがついている。最初は進めってことらしい、ゲームでいうなら移動ってことなのか。前に進むと前方が何やら光っている。
光に向かって進め
光に向かって進んでいくとそれは羽のはえた小さな人?のようだった。妖精という言葉がぴったり当てはまりそうだ。すると前に文字が…
話しかけろ
やだよ、拒否とかできないのか。未確認生命体UMAが手の届く距離にいるんだぞ。逃げていいだろ、世間的には捕まえろだがそんな危険、犯したくない。
…の冒険ではこれからこの妖精キャラにアイテムの使い方から戦闘の仕方まで習うのだったな。つまりこのまま話しかければ戦闘開始となるわけだ。自分の命を狙うモンスターの元へこいつは連れていくわけだな?死神め!!
「…」
目が合う…無言が続く。逃げたいが話しかけなければストーリーは前に進まない。命が大事な主人公と話したくてじょじょに血圧が上昇する妖精との我慢バトルがすでに始まっていた。諦めろー諦めろ♪
「話しかけろや!!どれほどここで待ってぇ~…」
「んん?」
こんな見晴らしのいい大草原でピカピカ光ってるからだ。カラスつかんで連れてったとさ。ゲームでもカラスとかいるんだな。少し見慣れたものがいてホッとした。
「あ~れ~…」
「おっ!体が動くぞ!!」
ピコン、新たな文字が出現する…
妖精ナビ子を探し出せ!!
「アホくさ…」
カラスが飛び去った方向とは逆に進んでいく。探し出したら戦闘始めるんでしょ?ゲーム的に?いいよメニューは開けるし、そこからアイテムとかスキル開発とか色々できるんでしょ?ナビとか最初からいらないわけ、予習してきてるの僕は。
「この世界になれてるどうしよう…ん?」
モンスター出現!!見晴らしのいい大草原からいきなりモンスターが現れた!!緑の小人、槍で武装している。
1体だけだが左上にゴブリンレベル1の文字が。あのね色々すっ飛ばしすぎさ、確かゲームならスライムレベル10が出てくるはず、このゲームのクソなところ、妖精の指示通り攻撃したらスライムといい勝負で敵の体力残り1で敵が会心の一撃だしてプレイヤーを1度殺す…だ。あと少しと思わせて沈める…運営は死ねばいい!だからノーコンクリアはこのゲームではできない、させてくれない。死ななければ先に進めないこの鬼畜仕様…それが初見からやってくるのだ。隠し武器でノーコンでストーリーをクリアとかあるがこれのおかげで誰もできないでしょ。
「でもこれは…妖精がいないおかげで命令実行して死ぬことはないし逃げるも選択できる!!それに戦闘になってもスライムレベル10に比べれば楽勝♪」
ここにきて冷や汗を感じる…そう今の自分の持ち物を確認していただきたい。妖精のナビ子と会話することで戦いの初歩やスキル発動を習う。アイテムの使用もナビ子から教えてもらうのだ。回復アイテムは自分の持ち物にはなくナビ子から10個ほど最初に支給されるのだ、それだけじゃない戦闘には欠かせない武器も…
「あ…」
この…の冒険の世界では武器によって職業が左右される。チュートリアルの武器選択が職業選択と同じことなのだ。でもカラスに妖精は拐われた、初期武器も支給されない…職業は無である。素手で戦う格闘家なんて職業もあるにはあるが最初は長い木の棒なる武器を装備する必要がある。長い木の棒を装備して格闘家という職業になる必要がある。でも今の僕は何もない。武器がない!
敵は待ってくれている…というのはゲームの世界では敵にもよるがだいたいこちらが先制なのだ。でも僕のようなリアルが混じった世界、ゲームの常識と自分の常識が入り乱れている。いつまでもこちらが選択をしなければ攻撃してくる!!
「グギャ!ギャグウー!!」
槍で突進してくるゴブリン…レベル1だが普通考えれば槍で刺されればしにますよ。でもゲームならせいぜい11ダメージて文字が出てHPが削られるだけだが…戦闘画面なんて存在しない、メニューしか開けないので現在の総HPなんてわからないしダメージを受けてもどれほど減ったかわからない。削られ過ぎれば瀕死状態とかになって体に異変が現れるのでわかるが…なんせ攻撃を受けたくない。考えても見れば槍でチクリとされるなんて…我が身を実験台にしてそんなことできない!!
迷わず敵前逃亡!!背中を見せて逃げていく。そりゃ死んでもどこかの神殿で蘇るならいいですよ、払う金なんてないけども…そう、お金の支給もナビ子がいない今では不可能。街で宿泊費も払えない。武器だって買えないのだ(涙)どうやってステージクリアしていくんだよ!!逃げるを選択したとたんゴブリンは消えてしまった…探索モードに入ったということだろうか、とりあえずスタート地点を目指すことにしたのどが…そういえば目印なんてない大草原でしたよねここ…迷子になってしまった…次の瞬間!!体が硬直する…これはまさか!
戦闘に入る、敵はさっきとは違いゴブリンレベル32が3体、とても初心者がどうこうなる問題じゃないこれは仲間が集まって協力して倒すべき相手だ。腕というより武器はないスキルもない、ひいてはアイテムもないし自分のレベルもない僕に勝てる術はない。さっきと同じように逃げるを選択しようとしたが体は硬直する。そうだ、逃げるは2回連続で使うことはできない!!つまり戦うしかないのだが…言った通り戦う術がない、死んでも蘇るなら保障だってない。
プレイヤーの先攻を無視した敵の攻撃…ゲームにはなかったこちらの世界だけのルールだ…画面の中でできてこの世界ではできないこと、逆もまたしかりだ…画面ではできなくてこの世界では可能なこと…3体が揃って攻撃…それもこちらの世界だけでの特権なら、僕だってなにか攻撃の手段があるはずだ…避ける以外に…この戦闘を終わらせる手段が!
頭に何かが過った、走馬灯…このゲームの批判するレビュー、バグ報告、プレイ動画に画像。極めて少ないものだ。少なかったでも克明に書かれていた。それを思い返す…ゲームシステム、この中に生き残るヒントがあるはずだ。
敵の攻撃ヒット判定が出るか否か、その間合いで直ぐ様メニューを開く…そうすると戦闘中は時間が停止するここはゲームと同じだ。メニューからアクションを選択する。アクションはプレイヤーキャラに決まった動作をさせるものだ。それによって通信であれば意志疎通もできるし仲間に指示もだせる。それだけのものだ。記念撮影のポーズをとる、それだけの機能だ。だがその中にヒントがある。
シャドウ、この動作は街など戦闘行為ができない場所(街で武器の使用はできない)で発動すればなんと相手にダメージを与えられる。正確にはダメージのエフェクトが出現するだけでHPにも変化はない。
そう、街で喧嘩ごっこができるのだ。クエスト中もできるがそれは探索に限ってで戦闘中にはアクションを選択することばできない。それをやってのけたのだ。
正直シャドウの攻撃力を計ることはできない。どれくらいになるのか…もしかしたら発動できないかもしれないしできてもダメージエフェクトは出現しても0ダメージと出るだけなのか…僕はシャドウを選択してメニュー画面に戻った。西部劇のガンマン勝負のようでそうでない。自分は何もできずにただ避けるかいずれは攻撃され死ぬのか…そうともとれるが…メニューを静かに閉じ時間が動き出す。
敵の槍が刺さるその瞬間シャドウが発動するのが早かった。攻撃動作は敵より素早く発動する。まず発見その1、拳はゴブリンの槍に当たる。命中と同時にゴブリンの胸が裂け血が出る演出とともにダメージ量が表示される、武器に命中してもそれは敵の部位として判定され耐久値を減らし部位破壊扱いとなり武器を壊し、ダメージが本体にくらう。発見その2だ。そしてシャドウの攻撃力は敵のレベルと技の攻撃力の平均から少し差し引いた値が出る。つまり自分のレベルより相手のレベルにあわせてシャドウの攻撃力は決定される。格下でも対等の「喧嘩」は可能なわけだ。
「ダメージが通れば倒すことも…可能なはず!!」
直ぐ様メニューを開きアクションを選択しなくてもシャドウを選択してあるなら連続してシャドウを出すことができる。しかもアクションなら他にダメージを与えられるキックなどもノーモーションから出すことができる。メニューを開かなくて良いわけだだからシャドウからキックの連続技もできる!
敵のレベルから少し差し引いた値でも連続して出せるなら反撃の間も与えずラッシュして敵を始末できる。素手で、スキルも武器もいらずアクションで敵を倒すことができる。
称号(喧嘩師)を入手しました
聞いたこともない称号だ。称号とは2つ名みたいなもので名前の前に「喧嘩師の…だ!」みたいに名乗ることができる。これがこのゲームのステータスの一つになる。レベルだけでなく称号を集めるのもこのゲームの醍醐味(運営曰く)らしい。
「3人同時に来い!!喧嘩なんてしたことないけど死ぬ気で行くぜ!!どうやらダメージは弾かれずそのまま通ってるようだから連続…そうだな8連続で始末できるかな…」
敵の残りHPは名前の下についている。ちなみに状態異常の時もここにそのエフェクトが出る、そこで確認するのだ。数で圧倒するゴブリンだが戦闘の最中にいきなり寝転んだりダンスしたりして敵の攻撃を紙一重でかわす!そして間合いに入った敵をシャドウからの連続コンボで仕留める。反撃されずに見事格上の敵を翻弄するのに成功した!!
「よし!スタミナも減らないし、このまま押しきらせてもらうぞ!!お前ら倒していっきに経験値をいただいてレベルアップさせてもらう!!」
後の称号(無頼の喧嘩師)の誕生である。
無頼の喧嘩師…無頼、頼る仲間無し…あっ…




