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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
3年生 学内派閥闘争編

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序列八位から九位 そして、退場

「序列八位、カタリナ・ブラウン」


三派閥は、もう値段で競おうとしなかった。

白鷺閥が「500枚」を出した。

玄狼衆「800枚…」

白鷺閥「1400枚…」

玄狼衆「…1500」

白鷺閥が引いた。

玄狼衆、八人目。


「序列九位、フランツ・ベッカー」


紅炎団が「400枚」を出した。

続く蒼穹会が「600枚」を提示

玄狼衆「1000」。

両派閥が、黙って引いた。

玄狼衆、九人目。


一位から九位まで、全員が玄狼衆に落ちた…


会場の空気は、もう「緊張」ではなかった。

息を詰めた静寂というよりも…脱力に近かった。


三派閥の代表たちが、それぞれ椅子の背もたれに体を預けていた。

競う気力を、先の七人目の6000枚という数字に全て奪われていた。


その様子を…

シオン兄上は、一度も見なかった。

最後まで書類に目を落としたままだった。


九人目が決まった瞬間。


シオン兄上は、書類を閉じた。


立ち上がった。


そのまま、一言も発さずに歩き始めた。

側近の2名が、音もなく後に続いた。


誰も、声をかけなかった…

誰も、かけられなかった…


扉が、静かに閉まった。


完全な沈黙が来た。

150名以上が、閉まった扉を、しばらく見ていた。


「……終わったのか」

誰かが小声で言った。


玄狼衆は9人を取り、一言も言わずに去った。

何の説明もなかった。

何の感情もなかった。

ただ淡々と、必要なものだけを持って去った。


なぜ六位のルークに六千六百を出したのか。

なぜ七位のエドに六千を出したのか。

なぜ九位で止めたのか。

その問いが、会場全体に漂い続けた…


扉が、開いた。


入ってきたのは、玄狼衆の使用人たちだった。

黒い制服、無表情、一列縦隊…

先頭の一人が、ホールの中央前方にある台の前に立ち、両手で抱えていた革袋を置いた。


鈍い音がした。


金属の音だった。

中身が金属であることは、その一音だけで全員にわかった。


次の使用人が入ってきた。

袋を置いた。

また音がした。

次の使用人…

また音、次、また音…


袋が積み上がっていった。


台の上が埋まった。床に置かれ始めた。

それでも使用人は入ってくる。

置く、次が来る、置く、次が来る…


誰も、口を開かなかった。


袋を置く音だけが、ホールに規則正しく響いていた。


蒼穹会の代表が、最初は数を数えていた。

十を超えた頃に、やめた。


袋の山が、腰の高さを超えた。

それでも止まらなかった。


一枚の金貨が、袋の口からこぼれ落ちた。

石畳を転がって、乾いた音を立てた。

ホールの端まで届いた。

誰も拾わなかった。

誰も動けなかった。


最後の一袋が置かれた。

使用人たちが一礼して、音もなく退場した。


台と床に広がった革袋の山が残った。

ホールの灯りを受けて、鈍く、重く、そこに在った。


アウアーが、記録用紙に目を落とした。

「玄狼衆、入札総額──金貨、29900枚」


沈黙があった。


29900枚…


この王国で、一般的な騎士の年収が約20枚だ。

中堅の商人が一年間で動かす資金が、よくて300枚。

この学院の年間運営予算が、約30000枚と言われている。


玄狼衆は今日一日、9人の三年生のためだけに…

その予算とほぼ同額を積んだ。


蒼穹会の代表が、手元の記録用紙を見た。

今日、蒼穹会が使った総額。

ゼロ枚。

一人も落とせなかった。

一枚も使えなかった。


紅炎団の代表が口を開きかけた…

何かを言おうとしたが、言葉が出なかった。

静かに、もう一度椅子に座り直した。


白鷺閥の代表は、袋の山から目が離せなかった。

離し方が、わからなかった。


三派閥が今現在落とした人数は…


ゼロ…


この場に参加できていたのか。

今となっては、それすら疑わしかった。

玄狼衆は最初から、三派閥の存在を計算に入れていなかったのかもしれない。


側近が溢れた金貨を拾い、革袋の上に無造作に置いた。

金貨の山が、ホールの灯りの中でそこに在り続けた。

言葉より重く。数字より雄弁に。

今日この場で起きたことの全てを、無言で語っていた。

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