65話 ウェスト来訪
まずは訂正から、閑話64.75話『現地聖女の堕落①』のエリザベートの自分紹介の所で、『建国の美女』と書いて居ましたが『傾国の美女』に変更しました。
とりあえず今回から本編復帰です。
もうサブタイトルからのネタバレですが、今回はウェストが来ます。
お楽しみいただけると幸です。
俺達が【神の世界】から戻って来ると、『闇の深淵』殲滅戦から既に2日経っていて、スターンの街がお祭り騒ぎになっていた。
そして『闇の深淵』殲滅戦のおかげで祭り上げられた俺達は、街に着いてから屋敷に戻るまでに2日を要した。
屋敷に戻った後は疲れからか何もやる気が起きず、お風呂と食事だけを済まし、俺達はすぐに就寝した。
目を覚ましたのは翌日の昼頃で、イルミが「流空様、昼食の時間です、起きて下さい。それとお客様がお見えですよ」と言う言葉に起こされた。
いや、正確には言葉では起きれ無かった為、イルミから『氷魔法』(何を使ったかは知らない)で無理矢理叩き起こされた。
俺が無理矢理叩き起こされて、眠気と格闘しながら何とかリビングに降りると、イルミが言っていたお客が居た。
俺はそのお客を見ると驚きのあまり、叫んでしまった。
「ウェスト!?なんでここに居るんだ!?」
俺がそう言うと、ウェストは苦笑いしながら言った。
「あ、あははは、本当はお前達には過度に干渉する気は無かったんだが、事情が変わってな。お前達には出来るだけ早く強くなって貰わないといけないんだ。だからこっちに来たって訳」
「その言い方だと、俺達に戦闘訓練をしてくれるって事か?」
俺がそう聞くと、ウェストは苦笑いしながら言った。
「そうしたいのは山々なんだけどな。俺とお前達じゃステータス差が激し過ぎて、俺が戦ったあのメイドしか戦闘訓練にならないんだよ。だから俺がここに来た理由は2つ、お前達に『天化』を1ヶ月で習得して貰う事と、あのメイドの戦闘訓練が目的だ」
「あ〜、なるほど。確かに」
俺はウェストとイルミの戦闘風景を思い出し、自嘲の笑みを浮かべた。
丁度その時に尊とレネンス(イルミのクッションで浮遊中)とグラニーがリビングに入って来た。
「あれ?なんでウェストが居るの?」
尊が当然の疑問を口にした為、俺はウェストから聞いた事を教えた。
すると尊とグラニーは喜び、レネンスは苦虫を口に詰められた様な顔をした。
「それなら私は早く強くなれるのね?それなら大歓迎よ」
「確かにそうね。最近は自分の実力不足をよく実感するから、早く強くなれるなら、どんな特訓でも耐えてみせるわ」
「僕的には〜、訓練とかは〜、あんまりやりたく無いんだけど〜、どんなのをやるの〜?」
レネンスがそう言うと、ウェストは笑いながら答えた。
「言ったろ?周囲の魔力を自身の体に取り込み、それを全身に回す事で自身を強化するんだ。まあ才能があれば1回で出来る様になる」
レネンスがジト目でウェストを見た。
「それって〜、才能が無ければ〜、ずっと訓練をやるって事だよね〜?」
レネンスがそう問いかけると、ウェストは目を反らした。
「ま、まあそうとも言うかな。だけどやってみないと分からないだろ?」
レネンスは暫くジト目を続けていたが、唐突に俺を見た。
「リクもやるの〜?」
「ん?ああ、やるよ。俺も強くなりたいからな」
俺がそう言うと、レネンスは諦めた様に呟いた。
「はぁ〜、分かったよ〜。僕も訓練参加する〜」
ウェストは俺とレネンスのやり取りをニヤニヤしながら見ていた。
そしてウェストは顔をニヤニヤと、させたまま言った。
「お〜、お〜、リクはモテモテか?」
「は?モテモテ?何を言ってるんだ?」
「だってレネンスが訓練するって言ったのは、完全におまー」
ウェストはそこまで言うと急に止まり、何故か座っていたソファーに横になった。
え?
急に何故?
俺がそう思っていると、レネンスが黒い笑みを浮かべながら言った。
「ねえねえウェスト〜?一体何を言おうとしてたのかな〜?」
俺は黒い笑みを浮かべているレネンスを直視出来ず、ウェストの方を見た。
すると驚いた事に、ウェストがレネンスを見ながら顔を引つらせていた。
いや何でウェストがレネンスを見ながら顔を引き釣らせてるの?
ウェストはオールステータス15万のイルミに勝ってたよね?
なのに何故に?
いや、落ち着け〜俺。
一回冷静に分析しよう。
まずウェストが倒れてるのは、『怠惰』の効果か?
確か生物なら大体効くとか言ってたしな、でも神や天使を超える存在にも効くのか凄いな。
あ、もしかしてウェストが顔を引つらせてるのは、イルミより弱いレネンスに動けなくされてるからか?
なるほど、それなら納得が行くな。
俺がそう考えて、うんうんと頷いていると、ウェストが目で俺達に何かを訴えて来た。
え〜と内容は多分「頼むお前達!!助けてくれ!!」だろう。
俺達はウェストの訴えを受けて、チラリと一瞬だけレネンスを見た。
そして、その一瞬で手が付けられないと理解した。
・・・うん、ウェスト強く生きてくれ。
俺達がウェストの事を諦めると、丁度イルミが昼食を持って来てくれた。
なので俺達は動けないウェストと黒い笑みを浮かべているレネンスを横目に昼食を食べた。
昼食を食べ終えて、ウェストを含めた6人で話していると、ウェストが不機嫌な顔をしながら言った。
「リク達が俺を見捨てやがった。そんなのじゃあ『天化』を教えてやらなー」
ウェストがそう言うと、ウェストの後ろからレネンスとイルミがウェストの肩に手を置いて言った。
「へえ〜?この僕が〜、珍しくやる気を出したのに〜、それを無視するだ〜?」
レネンスは、レネンスが珍しくやる気を出しているのに無視するのかと、笑顔で言った。
「まさか訓練を放棄するとは、言いませんよね?貴方様対私+レネンス様と言う対決でもやりますか?」
イルミは、さっきレネンスがウェストを動けなくしていた事を見ていたのか、「一対二の勝負をしますか?」と真顔で持ちかけていた。
2人がそう言った瞬間、ウェストは手のひらを返した。
「リク達が俺を見捨てても、『天化』の訓練と戦闘訓練を放り出す訳無いだろ?ハ、ハハ、ハハハ」
ウェストは見ていて悲しくなるような笑みを浮かべていた。
・・・何というか、うん、ウェスト強く生きてくれ。
レネンスとイルミが落ち着いてから、ウェストがとりあえず訓練するなら始めはこれというのを疲れた顔だったが、教えてくれた。
「はぁ〜、訓練はとりあえず周囲の魔力を知覚する事からだな。まあ、これが出来る様になるのも時間がかかる奴は多いがな」
「魔力の知覚?」
何気に1番魔法を使っていて、俺達の中で1番魔力の扱いに長けて居るだろう尊がよく分からないといった顔でウェストに聞き返した。
するとウェストは得意顔で説明した。
「魔力って言うのは、この世界の何処にでも満ちているものだ。そうだな、お前達の世界風に言えば空気と言ったところか?ほら空気が無いと生物は基本生きていけないだろ?だけどこの世界だと空気と魔力が無いと生きていけないんだよ」
俺はウェストの答えを聞き、疑問に思った事を口に出した。
「魔力がこの世界に満ちてるって事は、今俺達の周りにも魔力が有るのか。全然感じないけどな」
俺がそう言うと、ウェストは笑いながら答えた。
「そりゃあそうだろ。そもそも無意識に呼吸してる時に「あ、周りに空気が有る」とか思わないだろ?でも空気を知ってから少し考えれば、知覚は出来なくても感じる事は出来る。それが魔力だと知覚出来る様になる訳だ」
俺は納得したような、納得してないような微妙な顔をした。
「う〜ん、そんなものかな?」
「そんな物だ。と言う事でリクとイルミ以外は、とりあえず魔力を知覚する所からだな」
ウェストは俺とイルミを魔力知覚訓練?から除外した。
イルミは戦闘訓練をするとか言ってたから何となく分かるが、なんで俺も?
俺がそう思っていると、ウェストが呆れ顔でこっちを見ている事に気が付いた。
ウェストは俺を見たままため息をつき、言った。
「とりあえず、リクはステータス面を万全にしてからな」
俺はウェストの言葉に驚きつつも、誤魔化そうとした。
「!?な、なんの事だ?」
「はぁ〜、動揺が顔に出過ぎだ。【神の世界】でも思ったが、リクお前はステータスが本来の1割を切ってるな?」
誤魔化そうとした俺の言葉をバッサリと切り、的確に俺のステータス低下の事を聞いて来たウェストに俺は言葉を詰まらせてしまった。
そうすると、ウェストはやっぱりと言った風に首を振った。
「確かにステータスが多少低下しているだけなら、周囲の魔力を知覚するのは本来、問題は無い。だがステータスが低下すると感知出来る魔力に差が出る
そしてステータスが9割も低下している状態だと、知覚出来る魔力量にあまりにも差が有り過ぎる。そのあまりの変化に体が付いて行けない為に不味い状態になる可能性がある」
俺は、ウェストの「不味い状態」という言葉に緊張しながら聞いた。
「不味い状態って言うのは、具体的にはどんなものなんだ?」
「ん〜、流石に見た事が無いから若干憶測が入るが、例えば急激に変わった情報のせいで脳がパンクして廃人になるとか、魔力量のあまりの違いに気が狂い自殺するとかかな?」
俺は予想を遥かに超えたあまりの事態に驚いて固まっていた。
すると俺は尊、レネンス、グラニーの3人から肩に手を置かれて、俺の肩に手を置かなかったイルミも参加して、同時に言った。
「「「「流空(リク〜)(リク)(流空様)はステータスが戻るまでは訓練禁止ね(だよ〜)(です)」」」」
「はい」
俺は4人のあまりの迫力に頷くしかなかった。
俺はそこで【神の世界】で聞けなかったが、ウェストに聞きたかった事が有るのを思い出した。
なので俺は質問する事にした。
「なあウェスト。話は変わるんだが、イルミとの戦闘の時に最初に出した魔法、たしか『ペネレイトアロー』だったけ?あの魔法は途中で分裂したよな?俺には『ペネレイトアロー』に何らかの効果を『エンチャント』したようには見えなかったんだが、もしかして『ペネレイトアロー』に元々有った効果なのか?」
「ん?ああ、あの時のか。あれは簡単な技術だよ。俺が『ペネレイトアロー』を出してから、左手を右肩に置いただろ?あれは『ペネレイトアロー』に必ず必要な動作じゃないんだ。まあその動作をする事で、矢が加速するのは確かだがな。
ともかくあの時に俺の口が隠れた。そしてメイドは俺の貫通魔法を止める為に詠唱付きの魔法を発動させていたから、魔力感知能力が下がっていた。
だから俺はその一瞬のスキに『エンチャント・タイムラグスプリット』って言う、時間差でかけた魔法が分裂する魔法を使ったんだよ」
俺はウェストの説明に納得がいった。
「あ〜、なるほど。【神の世界】でウェストが言ってた戦闘経験が不足してるって言うのは、そう言う戦闘技術の事を言ってたのか」
俺がそう言うと、ウェストは少し呆れた顔を俺に向けた。
「おいリク、そんな呑気にしてるけどな、確かにお前は魔力可視化訓練は出来ないが戦闘訓練の見学と学ぶ事は出来る。メイドは実際に動くから1番大変なのは当たり前だが、その次に大変なのは何気にお前だからな」
「え」
俺が頬を引くつかせていると、ウェストが俺の肩に手を置いた。
「なあリク。お前はゆっくりしてる暇は無いからな?」
俺はウェストにそう言われながら思った。
なんだが俺、こっちの世界に転移して来てから忙し過ぎる気がする。
神様、どうか、どうか、俺に平穏な生活を下さい。
俺がそんな事を願っていると、ウェストが的確にツッコミを入れた。
「リク〜、もうこの世界には神も天使も居ないから、神頼みしても無駄だからな〜」
俺はウェストのその言葉を受けて、近くに有ったソファーに倒れ込みながら呟いた。
「平穏な生活が送りたい」
俺がそう言うと、俺以外の5人は顔を見合わせてから言った。
「「「「「それは無理よ(だね〜)(ですね)(だな)」」」」」
ですよね〜
どうでしたか?
今回は、自分が【神の世界】の所で、『ペネレイトアロー』が分裂した説明するのを忘れてたので、入れました。
次回からは修行パート?(多分修行パート)に入る予定です。
次の投稿は2日後の7月1日の午後9時〜11時(基本は午後10時)の予定です。
今後ですが午後11時までに投稿してなければ、その日は無しでお願いします。
その後の予定は、一応後書きで書いている、その時の投稿ペースの予定です。
それと投稿ペースですが、今日はなんとかなりましたが平日はかなりキツイ事が判明しました。
なので平日の比較的暇な日の水曜日と日曜日を投稿日にしようと思っています。
一応次回の前書きでもお知らせする予定です。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラが欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。
送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします




