表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/129

夏休みの思い出

 長かった夏休みもいよいよ終わる。

 この一ヶ月と少しの間、一年六組のみんなもいろいろな思い出を……思い出を……


「なんかさ、休みの間、遊んだっけ?」

 習志野へ向かうヘリコプターの中で、響がポツリと言った。

「夏祭り行ったり、海行ったり?」

「つまり、ゴブリンと戦ったり一角うさぎと戦ったりしたのを『遊んだ』と称するわけか」

「うー……」


 確かに、夏休みっぽい思い出が何もない。

 あとはひたすら訓練に明け暮れたのと、試験勉強に明け暮れたのと……


「あ、そういえば超音速で飛ぶこと覚えたっ」

「いや、そんなんできるの響だけだし!」

「一瞬で否定された! しかも愛する嫁にっ!」

 いや、今のはセトルリが正しい。響が間違ってる。


「でもでも、セトルリも試験頑張ったんでしょ? 手応え十分なんでしょ?」

「まぁねー。もう百里のタワーには足向けて寝られないけどねー」

 管制科の人に、めちゃくちゃしがみついて練習しているセトルリは、必死すぎて可愛かった。

 多分、管制塔の人の性癖、何人かは捻じ曲がったんじゃないかと思う。

 まぁ、仕方ない。セトルリ可愛いもん(婿連談)


「来月からは、わたくしたちも出動かかる可能性がありますのよね……」

 うさやの言う通り、響以外のみんなも、異世界生物対策で出動する可能性がある。

 ただし、基本的に県内に限られる上、まずは簡単な魔物の討伐から始まるとは思われる。


「来月と言えば、理沙さんと美智子さんちの方の神社のお祭り、みんなで行くんだっけ?」

 遊びとなると頑張るセトルリが、確認するように聞いてきた。

「五年に一度の大祭だとかで、みんな連れていくって言ってたね。ただし、いつでも出動できる体制はとるって」

 響が思い出しながら答える。

「理沙さんたちの家ってどこだっけ?」

「東京、向島。昔の遊郭街なんだって」

 東京下町、街道から一本外れたら、交通量もそれほどないゆったりとした街である。


「あの二人も幼馴染みなんだっけ?」

 尚子がコテンっとくびをかしげながら聞いてきた。かわいい。

「らしいねぇ。うちらで言ううさたぬ吉野くんみたいなもん? わたしは五年生からだからね」

 理沙さん美智子さんも幼稚園からのお付き合いらしい。それであの仲の良さは、なかなか羨ましい。

「四十年以上の付き合いかぁ、すごいねー」

「あ、歳のことは言わないでいてあげよ? ほら、見た目が若くなった分、ますますセンシティブになってるし……二人とも」

 マイクロマシンによる若返りも良し悪しである。


「あ、響は免許とったじゃない。あれは楽しかったんでしょ?」

 今度は直美が口を開いた。

「うん、あれは楽しかった。オートバイもめっちゃ楽しい! でも、通学に使えないんだよね……うちのがっこ」

「明確にバイク通学禁止って校則あるからね」

「免許取らせて貰えただけでも、良しとするかぁ。うーんうーん」

 良しとしましょう。

 ちょっと前までは3ナイ運動とか4+1ない運動とかで免許どころじゃなかったんですから。


「実はね、わたしも免許取ろうかと思ってるの」

「え? 直美もオートバイ乗るの?」

「んーん。そっちじゃなくてね、小型船舶操縦士免許の方」

 ああ、本業釣り師でしたね。あなた。

「あれも十六歳から取れるから、やってみようかなって。霞ヶ浦だとレンタルボートも借りやすいしさ」

「そっかぁ、お船かぁ。それも楽しそうだね。お船の免許取ったら、みんなのことも乗せてくれるかな?」

「あ、それは任せてっ、オートバイと違って何人も乗れる船動かせるし」

 さすがに霞ヶ浦で借りられるお船だと、六人乗れるのは少ない気がするけどね。


「けどまぁ、まずは新学期に向けて、予習と復習しとこうか。万が一授業遅れたりすると、やりたいこともできなくなっちゃうよ」

 響はこーゆーとこが真面目でいいこだから、大人ウケがめちゃくちゃ良いのだ。

 男性とか女性とか関係なく、大人ウケ最強はやはり響だ。

 幼児受けも実は響が一番だったりするが、それはただ単に精神年齢が近いげふんげふん。


 男受けはたぬきとセトルリが双璧、女受けは尚子が一歩リードかな。

 委員長マニアには直……

『ストーンバレット飛ばしましょうか?』

 な、なんでもありません。


「文香ちゃんにも、もう十日以上会ってないしねぇ。また若返ってそうで怖いよね。ふみかちゃん」

 大丈夫、あなたのご両親ほどではないですから、絶対。

「文香先生はさぁ、旦那さんいるんだよね? 今どんな気持ちなのかな……旦那さん」

「旦那さんより、むしろ息子さんとか娘さんの方が気になるかもしれない……下手するとあれだよ? 娘より若く見える可能性もあるよ?」

「息子さんの彼女さんより若いとかは有りそう……」

「まぁ、あと三日ぐらいで会えるんだから楽しみにしてようよ。みんな大好きでしょ? 文香ちゃんのこと」

「そりゃ、あたしの旦那だし。大好きに決まってる」

 あんたの旦那多いな。ほんと。


 とまぁ、こんな感じで会話していくわけですが、同じ機体に乗ってるわけですよ。吉野くんも。

 あーあー、もうお顔が真っ赤です。

 ただ、それでも、視線の先はたぬきにロックオンなのね……その一途さは尊敬するわ。


『間も無く着陸します。準備お願いします』

 操縦席からの指示が来た。

 さぁ、今日も訓練が始まる。夏休みはあと三日。みんながんばれ。

 

 吉野くんもね。

 夏休み、残り三日……


 大抵、宿題片付いてなくて大騒ぎでしたねぇ……

 最終日とか、徹夜が当たり前で……


 それではまた、お会いいたしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ