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電撃使いのTSボクっ娘  作者: Xenon
第1章「幼なき決意」
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第5話「びば!魔術入門」

第5話「びば!魔術入門」

――――――――――――



「お願い、アルナ。僕に魔導を教えて」


 僕がそう言い終えた後、彼女は一度目をつむり、ゆっくりと深呼吸してから、


「わかりました。こちらへついてきてください」


 と、やけに暗い面持ちで返した。






◆◆◆◆◆



 僕が彼女に連れられてきたのはなんと、いつも通りの食堂だった。

夕食前だし、両親も集まっている。

 おいおい、いったいここで何をするつもりなんだと、やや心波打つ僕の横からすっと前に出たアルナは、キッとした声で、


「ガーリスト様、クーラ様。時が、来ました」


「そうかそうか、やはり今日あたりに来るだろうと思ってたんだ」


 お父さんとお母さんはその宣言を聞いて笑みをこぼし、アルナは呆れた感じで軽いため息をつく。どうやら僕の行動は予想済みだったってことらしい。

 ひととおり笑った後お父さんが僕の方へと向き直る。般若も逃げだすような顔で。


「それで、本当に魔導を学びたいんだな」


「は、はいっ」


「そうか。その気持ちに偽りは無いな」


「も、勿論です!」


「では試験を行う」


「はい!……え?」


「なぁに、試験といってもちょいと新しい魔術を開発してもらうだけさ」


 そこまで言った後、お父さんは再び表情を崩した。

 ……え?なんか難しいことをさらっと言われた気がする。

 詳しい話では、これから一週間ほど魔術を学んで、学んだ範囲外にある魔術の式句を編み出すことがタトル家の試験らしい。そのため実際に全く新しい魔術を生み出すわけでなくて、この館の書庫に無いものであればいいとのこと。けど当然過去の回答は書庫に保管されているので世代を挟んで同じ式句を使い回すようなずるはできない……と。


 取り敢えずその日は説明を受けた後、少し冷めてしまったご飯を食べて寝た。冷めても美味しかったのはお母さんの腕によるものだろう。






◆◆◆◆◆



 翌朝!僕はいつも通りの時間に起床し、顔を洗ったり、体操をしたりといった諸々の朝の用事を速やかに終える。

いつもならこの後、書斎へ向かってひとり本を読むか、バルジ君たちと一緒に遊ぶかするんだけど、今日はアルナに連れられていよいよ書庫へはいる。

僕はそのことが嬉しかった。


 書庫の重々しい扉の鍵が放たれ、ぎちぎちぎいぃっと、これまた重々しい音をたてて開かれる。むあっと漂うのは古臭い、如何にもな感じの埃とカビの匂い。それすらも、今の僕には心躍らせるスパイスにしかなり得なかった。


「お嬢様にはこれから、午前は魔術を私が教え、午後は自由時間にします。ただし、魔術を使いたい時は私に伝えてください。決して私の目の届かないところで魔術を行使することの無いように」


「まずは……そうですね、この本あたりが入門なちょうどいいでしょうか」


 ひととおりの注意をした後取り出された一冊の分厚い本には、やたらとポップな字体で「魔術のすゝめ」とかいてあった。なんて既視感のあるタイトルなんだ……。






◆◆◆◆◆



 ともあれ、そんなこんなで魔術教室は開かれた。けど、していることは簡単で、式句を覚えて、その式句をアルナのいる前で唱える。ちょっと難しい言い回しのものなんかは今の説明がはいる。「これは太古の時代の言葉で、『炎』の意味を持ちます」って感じで。

 学んでわかったことの、一番大きいところは、『文字には込められる魔力の限界量があり必然的に長い術式ほど基本的には威力が上がる』ということだろう。

 そんで午後は自由。とはいっても書庫が解放されているので僕は専ら篭りきりだ。意味を知らない式句や、実際に試してみたい術式を見つけたらアルナのところに行く。そんな日々を繰り返していた。

 蔵書は多かった。その内魔術の本だけで七割もあったから読むのはかなり大変だった。結局六日たった今でも全部なんて到底読みきれていない。

 けれど、実はもう僕は試験で詠む術式はほとんど組み終わっていた。こればかりは現実世界からは引き継いだ知識によるものだ。さすがに現代科学を再現した魔術はなかった。


 さて、明日が楽しみだ!



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