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4.平凡っていいね

〜前回のあらすじ〜

龍が登場しました。

食べるの好きそうです。

美味しいものって最高。

 ……

 ゴーンゴーンと鐘が鳴る。4:30か。驚くほどスッキリ起きれた。前世なら重たい体を引きづるようにベッドから出たものだ。


 外を見ればストレッチしている人たちがちらほら。大変に健康的である。


 害のない太陽光を浴びにいく。昨日と変わらない。

 

 驚いたことは、ここの太陽、出始める段階でもう日中の光と同じなんだな、朝焼けとかないみたいだ。そういえば昨日、夕焼けなかったな。


 光を浴びるとさらにスッキリし、精神的な安らぎも増していく。朝から急がなきゃと頑張る必要もないし、セロトニンを毎日しっかり確保できることはとても便利だ。


 皆挨拶を交わしにこやか。その光景を大きい木下で眺めている。


「お兄さんおはよう」

 昨日の女の子だ。「おはよう」と返事する。


「昨日どうだった? 喉」


「うーん、途中テレパシーで声が聞こえたんだけど、会話は上手くできなかったよ。夕食後に話しかけてみたんだけど、返事もなかったよ」


「あっ、きっとお腹いっぱいになったんだね」

 ……なんでわかるの? すごくね?


「昨日お兄さんがご飯を食べてる時、喉の光が喜んでたもん、好きな食べ物でもあったんだね」


 そうなのか! やっぱり寝てたなこの龍。てかまだ寝てんのかよ、寝すぎだろ。


「今日もお話しできるといいね」笑顔でにこやかだ。なんだかこちらの気分まで和やかになる。


 朝食の時間。今日も案内されパンを食べることになった。地球でいうフランスパン、後はクロワッサンなんかも豊富にある。好きだったから素直に嬉しい、頬が緩む。


 ここのパンは血糖値が必要以上に変化しないらしい。低血糖症は起こらないし、腸にダメージもなく、パンを食べれば程よい高揚感が起こるそうだ。

 ホントに便利な世界だなぁ。


 パン美味しい、パン美味しい、パン美味しい。3回いっちゃうくらいたまらない。


 よくいわれるふわふわカリッとした食感にほんのり確かな甘味が広がる。これで体に負担がかからないとか贅沢だ。


 前世でもパンは好きだった。リーキーガットや低血糖症を気にしないでいいなら、頻繁に食べたかった。


 なんせ低血糖体質だったからね、体力が少ないから苦労したもんだ。食事にもある程度気をつけないと、普通に生きるのもしんどい。


 慢性的な怠さもあったし、睡眠も寝てもそんなに寝た気なんてしなかったしな。


 それがどうだこの世界は。デメリットのない太陽光、安全な範囲で食べ放題な食材(まだステーキとパンしか食べてないけどね)幸せすぎるだろ。


 美味い物が食べられて気持ち良く眠れて、適度な運動と楽しめるライフワークがあれば、もう毎日がhappyじゃないか。頑張りすぎる世の中は歪みが生まれると思うんだよなぁ。


 頑張りたい人は頑張ればいい、前世の僕みたいに体力がないタイプは、頑張ろうとしても体が先にダウンする。精神だけじゃどうにもならないし、いくら健康的な生活をしても限界がある。


 人間、諦めが肝心とはよくいったものだ。


 ここで1つの疑問が生じる。この世界は食事もそうだが余計な負担が外されていて、穏やかなエネルギーで包まれている。危険が皆無なんじゃないかと思うほどに。


 そして異世界生命体をまだこの世界では見ていない。もし龍が喉から出てきたりしたら、穏やかな暮らしが崩壊するかも……。


 嫌な汗が滴る。こんな汗が滴ってもカッコよくもなんともないわい。しかしここで悩んでもどうにもならない。ひとまず考えることはやめよう。


 気を取り直して食事を。

 パンに備えられていたコーンスープも絶品であった。濃厚かつ味わい深いクリーミー感、香ばしい香り、スープだけでも何倍もいける代物だ。


 うむ、良い気分だ。このままこの後のミッション、村の人から案内されるままにやろう。

 

 と思っていたが、そこまで息巻く必要もなかった。今日から何を仕事としてするのか聞いたのだが。


「あぁ、ここではね、仕事という仕事はないんだよ。好きなことや、やりたいことをやるんだ。その気持ちが良いエネルギーを自分にも周りにも、自然に回っていって村全体が潤うからね」


 ようはイヤイヤ働く必要がない、好きなことをやったり、気分良く生きていたらそれでいい、と。


 前世の僕がずっと欲しかった状況だ、子どもの頃から切望していたんだから。

 さて、何をしようか。……。

次回あたりから龍が動き出します。

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