1.転生
以前公開していた作品を、設定や文章を含めて大幅に見直し、書き直しました。
ストーリーの流れやキャラクターなど、以前の作品とは異なる部分もあります。
以前読んでくださった方にも、改めて楽しんでいただければ嬉しいです。
これから少しずつ更新していきますので、よろしくお願いします。
ひんやりとした風が葉を揺らし、鳥のさえずりがあちこちから聞こえ、ちろちろとした涼やかな瀬音が、心地よいリズムを刻んでいる。
「う、眩しい………」
薄らと目を開ける。
夜明けの光が白い矢のように差し込み、濡れた葉先できらめく朝露が、森全体を宝石のように照らしていた。
家に籠る生活のせいで、朝日なんて久々に見た。
久しぶりに見てみると綺麗なもんだ。
「ッ!?じゃなくて――――どこだここは!!!」
静かな森にそんな声が響き渡る。
小動物でもいたのか、近くの草がカサカサと揺れる。
視線を向けると、かわいいウサギがピョコッと飛び出してきた。
長く伸びた耳に、ふわふわとした柔らかな毛。そして頭には角が生えて…………ん?ツノ?
よく見ると、ジーッとこっちを見つめている。その目は赤く輝いており、まるで………
「まるでこっちを狙ってるような………」
ドンッ!
兎がピクりと動いたかと思えば、突如として目の前から消え、背後から物音がする。
「え?一体何が?」
振り向くと、先程のウサギがそこにはいた。木にツノが刺さった状態で、必死にもがいている。
思わず後退ろうとして気づく、体の感覚がおかしい。
まず手と足の感覚がない、それ以外のところの感覚も何かがおかしい。
「瞼もない……、そもそも目はあるのか?でもどうやってものを見てるんだ?それにいまどうやって声を出してる?」
まるで意識だけがここにある様な感覚だった。
恐る恐る、自分の体を見下ろす。
黒いモヤ?
視線の先にあったのは、黒いモヤのようなナニカだった。
「え?」
いやいや、待て待て。
なんなんだこれ…一体どうなってる。
俺は目の前の光景を見つめながら、必死に記憶を辿る。
思い出せ。
一体、どうしてこうなった。
確か……昨日はいつも通りゲームをしていた。
そして、しばらく遊んでいると――突然、胸が苦しくなって俺は………。
「…………ああ、そうか」
そこでようやく、ひとつの答えに辿り着く。
「俺、死んだのか」
いやいや、にしてもここはどこなんだ?
天国………にしては物騒である。
「………もしかして異世界ってやつか?」
だとするなら大体は………。
「ステータス」
その瞬間。
視界に、何やら文字が浮かび上がった。
「……まじか」
思わず声が漏れる。
「正直、冗談半分で言ったつもりだったんだけど……」
目の前に浮かぶ文字を、改めて眺める。
「これは……」
―――――
名前:無し
種族:妖怪
妖力:10
スキル:《虚像顕現》
―――――
どうやら俺は―――
異世界に妖怪として転生してしまったらしい。
読んでくださりありがとうございます。
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