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電撃使いのTSボクっ娘  作者: Xenon
第1章「幼なき決意」
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第4話「幼馴染みときっかけ」

あああっ!投稿遅れたァ!すいません許してください何でもしますから!

第4話「幼馴染みときっかけ」

――――――――――――



 ちっぽけな意地を張ることを決めたあの日から1年と少し。

 僕はとうとうくさび文字という難敵に有効打を決めることに成功した。

 それから更に半年も経つ頃には技ありどころか一本すら容易に決めれるぐらいにまでなった。


 ……けれど、それで魔法の学習まで進んだわけじゃなかったんだ。この家には普通の本を置いているお父さんの書斎と、魔法について書かれた本を収めている書庫があるんだけど、お父さんにどれだけ頼んでも書庫には入らせてもらえないどころか中をちょっと覗くことすらさせてもらえなかった。残念。

 でも、きっとお父さんのことだから何か考えがあるのだろう。


 とはいえ、まずは言語習得を祝いたい気分だ。

 だって、僕が覚えたことを日本語に直すなら平仮名片仮名数字はもちろん、常用漢字まで全てマスター、って感じだ。

 たったの1年半で異世界言語をゼロからここまで覚えられるのはつまりこういうことなんだろう。


「やっぱり僕には言語チートが……!」


 いや、実のところ幼い分覚えもいいとかそんなとこなんだろうけど。



閑話休題



 その後も日は流れ続け、ふと気がつけば明日はもう5歳の誕生日だ。時が経つのはやっぱり早い!

 小さくても貴族だからか、両親は毎年とても豪華なパーティーを催してくれる。正直ちょっと迷惑なぐらいに。

 で、そんな僕にお父さんが言ったんだ。


「エル、明日の誕生日には君の幼馴染みとなる子を紹介しよう。同年代の子も多く招待しておこう。もうお前も5歳になる。そろそろ外へ興味を持ってみるのもいいんじゃないか」


 エル、というのは僕の名前だ。なるほどたしかに普通は5歳って遊び盛りだよね。僕がずっと家にこもってたのが異常だっただけで、本当ならもっと前から外で泥に塗れるくらい無邪気に遊んでいても何らおかしくはないもんね。


 あれ、……あ!

 そういえばメイドのアルナのこととかお父さんのことはボソっと呟いた気がするけどまだ僕のことは全く触れてなかった!

 それでは改めて自己紹介をば!

僕の名前はエルーゼ・タトル。家族内でぶっちぎりの最年少だ。年齢は明日で5歳!

性別は……女の子です。

くっ……あの駄女神め……。なんで神様なのに性別を間違え、……あっ!まさか確信犯!?

……ええい、まあいい。次!容姿!

髪はお母さんから引き継いだ濡烏を切らずにずっと伸ばしている。目も黒かと思いきや、鏡の前でじっくり見たら暗めの藍色だった。肌は自分で言うのもなんだけど外に出てないから焼けることなく純白を保っていると思う。身長……は正直比較対象がいないのでよくわからないけど多分年齢を考えても小さい気がする。

以上!自己紹介でした!






◆◆◆◆◆



「なによアンタ!私に張り合おうっていうの!」

「ふん!弱虫め!」

「なによ!このデブ!」

「ちょっと!こっち来ないで!」


 で、誕生日当日なんだけど、なんかうるさいのがいる。何やらちょっとぽっちゃりめの子ともめているみたいだ。

 ――ああいう子って苦手なんだよな。間違いを指摘しただけでもすぐに逆ギレするし。態度もデカいから仮に高飛車と呼んでおこう。もめてる子はぽっちゃりでいいかな。

 なんて頭の中で下らない名付けを繰り広げている横で僕のお父さんは颯爽とふたりへ歩いていった。

え、まさか、と思ったけれど仲裁しに行ったみたいだ。


 良かった。流石に高飛車な子が幼馴染なのは疲れそうだからね……。

安心も束の間、そのままふたりを連れてお父さんは一言。


「エル、この子が幼馴染みとなるリンネちゃんとバルジ君だ。」


 お父さんはそう、高飛車(リンネ)ぽっちゃり(バルジ)を紹介した。


 ぽっちゃりもかよ!


 まさか高飛車だけじゃなくてぽっちゃりもセットで付いてくるとは……。

いやまあでも、標的がぽっちゃりになる分には僕困らないし別にいいのか……?


「君がエルーゼちゃんか~、かわいいね~、よろしく~」


 うん。さっきからぽっちゃり扱いしてたけど名前も分かったことだしちゃんとバルジ君と呼ぶことにしよう。態度もキツくないし、仲良くなれそうだ。

それに引き換えこいつは……、


「はぁ、なんで私がこんなのと……。あによ、なんか文句でもあんの」


 脳内名称は高飛車で継続かな。


「あはは、ふたりともよろしくね。……ところで、さっき言い争ってたみたいだけど何かあったの?」


「このデブがいきなりキレだしたのよ!あによ、ちょっと肉を一切れかすめたくらいでそこまで怒らなくてもいいじゃない!」


「それは素直にたかb、リンネちゃんが悪いと思うよ……」


 オットアブナイクチヲスベラセソウダッタ。

 まあ、これは普通に高飛車が悪いよね。

ぱっと見た感じでもバルジ君食べ物への執着強そうだし。


「それは君が僕の大切な、それはそれは大切に口に運ぼうとしていたステーキの最後のひと切れを後ろからきてフォークで一突きしていったことがそもそもの原因だよね?君は僕がステーキ、いや食卓に並ぶ全ての料理にどれだけの愛を込めているのかを知らないのはこの際しょうがないとして普通、人の料理を掠めとることは許されることかい?そもそもこうやって会食へ来ている時点で最低限の食事マナーは知っているはずで……長い!


 長すぎるよ!長すぎて途中でカットしちゃうくらいに。

 でも料理への愛云々は置いといても言ってること自体はまあまあ正しいんだよね。

ぽっちゃりはただのぽっちゃりに非ず。

食に執着質な頭脳派ぽっちゃりだった!

……なんか余計にタチが悪い気がする。


 ――かくしてこの日、僕には愉快な?幼馴染みがふたり増えることとなった。






◆◆◆◆◆



ボンッ ボワウッ!


「はえ~。すっごい……」


 僕は今、目の前で起こる華々しい炎の瞬きに心を奪われていた。

炎が何も無いところに生まれてその場でくるくると回ったあと、ひときわ強く燃えて消えたのだ。美しかった。

だけど、その現象を引き起こしたのは残念ながら――、


「ふん!これでちょっとは見直した!?」


 うぐぐぐ……、なんで高飛車なんだ……。


「これがバルジ君だったら素直に見とれられたのに」


「なんですってぇ!」


 やっば声に出てた。


「ふん!なら声も出ないくらい驚かせてあげる!――《焔よ、リンネ・フェニースの名において命ずる。収縮し、白熱を以て弾けよ。それは蒲公英。華々しく熱い蒲公英。細かく散りて爆ぜよ》」


シュッ……バッババチッ!!


 おおっおおお!?


 なんだそれは!炎が集まって小さな球になったと思ったら急に弾けて、いやそこから更に弾けて、無数の白い火花が僕らの周りを舞った。ホントにたんぽぽみたいだ。

でも、熱い!

これ全部白くなるほど高い温度の炎だから当たってなくても近くにあるだけで熱い!

なんでわざわざこれをチョイスしたのさ!?


「ああっ!あついあつい!」

「あっつ!あつい!」

 僕らふたりは揃いも揃ってその熱に見悶えた。――いや、放った本人も熱がっててどうすんのさ。


「ははは、暑いねぇ〜」


 バルジィィ!?なんか君だけ思い描いてる字が違う気がするんだけど!?



閑話休題



 結局事態はあの後メイドさんがすっとんできて慣れた手つきで片付けていった。今日は高飛車の家に来ていたんだけどそれが功を奏したみたいだ。


 ――惨状があらかた収まったあと、僕にはふと疑問が湧いて、


「ねぇ、リンネちゃん。さっきの詠唱みたいなのは何だったの?確か最初は何も声にださなかったよね?」


 そう。最初に炎がくるくる回っていた時、高飛車は何も喋ってなかったんだ。でもさっきのは、まるでファンタジーの『詠唱』じゃあないか。そんな僕の疑問は、


「あんたバカ?まさか魔術と魔法の区別もついてないの!?」


「さっきのは魔術って言ってねぇ~、呪文を唱えることで自分自身の魔力を使わずに魔法を使える感じなんだよ~」


「対して魔法は呪文を使わずに自分の想像だけで現実を創造する神秘の技!そのかわり現象の発生時に対価として自分の魔力を持っていかれる、常識よ!」


 どうやら常識らしかった。

その後もふたりから講義?を受けて魔法と魔術の違いを纏めるとこんな感じ。



魔法は自分の魔力と想像力で現象を発生させる。そのため生まれつきの才能と、反復練習による慣れに左右される。


魔術は詠唱によって大気中の魔力を消費させて現象を発生させる。だから詠唱に時間はかかるけど生まれ持った才能には左右されないのと、今回みたいに魔法を扱い慣れていない少女でも式句によって強い魔術を使える。


また、このふたつをまとめて『魔導』と呼ぶ。






◆◆◆◆◆



 ――魔法と魔術って別の存在なんだ。知らなかった。……ってことはあれか、僕が魔法の本を見せてもらえなかったのは中に魔術の術式を書いてるものがあったから、ってことなのかな。だとしたら納得。さっきの高飛車の失敗?がいい例だ。僕ら子供が不用意に振り回していい威力じゃないしね。

だとすると、ああするには――、


 ふたりと別れて家に帰ってきたあと、僕はひとりで考えていた。

 何をって?そりゃ決まってるでしょ、


『どうしたら魔導を学べるだろう』


 ただその一言に尽きるよ。

 いや、確かに扱いようでは危険なんだろうけど、いくらなんだって僕の心は19歳だ。流石に使う場面くらいは弁えるよ。

 それに、なんたってここは異世界!僕が夢にまで見た異世界なんだ!目の前に魔法、いや今は魔術と合わせて魔導か、なんせファンタジーめいたものが転がっていてそれを手に取らないって選択肢は僕にはないね。

 でも、多分お父さんに直談判してもこれまでの様子から教えてもらえなさそうだし、どうやったら僕も魔法を、魔術を扱えるようになるんだろうと頭をひねっていたんだ。


 コンコンッ


「お嬢様ー?そろそろお夕飯の時間ですわー」


「ああ、うんー。今行くよー」


 うーむ、ホントにどうしようか。

お父さんお母さん以外で、誰か魔導を教えてくれそうな人……。

 うん?なんか今僕は大切なタイミングをさらっと逃した気がする。

 ……、

 ……、


 ……っぁああ!


「アルナ!アルナー!ちょっとこっち来てー!」


 スタタタッ ガチャッ!


「お呼びになりましたか!?」


「お願い、アルナ。――僕に、魔導を教えて」



あれ?第3話までの合計文字数が5000少し、この話の文字数が3800。

……あれ?

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