Story 42【意外に大事な1つの事】
睡眠というものは生きている者にとって重要なものだ。
睡眠なく最大のパフォーマンスを行うことなど出来はしない。
何故なら、睡眠という行為はパーソナルコンピューターの再起動に近いものだからだ。
長時間稼働させていると、パーソナルコンピューターは徐々にその反応が悪くなっていく。
そんな時に行うのが、人にもよるが再起動……あるいは一度電源を落とすことだろう。
それが、生物にとっての睡眠であるというだけの話なのだ。
「……如何に睡眠が大事なのかよくわかりますよ」
「んー?どうしたんだーい?」
「いえ。今日は帰りますか?」
「もうちょっといる」
「はぁ……分かりました」
今日も今日とて、僕は見た目は人間、中身は化け物な先輩とただただ話すためだけに、郊外に存在する墓場へとやってきていた。
そこで待っていたのは、どこかフラフラしていた彼女だった。
事情を聞けば、趣味である物作りに没頭していたら睡眠時間がいつもの3分の1以下になっていたらしい。
睡眠というものは本当に重要だ。
先程パーソナルコンピューターで例えたもののは全て人間にも表れる。
睡眠時間が短くなっていけば、それだけ起きている時のパフォーマンスは悪くなり……最終的には倒れてしまう。
今、僕の目の前にいる先輩もここまで来たはいいものの。
僕の出したティーテーブルに顔を伏せているため、ほぼほぼ倒れる直前。
身体の方が寝ようとしている状態だった。
「はい、先輩。今日はホットミルクです。砂糖も入れてありますよ」
「ありがとう……ずずっ」
顔を上げ、そしてこちらへと礼をしっかり言いながら受け取った彼女に苦笑しつつ。
どうやって先輩に睡眠の重要性を教えるべきかを考える。
というのも、先輩のこの状態は別に今日に限ったことではないのだ。
時々……それこそ1~2ヶ月には1回ほどこんな状態の先輩に遭遇する。
そしてこの状態の先輩は、大抵始めは僕と気が付いていないらしく……襲い掛かってくるのだ。それも全力で。
今はまだ僕1人の力だけでなんとかなってはいるものの、徐々に力を増していっている彼女を相手にはしたくない。
「はぁ……」
そも、睡眠というのは短い時間とったところで意味がないものだ。
否、それが意味あるものとなる動物もいれば、人もいるが……少なくとも目の前の先輩がそうだとは思えなかった。
勿論、睡眠の役割などの話をしようと思えば出来る程度には知識を持ち合わせているものの……聞き手がへにゃへにゃな状態では話すどころではないだろう。
周囲に目を向け、肩を竦める。
そうすると、一気に空気が弛緩したような雰囲気が漂い始めた。
僕達の談合を監視、僕に何かあった時に助けに来てくれる魔女達も、今日は仕事にならないと分かったのだろう。
人によっては既に帰り支度を始めているようだった。
「先輩、起きてますか?」
「……ん……」
「あー……」
そんな中、先輩はと言えば。
既にほぼ寝ているのか、こちらの声掛けにも反応がほぼなかった。
苦笑しつつ、先輩を背負ってから出していたものを戻す。
こういうときに魔術というものは便利だな、と思いつつ。
空を見上げた。
「静かな夜もいいもんですね。カニバル先輩」
そう言って、僕は郊外の墓場を後にした。
こんな話を書きましたが、作者は睡眠時間を削って作品書いてます。
ブーメランって奴ですね。




