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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
富国強兵

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9国会議 開幕

 聖バルドル神聖国の大広間…


 天井が高い、柱が太い、中央に長い机が並んでいる…、9国の代表が、それぞれの席に座っている。


 俺が入場すると、視線が集まる。


 11歳、1人、黒い正装、銅貨の首飾りが光っている。


「これはこれは…」とランブルグが言う。口の端が上がっている。「レギナルド王国の代表は…、なんとお子様ですか?これはこれは…、人材不足もここまで来ると大変ですね…」


「子供で、申し訳ありません」と俺が言う、笑顔で…「しかし、子供ですが、ありがたい事に北伐を生き残りました。この度は、人生の先輩方に色々と教えていただこうと本日は、1番年下の出来の悪い末の息子が来ました。よろしくお願いします」


 それだけ言って席につく…


 ランブルグの目が、少し変わる。しかしまだ笑っている…



 聖バルドル神聖国の法皇代理が立つ。


「9国の代表が集まった。今日より、天下の趨勢を語り合う…」


 開会の言葉、しかしその場の空気は、すでに戦場だ。


 各国が自国の主張を述べ始める。しかしそれはただの前置き…。誰もが腹に一物を持ち、本題を待っている…


 そしてランブルグが、立ち上がる。


「まず、申し上げたいことがございます!」とランブルグが言う。


 声が変わる。場を支配する声、劇場の幕が上がるような……、そんな声だ。


「本日、お集まりの皆様の現状を…、率直に申し上げましょう。私どもイーレン公国は、皆様それぞれと友好的な関係を築きたいと思っております…。その為には、援助をして差し上げても良いとさえ、考えております。財力ならば、イーレンにはございますので…」


 にこやかに言う。しかし、その笑顔の下に刃がある…


「ラングリア連合国殿…」とランブルグが言う。「蛮族を取り込まれたとはいえ、まだ国家としての体をなしておられない。国際的にも承認も得られていない…。私たちの援助があれば話は変わりましょう!!」


 シオンの代理人が黙っている。


「ノーザンランド連合国殿…」とランブルグが続ける。「第5部族がまだ従っていないご様子で…。内部が固まっていないのは、皆がご存じのこと…。一定の財があれば、統一も早まりましょうね…」


 ブレストは、微動だにしない。しかし目が細くなる。


「リンデン公国殿と、ホーリーグレイル公国殿…」とランブルグが言う。「小国であることは、誰もが知っております。しかし我が国との関係を深めれば、大国に飲まれることもない。安心してご存じのこととは思いますが、財という後ろ盾は何よりも強い…」


「聖バルドル神聖国殿は…」とランブルグが続ける。「宗教で国を作られた。それは尊いことです…。信心深い我らはあなた方に縋りたい気持ちでいっぱいです。しかし剣の前では…、 信仰も時に無力になる。我が国との友好関係があれば、その心配もないのではないでしょうか?」


「キングマリン海洋連合殿も…」とランブルグが言う。「海の上では、それはそれは無敵でしょう。しかし陸に上がれば、別の話です。陸路の安全を保障できるのは、我が国をおいて他でもありませんよ。どうでしょうか、ご一緒に海と陸を繋げていくのは…」


「そしてユニティ連合殿…」とランブルグが言う。笑顔が深くなる。「すでに我がイーレン公国との同盟を承諾いただいている。今更申し上げるまでもない、我々は一体でございますね…」


 ユニティ連合の代表が頷く。


 ランブルグが、ルークを見る。


「そして、レギナルド王国殿」


 声のトーンが変わる。笑顔のまま、しかし刃が剥き出しになる。


「謀反で我が第3王子、更に3万5000の兵と第4王子を失い、北伐でも右翼4万も多大に傷つけられ、更に跡取りであられます第1王子のアルベルト殿下も亡くなられた。今や、第1、第2、第3、第4の優秀な跡取りまで亡くされ、国は、抜け殻同然ではないですか? この様な状況で休戦を求めるとは…、時間稼ぎ以外の何ものでもない、坊やであられます第5王子が一人前になられますまで、待ってくれたでも?」


 場がざわめく。


「この場の皆様も、レギナルド王国の延命に付き合う必要はないのではないか。弱った国に義理立てする理由は、どこにもない…」


 ユニティ連合が「同意します!」と即座に言う。


 場が、ルークに向く…



 俺がゆっくり立ち上がる…、静かに、急がずに…


「ランブルグ殿…」と言う。「とても丁寧な分析を、ありがとうございます」


 笑顔で言う。


「まず一点、訂正させてください…」


「何でしょう?」とランブルグが言う。まだ余裕がある。


「4万の損耗…、北伐の余興に過ぎませんね…」と俺が言う。「現在レギナルド王国では、16万の精鋭部隊が練兵に入っております。」


 場が、ざわめく…


「16万だと…」とランブルグが繰り返す。笑顔が揺れた。「それは、随分と大きな数字ですね?でも、あまりにもですよ、殿下…」


「信じられないとおっしゃるなら、別に構いませんよ」と俺が言う。「しかし、我が国は多面的な戦争も可能です。北伐を戦いながら、国内の更なる謀反は起きてませんよね…それを抑えながら、それでも16万の練兵を続けています。それが何よりの証拠です」


 俺はランブルグを真っ直ぐに見る。


「ランブルグ殿、我が国も財力では負けませんよ、あなたの国にら負けますが、それは認めます。しかし軍事力では、話が別です。なんなら、まずはそちらから落としましょうか?」


 大広間が、凍りつく。


 ランブルグが「……それは、脅しですか?」と言うが、明らかに声が変わっている。


「いえいえ、何をおっしゃるんですか…」と俺が言う。「だから、お集まりの皆様に提案です。続けさせてください…」


 俺は9国全員を見回す。


「今この場で、イーレン公国とユニティ連合を除く7国が『合掌軍』を結成したとします。7国でイーレン公国を狩るとしたら、どうなりますか?」


 ランブルグの顔が、白くなっていく。


「イーレン公国は財力豊富です。その財を7国で分けます。北にいる国は南部の土地も得られます。土地と財を同時に得られる。しかも、イーレン公国は自ら豊富な財を持っているとおっしゃった…、そこから奪ったものを現地補給に使えますから、兵糧すら持たずに参戦できますね、これは美味しいですよね、皆さん…」


 俺が少し間を置く。


「お集まりの皆様、財は待てど、軍は弱い…。商人しかいない国、今のイーレン公国ならば、狩り放題ですよ。合掌軍ならば…」



 沈黙が落ちる…


 ブレストが、口を開く…


「いやはや、面白い提案だな…」と言う。低く、しかし広間に響く声で。


 キングマリン海洋連合の代表も「それは悪くない」と言う。目が光っている。


 リンデン公国とホーリーグレイル公国の代表が、顔を見合わせている。


 ランブルグが「……少し、時間をいただきたい」と言う。


「もちろんです!」と俺が言う。そして席に戻った。



 休憩に入る。


 ブレストが、ルークを見ている。


 誰にも聞こえない声で、小さく言う。


「流石だな、奴が心酔するだけはある……やるではないか、王子殿さんよ」 


 ルークには聞こえている。しかし振り返らない。


 ただ、心の中で思う。


「奴とはおじじ殿のことかな…」


 言葉という名の戦争が、動き始めている…

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