第60話 姉御と乙女
書くパワーの不足、そして切りどころを見失ってしまう病です。
多分今日の午後辺りに切り取った方を掲載します。
城の麓の街・ラグディスの領地は、領主代理のファテナが顔見知りの冒険者、傭兵たちと防衛していた。
ファテナのみ国跡には行かず、領地で待機していたので、ファテナが領主代理を務めるラグディス領はアンビシャス兵からの侵略を未然に防いだ。
そして攻めてきたアンビシャス兵は、機械の重装備をひっぺがされ、ロープでぐるぐる巻きにされ放置されていた。
「姉御!リズアニアから聖騎士軍の援軍とかは来ないんですかい?」
「期待できないなー。あっちも今は魔人どころか魔将がバンバン来てるらしいし。とてもじゃないが余裕は無い。宗教は人間の精神的支柱にもなるし、あそこは聖騎士軍の本拠地もある。魔王的にはバンデッタ潰すのが人間を追い込むにはベストだって考えだろうなー」
ファテナは物思いにふける時、または「めんどくせー事」が起きる時に、煙草を吸う。
今は後者の方である。
「アンビシャスはその辺も分かってるからここ取りに来たんだろーな。ま、誰を相手にしてるかまでは知らないようだが」
ファテナは煙草をくわえたままニヤニヤと笑う。
吸血鬼が蘇ったという情報も勿論入ってはいるのだろうが、アンビシャスは己の武力に自信を持っていたのと、復活については半信半疑だったので、特に問題視はしなかったようだ。
アンビシャス兵を捕らえたファテナ達が、今も警戒を続けているのは何故か。
それは、先程捕らえたアンビシャス兵が、捕まる直前に何かボタンを押したのだ。
どうやら彼は、機械兵の開発部にツテがあるらしく、街ではなく平原や山、森を警戒する機械兵を、呼び出す為のボタンを受け取っていたようだ。
そのせいで、野良機械兵たちがファテナ達の元へとわんさかやって来るようになっていたのだ。
「姉御!5回目の襲撃が来る!」
「よし、武器構えろ。何度も言うが必ず複数人で固まって相手しろよ」
「了解だ!」
元支部長のファテナは男たちを纏めあげ、指示を出していた。
冒険者や傭兵は使うより使われる側が多かったので、ある程度動き慣れていたのも幸いしていた。
「まずい!姉御が囲まれた!」
7、8体ほどの機械兵が、ファテナを取り囲んでいた。
しかしファテナは余裕の表情を崩さず、機械兵が繰り出す手甲剣の嵐を、捨てられていたヤヤガの剣で受け止める、時には足で抑え込む、そのまま回転して刃をへし折り、折った刃を蹴りこみ機械兵の額に命中させるなど、普段の怠惰なファテナからは考えられない動きで、彼らを一蹴した。
「アタシは1人でもどうとなるから安心しとけ」
ある程度の機械兵を片付けたファテナ達。
すると、遠目に残りの機械兵を切り倒しながら、こちらへ向かってくる女性の姿が見えた。
あれは……
「お久しぶりです。ファテナさん。相変わらず、素晴らしい腕前ですね」
(わー!久しぶりに会ったけどほんと美人!素敵!最高!)
それはファテナに代わり、聖騎士軍デュラハルド大陸支部長となった、リリー・アムルーズであった。
リリーは内心、憧れのアイドルを前にした少女の様な心持ちであったが、今は職務中である。
公私混同はしない為、それを表面に出す事は無かった。
「久しぶり。リリー。他の街は大丈夫なのか?」
(少し、距離を置いてみたが……かえって溝が深くなってしまったようだ……なんだか、態度が前よりも冷たく感じる……)
真面目なリリーの態度に、少しの冷たさを感じたファテナは、ロクに引き継ぎもせず急にリリーを支部長にさせた事を内心、反省していた。
「センヤさんから、手が空いたらファテナさんの援護に行ってほしいと言われ、私のみ来た次第です。お邪魔でしたか?」
(いやいや私なんかが来た所でファテナさんの足を引っ張るに決まってるし!でもでもでも心配!あっちは部下がなんとかしてるしきっと大丈夫)
「兄ちゃんが……いや、迷惑じゃない。むしろ助かる」
(リリーも忙しい中わざわざ来てくれた。まったく……もうクビになったアタシの事は放っておいても良かった筈なのに……申し訳ない)
2人の心中はまったくもって噛み合っていなかった。
「姉御ーッ!!南の方角から真っ直ぐ!これまでとは比べ物にならない機械兵の群れが!!」
「げっ!今度の量はヤバいなー……恐らくアレが最後だろうが尋常じゃないぞ!?」
ファテナ達が見渡すその先には、雪崩のようにこちらへと向かってくる機械兵の群れがこちらへと向かってきていた。




