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23.捜査は難航している


 ルイ先輩はクッキーだけじゃなく、ランチとしてパストラミビーフのサンドイッチとしゃきしゃきリンゴの入ったヨーグルトサラダまで用意してくれた。

 

「それで、クレナの上履きのことなんだけど」

 

 ルイ先輩の用意してくれたランチを一通り堪能したのを見計らって、レイヤードが上履き事件について話はじめる。

 

 上履きを隠すことができるのは、先週の放課後か休日、そして事件当日の登校前。

 先週の放課後はアンゼリカは私が帰る前に帰っているし、休日は取り巻きと町へ買い物に出掛けていた。

 そして今朝に関しては、ちょうど声をかけてきたあのタイミングで登校してきたところだったという。

 

「アンゼリカがクレナの下駄箱に何かしているのを目撃した人間はいなかった。アンゼリカにも改めて話を聞いたけど否定してる。取り巻きもそう」

 

「ですよねぇ…」

 

「だからと言って、人目を忍んでおこなった可能性も否定できない…ごめんね、こちらで調査すると言っておきながら、大した結果が出せてなくて」

 

「いえ、レイヤード様が謝られることではないです!」

 

「それでね、僕せめて何かできないかと思って、アンゼリカに言ったんだ」

 

「え?」

 

 レイヤードがなぜか輝くような笑顔を浮かべる。

 おおよそそれまでの会話の流れにふさわしいとは言えないその笑顔に、嫌な予感がよぎった。

 

「自分が犯人でないと言うのなら、被害者の少女と協力して犯人を見つけてごらんよ、って」

 

「……はい!?」

 

 レイヤードの突飛な言葉に、私は思わず立ち上がった。

 確かに彼の調査内容から察するに、アンゼリカは上履きを隠した犯人ではないのかもしれない。

 だが、それ以外の嫌がらせは、些細なものと言えどされているのである。


 確実に嫌われている相手と組めと!?

 しかもあのアンゼリカと!


 レイヤードからの提言とあらば、アンゼリカは渋々ながらも実行するであろう。

 そしてその間、私は当たり散らされる可能性しかない。


 レイヤード、絶対なんか楽しんでない!?


 何か言ってやろうと思うのだが、言葉がぐるぐる回るだけで上手く言葉が出ず、ただ口をぱくぱくしているだけの私に、レイヤードは煌めく笑顔で微笑むだけだ。

 そしてルイ先輩はそんな私に小さく頷くと、そっとクッキーを追加してくれたのだった…

 

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