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22 招待の正体

 さて、事前に潰しておかなければならない可能性は消すことが出来た。

 魔術師はカイデウスさん達に任せて、いったん希望の家に戻ることにした。

 彼らならきっと大丈夫だろう。

 ルディンの無事が確認できたら、やらなければならないことがある。


 僕とカシムが町の郊外にある希望の家に向かって歩いていると嫌な気配を感じた。


「どちらがオキス君かな。」


 灰色のローブをまとった男が目の前に立っている。

 気配を感じた一瞬で突然現れたのだ。


「僕がオキスです。

 もしかしてあなたは王国から来たという魔術師ですか?」


「くっくっく、いや失礼、私は君が言っているであろう魔術師では無いよ。

 あの魔術師はただの駒だよ。

 虚栄心に狂った駒。

 そろそろ実験も潮時なので、最後に少し遊びにつきあって欲しいんだよね。」


 周囲に黒いモヤのようなものが・・・複数いる。

 種類は分からないが魔物の(たぐ)いだろう。


「ちょっとした実験・・・だったはずなのに、おもしろい掘り出し物を見つけたよ。

 ああ、実験というのはね、人間にちょっとした知恵を授けたり金を与えたり、まあ慎ましい内容だよ。

 一応成果は出そうだし、今回はそれを持ち帰って終わりにするつもりだったんだけどね。

 本来なら種を蒔いて見守るお仕事だから、直接手を出すつもりはなかったんだ。

 最近、熱烈な求愛を受けていて、少し食あたり気味だしさ。

 君を使えばもう少し面白いものが出来そうだと思うとつい・・・ね。」


 求愛というのが何のことだか分からなかったが、僕はカシムに逃げるように合図を出す。


「失礼だが、君のお友達に興味は無いよ。

 お家に帰るのなら好きにするといい。

 オキス君さえ招待に応じてもらえればそれで構わないよ。」


 話を聞きながら相手を観察する。

 人間では無い、魔族だ。

 カシムは悔しそうな表情を浮かべ、魔族を睨む。

 普通の人間の感覚であれば、威圧感で圧倒されそうな相手なのに大した胆力だ。


「カシム、どうやら見逃してもらえそうだ。だからこのことを・・・。」


 カシムはうなずくと、希望の家では無く町の方へ向かって走り出した。

 ローブの魔族はそれに興味を示さなかった。


「ここは魔素が薄いので長居は避けたい、さあ急ごうか。

 こっちへ。」


 僕の周りにモヤが集まってきた。

 モヤは馬のような形をとり、そして僕を乗せ走り出した。


 明日の朝まで持ちこたえれば、カイデウスさん達の奇襲が始まる。

 ルディンの安全を確保し、救出を待てばいい。


 僕は森の館に招待されることになった。






 冒険者の救出無双が始まって欲しいところ。


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