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51.軋轢


 ソレオの母は現ヘリオトロープ辺境伯の二番目の妹にあたり、王城へ王妃の侍女として奉公にあがっていた。

 その際に現国王に見初められた…と言えば聞こえはいいが、正味のところ手を出されたのである。

前述の通り彼女は王妃の侍女。

尚且つ公爵家令嬢だった王妃より身分が低かった彼女への風当たりは強く、また彼女自身、気も身体も弱かったために逃げるように実家に戻った。

 しかしその時にはもう、彼女はお腹にソレオを宿していたのである。


 王妃より先に懐妊したことに震え上がった彼女は、兄に頼み込み、その事実を隠蔽したのである。

 しかし、人の口に戸は立てられない。

 やがてレイヤードは噂を漏れ聞き、ソレオの存在を知るのである…

 

 それがレイヤードルート夏休み明けのイベントだ。

 夏休みが明けても学園に戻らないレイヤードを心配したヒロインがルイ先輩から居場所を聞き出し、彼の元に駆けつけるのである。

 

 しかし、この世界のレイヤードは私と同じハーバリアン。

 すでにソレオの存在は知っているはずだ。

 けれど今まで彼の話は話題に上ることはなかった。

 それは恐らく、レイヤードとしての軋轢があるせいだろう。

 

 だから私は二人が近寄らないであろう温室にやって来たのだ。

 


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