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第21話 ダンジョンの合同調査②

 11階層へ降りると、とんでもない光景が広がっていた。周りがモンスターだらけなのだ。


 ビッグトロールだけでなく、群れだとCランクに分類されるモンスター、キラーウルフもいる。こいつらが11階層にいるのは想定通りだが、数がおかしい。


「なんだこの数は?」


「おかしいぞ、こいつは。このフロアに来たのは久しぶりだが、前はこうじゃなかった」


 俺とローガンが驚愕して言葉を発する。


「くっくっくっ、安心しろ。B級冒険者の俺様がいる。お前達はここで大人しくしてて良いぞ!」


 マックスは俺たちに向かって尊大に言い放つ。しかし、仲間で同じ狼の獣人ベリンダは


「ねえアンタ、こんなとんでもない数、アタイ初めてだよ! 何かおかしいし、ここは一旦引いた方が良いんじゃないかい?」


 とマックスに提案する。しかし、


「うるせぇ! この階層は雑魚ばっかりだ、俺達が負けるわけねぇ! それにアイテムもしっかり準備してある。まずは向かって来てる雑魚共をブッ飛ばすぞ!」


「わっ、分かったよ! ニコラス、セルマ、援護を頼むよ!」


「「了解!」」


 ベリンダは諦めて仲間に支援を頼み、戦闘準備を整える。


 ダンジョンがおかしな状況なのに驚かないんだなマックスは。さすがB級って感じか?


 そんなことより、今回の依頼はダンジョンの調査だ。このフロアを観察する限り、明らかに異常だ。でもこの階層だけで判断するのは早計かも知れない。


 たまたまこの階層だけ偶然モンスターが増えて、溢れたモンスターが10階層に出て来てただけかも。12階層に行ったらいつも通りってことも考えられる。


 【コンサルティング】で確認したら12階層に行って問題ないみたいだし、行ってみるか。そう考え、俺は戦闘を終えたマックスに意見を伝える。


「ふんっ、俺もそう思っていたところだぁ。すぐに12階に向かうぞ!」


 そう言ってマックスがメンバーへ指示を出す。俺達は出来るだけ敵に見つからないよう、12階層へ降りることにした。



 12階層は11階層の状況とほぼ同じで、敵がわんさかいた。何なら11階層より多い。そして、モンスターの様子がおかしい。目の色が真っ赤に染まり、正気を失って物凄い形相で走り回っている。


「このモンスターの集団、スタンピードの特徴と一致するな」


「なに?! それは本当か?!」


 俺の言葉にローガンが愕然とする。


「ああ。それにモンスターが溢れかえっていて、スタンピードが発生しやすい状況でもある。ちなみにスタンピードは伝染するものらしい。下から上にジワジワ上がって来てるのかも知れない」


「へぇ、それがダンジョン全体に伝染して、モンスターがダンジョンから溢れ出したら災害の発生ってわけか」


「そんなところだ。ダンジョンからモンスターが外に出始めるまでどのぐらいかかるか分からないが、そんなに時間は掛からないだろう。すぐに町へ戻って対策を練ったほうが良いな」


「そうなのか……。おいマックス、聞いてたか? スタンピードが起こるらしい! 早くダンジョンを出るぞ!」


「あ? 俺に指図するんじゃねえよ、C級冒険者風情が。それに、勇者パーティーを追放された残念な『賢者』の言葉なんてありがたく聞く必要はねえ」


 ローガンの言葉に、マックスは露骨に不機嫌そうな表情を浮かべて言う。


「なっ、なに?!」


 こいつ、俺のことを知ってたのか?!


「スタンピードが起こるんなら、ここで敵を減らしといたほうが良いじゃねえか。おいお前ら! この腰抜け共は放っておいて、この階のモンスターを皆殺しにするぞ!」


 マックスが【ウルフドッグス】のメンバーに檄を飛ばすと、メンバーは仕方なく頷く。おいおい、やる気かよ……。


【ウルフドッグス】はマックスを先頭に、近くを走り回るモンスターへ攻撃を始めた。



「みんな、逃げる準備をしておいてくれないか。俺がマックスを説得する」


「説得って、あいつが言うこと聞くと思うか?」


「いや、普通に言っても聞かないだろう。だが、俺の予想ではこのフロアにスタンピードを伝染させた元凶がいる。そいつと戦えばマックスも考えが変わるはずだ」


 ローガンからの質問にそう答える。先程から【コンサルティング】で対応方針を検討し続けていたが、このフロアの敵と戦うのはやめた方が良いらしい。おそらく強力なモンスターがどこかにいるのだ。


「なんで分かるんだ? って聞きたいところだが、余計な詮索はしねえよ。頼んだぞ!」



 それからすぐ【ウルフドッグス】の正面に巨大なモンスターが姿を現した。白い体毛に筋肉質な体。目は真っ赤に血走っている。


「こ、こいつ、なんでここにいやがる?!」


 マックスはそのモンスターに気づいて愕然とする。そして直ぐにメンバーへ叫ぶ。


「お前ら気をつけろ! Bランクのフロストトロールがいるぞ!」


 うげっ、Bランクかよ?!


「チッ!」


 マックスは舌打ちすると、全力でフロストトロールに向かって駆け出した。しかし、仲間達は他のモンスターに囲まれていて身動きが取れない。


 素早い動きで敵を翻弄しながら攻撃するマックスだが、味方の援護がない状況では有効打を与えることができないらしい。


 先程まで低ランクのモンスター相手に優勢だった【ウルフドッグス】だが、フロストトロールの登場で一気に戦況が傾いてしまった。


「ギャア!」


 マックスの相棒ベリンダがキラーウルフの攻撃をまともに受ける。他の仲間達も劣勢だ。そして新人のユリアも。


「ベリンダ!」


 マックスが仲間を助けに向かおうとするが、フロストトロールが巨大な腕を振り回しそれを邪魔する。


「こんの野郎ぉ!」


 そろそろヤバいな。


「マックス! もう限界だ、撤退しよう!」


 俺がそう叫ぶと、


「うるせぇ! 俺に指図するんじゃねぇ!」


 だって。おいおいこいつ、シーザー並に言うこと聞かないじゃん……。


「お前の仲間が危ないぞ! それに、もし新人を怪我させたら罰金らしいぞ!」


 もちろん嘘だ。後からこの条件を追加するようオリビアに言っとこう。


「ねぇ、マックス! アランの言う通り、そろそろ撤退しようよ?」


「うるせぇ! まだまだ俺はやれるぞ! お前らもきばれ!」


 こいつ頑固だなぁ。だがこれでトドメだ。


「マックス! お前がもし怪我でもしたら、カナディアの国はどうなる? スタンピードが起きた時に、一番強いお前には万全の状態でいて欲しいんだ。頼む!」


「…………ふんっ。確かにお前の言うことも一理ある。そこまで頼まれちゃあ仕方ねえな」


 マックスが突然「ガオォォォン!!」とフロアが揺れるほどの咆哮を発すると、フロストトロールを除くモンスターの動きが止まった。どうやらスキルの効果らしい。


「今だ! 全員撤退するぞ!」


「「「おう!」」」


 マックスがしんがりを務めてフロストトロールの攻撃を捌きながら、俺たちは11階層に戻った。


 そして、そのままダンジョンを脱出し、全員無事で町へと戻ってきたのだった。

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