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知識は最も重い荷物でも前に進む  作者: 秋月 筑摩
第9章 動乱の時代
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盧溝橋事件後・現地工作(1937年7月)

 1937年7月中旬


 麻子と今村が手を組んで動いた。


 命令書の確保。改竄の痕跡の記録。制令線を越えた部隊の記録。


 武藤と牟田口は、自分たちの周囲に網が張られていることを、まだ知らなかった。


 竹田は秦徳純との非公式ルートを通じて停戦交渉を側面支援した。表には出ない交渉だった。


 みほは陸軍内の強硬派の動向を分析し続けた。


(陛下は怒っておられる。竹中さんは怒っていない。でも、この人が静かな時が一番怖い)


―――


 表向き、盧溝橋事件は現地停戦協定によってひとまず収束した。


 だが、水面下では別の時計が動き始めていた。


 河辺正三、武藤章と牟田口廉也の命令書は、SSSの書庫に、静かに保管された。


 竹中は、それを使う日のために。


―――


 1937年12月。麻子が竹中に報告書を差し出した。


「河辺正三・武藤章・牟田口廉也の動きをまとめました」


「制令線を越えたか」


「越えています。しかも複数回。命令書の改竄も確認しています」


「証拠は」


「三回分以上、揃いました。しかも改竄の証拠まで」


 竹中はしばらく黙った。


「動かす」

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