12.異常が無いことが不安なようです
特に僕の体調に異常はないとお医者さんは言いました。
でも、何だか真っ青です。医者の不養生というものでしょうか?
あ、呪い…おなかの辺りに病になりかけの…『影』のようなものがチラチラしていますね。
触診の際、その『影』を引っこ抜きました。
呪いになりたてのものなら、少し触れるだけでもなんとかなります。
病の元ですし、取っておきましょう。
自然発生した悪い力は、新人魔王でも楽に取り除けますので安心です。
「僕は平気です。先生こそ、身体に気を付けて欲しいです」
「奥様の体調の機微に気付けぬ、私のようなものに優しくしなくて良いのですよ…」
僕が呪いを食べても異常が無いことに、お医者さんは戸惑っています。
平気なのですけど、僕の言い方が悪いのでしょうか。
お医者さんが安心できる言葉……うーん………。
「先生は魔王の呪い…魔障の治療の専門でおられる?」
「は…っ。いえ、軽い魔障ならば治癒は出来ますが…。強い魔障は神官や魔術師の専門になりますね」
「専門で無いのなら、魔術師さんにお任せで良いと思います。
今後、僕の具合が悪くなった時は、先生にお世話になります。どうしても気掛かりでしたら、旦那様が魔塔に連絡したそうなので、その時対処法を聞いてはどうでしょう?」
奥様ですし、旦那様にも関わることですので、お医者さんが参加しても良いと思いました。
毎日健診することでお話は済みました。先生に何度も頭を下げられましたが、僕の方こそ先生を不安にさせて申し訳ないです。
旦那様の魔障痕は…また食べないといけません。
僕はなりたて諸侯王なので、一回では無理でした。
暫くは大丈夫ですけど、ダリアに旦那様と接触する機会を貰わなければ。
でも、何だか怒って会わせてくれません。
「奥様、私が守りますので、旦那様の特殊性癖が落ち着くまでは、距離を取りましょうね?」
善意です。善意の感情で旦那様と接近禁止を言っています。
僕が困っていると、魔塔の魔術師から連絡が来て、面会の機会を貰ったことをミュゲが教えてくれました。
宮廷魔術師よりも魔法研究に長けているそうです。
「旦那様の魔障痕については興味を示さなかったんですけど、奥様の行動に興味が出たらしくて調査に来るそうです」
気まぐれで困るとミュゲは言います。何でも、辺境領や果てはお姫様が何度も打診しても無反応だったみたいですね。
「旦那様の魔障痕も見て下さる?」
「奥様がそうお望みなら、相手方に伝えておきます」
「良かったです、お願いします」
何処かミュゲは嬉しそうです。
「旦那様にお会いするのは、魔術師様の確認の後にしましょう、奥様」
ダリアにはそう釘を刺されました。
魔王の呪いはまだ、旦那様の精神を汚染はしていないのですが…。
僕がもう少しお話しが上手なら良いのですが、上手くいかないですね。




