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第22話 調査報告

 ダンジョンの調査から帰還した俺達はすぐさまギルドに向かい、受付にいたオリビアへ調査結果を報告した。


 俺からはスタンピードに関する情報も提供しておいた。アメリゴ王国の図書館で得た知識だから、そんなに大したものじゃないが。



「なっ、何と言うことでしょう……。アランさん、貴重な情報もありがとうございます。早速ギルドで対策を検討します。この後直ぐにギルドマスターと会議を行いますので、アランさんも同席をお願いできないでしょうか?」


「えっ? ああ、構わないが」


「ではお願いします」


 オリビアは小さく頭を下げる。するとすぐに、他の職員にダンジョンの監視と国王への報告を指示。続けて俺達に依頼の達成報酬である銀貨五枚を配っていく。仕事早いなー。



 すると【コンサルティング】の声がした。


〔依頼達成を確認しました。報酬はこちらです〕


+-------------------------



金貨三枚

ブルーメタルの剣1



-------------------------+


 ブ、ブルーメタル?! 普通に買うとめちゃくちゃ高いやつ! 金貨数枚はするぞ?! うっしゃー!!



 ふと我に返ると、リーナとオリビアが優しく微笑みながら俺を見ていた。またキモい顔を見られてしまったか。恥ずかしい……。



 一通り作業を終えたオリビアが、俺をギルド二階の会議室へ連れて行く。リーナにはちょっとの間、一階で待っててもらうことにする。



「ギルドマスターを呼んできますので少々お待ちください」


「分かった」


 オリビアが部屋を出てほんの5分程度で、再び会議室の扉が開いた。オリビアに続いて屈強そうな大男も部屋に入ってくる。


 黒髪短髪に鋭い目つき。日焼けした肌に筋骨隆々な肉体。ローガンよりも二回りぐらい大きい気がする。


「アランさん、お待たせしました。こちらカナディアの冒険者ギルド、ギルドマスターのブラッド様です」


 ブラッドと呼ばれた大男は俺の顔をじいっと見る。


「アランだ。よろしく頼む」


 俺が先にそう挨拶するとギルドマスターの顔が一気に明るくなり、


「よう、アラン! オリビアからいつも話は聞いてるぞ! 随分頑張ってるらしいな!」


 と、思ったよりも陽気な声で話掛けられた。


「オリビアが打合せとかギルド日誌でお前のことばっかり話すんだ。他の冒険者の話も聞きたいってのに、困ったもんだよ」


 そう言ってニヤリと笑みを浮かべると、オリビアが顔を真っ赤にして、


「ちょ、ちょっと、ギルマス?! 何を言ってるんですか! セクハラです!」


 と叫び、ギルドマスターの肩を平手で「バシッ!」っと叩く。するとその衝撃でギルドマスターの体が1メートルほど吹っ飛んだ。


 愕然としてギルドマスターが立ち上がると、


「お前、冒険者になったほうが良いんじゃないか……?」


 と真面目な顔で提案する。俺もちょっと思った。



「ゴホンッ! ア、アランさん、ギルマスの言葉は何一つ信用しないでくださいね?! この方はいつも冗談ばっかり言う人なので!」


 恥ずかしそうに眼鏡をクイっと上げ、上目遣いでオリビアが言う。

 

「何一つってお前、流石に言い過ぎじゃ」


「はい?」


「いや、うん、すまん」


 諦めたなギルマス。二人とも、随分仲が良さそうだ。



「では早速本題に入りましょう。すみませんアランさん、ダンジョンの様子とスタンピードの情報について、もう一度お話いただけないでしょうか?」


「ああ、分かった」


 俺は他の冒険者達からの報告も付け加えながらギルドマスターに説明した。



「へー、ダンジョンでそんなことが起きてるなんてなぁ。どうしたもんかね?」


「どうしたもんかねって、それを考えるのがギルマスの仕事ですよ!」


 気楽な感じのギルマスと結構当たりの強いオリビア。ギルマスは俺の方を見て意見を聞きたそうな顔をしているので発言する。


「対策は戦略・戦術の両面で考える必要があるが、戦術面は俺達冒険者に任せてしまって良いんじゃないか? 戦略はギルドマスター中心に検討してくれれば良い」


「ほう、それは助かるな。俺は現場を離れてしばらく経つから、そっち方面はからっきしだ。じゃあ、戦いはお前に任せた!」


「ああ、了解した。……ん、俺?」


「なんだ、お前がリーダーやれば良いんじゃないか?」


「はい、今回ばかりはギルドマスターに同意します」


 えー、まぁ誰がやるでも良いけど、多分俺がやるってなったら反対する奴いるぞ。


「まあそれはお前達冒険者で決めてくれ! それより戦略の話だが、大したことはねえ。モンスターが攻めてきたら、城壁の中は王国騎士団が守る。外では冒険者がモンスターを殲滅する。これだけだ」


「なるほど。スタンピードの場合、敵の動きは単純だからこっちの戦略も単純になるか」


「まあそう言うことだ。じゃあアラン、頼んだぞ! お前には期待してるからな!」


 ギルドマスターはそう言い残して、すぐに城へと向かった。国王への説明や騎士団との打ち合わせに行くらしい。


 頼んだって言われてもなぁ。


 オリビアは「アランさんがこの国にいてくれて良かったです!」とか言ってるし。なんか重い! まあこう言う状況、嫌いじゃないが。



 俺達が一階へ戻ると、カナディアの冒険者が一堂に会していた。スタンピードの噂を聞きつけて自発的に集まったらしい。


 オリビアが、カナディア防衛作戦へ強制参加になることやその際の報酬なんかを冒険者達へ説明する。


「最後にこの作戦のリーダーにつきまして、ギルドからはスタンピードに詳しいアランさんを推薦いたします」


 オリビアがそう宣言すると、


「賢者アランか。それなら納得だな」


「ギルドが言うんなら間違いねぇだろ」


 といった声が聞こえる。しかし、狼の獣人がそこに割って入った。


「おいおい、待てよ。俺様のことを忘れちゃあいねぇか? このカナディアで唯一のB級冒険者、マックス様をよう! そいつより俺の方がランクは上だぜ?」


「それに、こいつは役立たずだから勇者パーティーを追放されてんだぞ? そんな奴より俺の方が相応しいだろう!」



 くっ、またこれか。リーナにもまだ話が出来てないんだけど、失望されたかな……。


 そう思いリーナを見ると、彼女は無表情でマックスを眺めていた。そして、おもむろに背中へ手を伸ばし、雷角の杖を取り出そうとする。


 こ、攻撃する気か?! やばいぃ!


「そっ、その通りだ! リーダーはマックスがふさわしいと思う! みんなどうだろう?!」


 焦って俺が提案すると、リーナは手を止め、愕然として俺の方を見る。いやいや、びっくりするの俺の方だからね?


「マックスで良いんじゃないか?」


 ローガンも俺の提案に賛成する。他の冒険者からも「そうだな」、「まあ良いんじゃないか」と言った声が聞こえる。


「ではマックスさんをリーダーとしましょう」


 オリビアが不服そうながらも、マックスをリーダーに承認したのだった。

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