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転生したら第5王子で兵法(孫子)と法家(韓非子)で、無双王を目指す  作者: ひょっとこ、とことこ
北伐 龍は北へ向かう

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戦国時代、始まる

「兵を知る将は、勢に乗じて速やかに動く…されど、天下の勢いを知る将は、さらに上なり」

ーー孫子ーー


戦いを知る将は勢いに乗じて動く。

しかし天下の動きを読む将は、さらにその上にいる。

9国の国が新たに生まれた。

世界の地図が変わった。

そしてルークは、王都へ向かっていた。



 行軍の途中、ヴィクターが地図を広げた。


「現時点での9国の配置を整理します」と言った。


 地図の上に、9つの影が広がっていた。


「南部全域、レギナルド王国。我々の祖国です。父王エドワード・フォン・レギナルド三世が統治しています」


 ルークが地図を見た。


「北東部、ラングリア連合国。シオン殿下が北伐の蛮族の一部を取り込んで建国されました。現在、急速に勢力を固めております」


「シオン兄様が…」とルークが言った。


「はい。東部、イーレン公国。第3王子殿下が商業ギルドと結んで建国。財力が豊富です。すでに複数の商業都市を傘下に収めています」


「右北西部にリンデン公国、左北西部にホーリーグレイル公国」とヴィクターが続ける。「どちらも小国ですが、北伐の混乱の中で独立を宣言しました」


「北部中央、ノーザンランド連合国」とヴィクターが言った。声が少し変わった。「ブレストが蛮族5王を統一して建国。急速に版図を広げています」


 ルークが地図の北を見た。


「中央北部、聖バルドル神聖国。宗教勢力が王国とノーザンランドの間の地を押さえました。王国とノーザンランドの緩衝地帯として存在しています」


「宗教で国を作るか…」とルークが言った。


「中央東部、ユニティ連合。没落貴族たちが王国とイーレン公国の間に建国。イーレン公国と同盟を結んでいます。」


「そして…」


「東南部、キングマリン海洋連合。海賊的な海洋勢力が国家を名乗り、王国とイーレン公国の両方に取り入っています。海路を押さえることで、どちらにも有利な立場を保っています」


 地図の上に、9つの色が広がっていた。


「9国が、立国されたか…」とルークが言った。


「はい。そして、それぞれが動いています。同盟、対立、取引。まさに戦国時代が、始まっています」



 ルークが地図から目を上げた。


「ヴィクター、一つ聞きたい」


「はい」


「この9国の中で、今、最も動きが速い国はどこだ?」


 ヴィクターが少し考えた。「ラングリア連合国です。シオン殿下の動きが、誰よりも速い」


「シオン兄様か…」


「はい。北伐の蛮族を取り込む速さ、兵力の固め方、同盟の結び方、全て、計画的です。おそらく北伐が始まる前から構想していたと思われます」


 ルークが「シオン兄様は、本当に何者かになろうとしているんだな…」と言った。静かに。


「次がノーザンランド連合国です」とヴィクターが続けた。「ブレストも統一速度は異常です。重傷を負いながら、何より速さで動いています」


「ブレストも…」とルークが言った。「あの男は、止まらない」



 ミア姉様が来た…


「ルーク!」と言った。「王都まで、あと5日の行程だよ」


「わかりました。ありがとうございます」


「王都に帰ったら、やることが山積みだね…」とミア姉様が言った。「まず何より9国の情報収集…、アルベルト兄上の暗殺調査も続ける必要があるよ…、何より王への報告をどうするのか…、最後が黎明義軍の今後だね」


「はい…」とルークが言った。


「一番大事なことを忘れていない?」とミア姉様が言った。


「何ですか」


「少し休むこと…」


 ルークが「そういえば、姉様と約束しましたね…」と言った。


「覚えていてくれてよかった」とミア姉様が言った。「ほんの少しでいいから、本当に休む事、あなたはまだ10歳よ、背負すぎだよ」


「10歳で北伐を生き残ったので、少しは大人になった気がしますし、そんな事を言ってられる時間はないと思うのですが…」とルークが言った。


「まず心配している人に元気にところを見せてあげないと…」とミア姉様が言った。「その上で、本当に良くやってるよルーク」


 その言葉が、静かに響いた。


 ルークが「ありがとうございます、ミア姉様…」と言った。



 夕暮れの中、ルークは馬の上で地図を見た。


 9国が広がっている…


 レギナルド王国、南部全域を持っていても、周囲を囲む形で、ユニティ連合とイーレン公国に挟まれ、北はシオンとブレストがいる。


「守り方も攻め方も難しいな」とルークが呟いた。


「何がだ?」とラウルが聞いた。横に来ていた。


「9国を統一する事も、その中で王国が生き残ることも…」


「難しいの?」とラウルが言った。


「難しい。不可能ではないが、難しいな…」とルークが言った。「やり方次第だけど…」


「どんなやり方?」


「まだ決めかねていて、わからない…」とルークが言った。「まずは王都に帰り、知恵を出し合い大臣達と、王と考えなければ…、その中で見えてくるものがあると思う…」


「ルークなら大丈夫だよ」とラウルが言った。


「なんとなく…」とラウルが言った。


 ルークが、少し笑った。


「ありがとう、ラウル…」


「どういたしまして!」とラウルが言った。「俺はいつでも前に出るよ。言ってくれれば…」


「わかっている」とルークが言った。

「頼りにしている」



 王都まで、あと5日。


 9国の戦国時代が始まっている。


 黎明義軍が南へ進む。黒い甲冑が夕暮れの光の中を進む。


 ルークが前を向いた。


 空が、少しずつ、白んでいた…

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