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3.喉に違和感

〜前回のあらすじ〜


訪れた村は平和そのもの。

こんな世界もいいよね。

 それからは、村の案内をしてもらった。広くない場所で、みんな顔見知りで、とても仲が良いとわかる。日中は屋内にいる人はほとんどいないようだ。日差しの悪影響がないならそうなるか。


 屋内にいるのは夕食に備える料理人くらいらしい。途中、自分の家も紹介された。空き家があったため、提供してくれるらしい。


 お金の概念もない世界らしく、無料で頂けた、有難い。


 ということは、さっき商売人に見えた人たちは、お金関係なく物を提供することを楽しんでいるだけ、ということか。取引ではなく、心からやりたいことをやっているだけ、ともいえる。


 あっという間に夕方になり、ステーキ屋に案内される。ここのステーキは美味しいらしい。

 席について待っていると、身長130cmほどの小さな女の子が話しかけてきた。


「なんかね、お兄さんの喉、光ってるよ」

 喉のチャクラ、第五チャクラのことだろうか? だが違うらしい。


「喉のチャクラより少しズレたところが光ってるの、それも脈打つような光の塊、命がそこにあるみたいに」


 小さな子どもがチャクラを知っているとは、教育システムでもあるのだろうか。それにしてもこんなに鮮明に感じ取れるあたり、この子の能力はおそらく信じていい、僕の直感としても信じて良さそうだ。


 そして周りの人も疑わないんだなこれが。他の人がどういう人か、その辺の詳細はわからないからなんともいえんが、本当に人を信じるんだな。


 皆の直感力なのか、人が良すぎるのか、そこはまだわからない。


 喉に意識を向けたからだろうか、なんかムズムズする。

「あれ、なんか喉に違和感あるぞ」


 ゴロゴロ、モゾモゾ、トゲトゲ、イガイガ、どれでもないんだがどれでもある。1つに限定できないが、全てを摘みかじっている新感覚。


「我に気づいたか」

 喉から声がする。えっ、喉は声を発する器官だけど、意識なしに声出しとかないよね、霊障?


「霊障などではない、我はお主の中にいる、龍だ」

 僕にしか聞こえていないみたいだ、周囲の人は気づいていない、テレパシーか?


 にしても本当に龍なのか? そもそも龍ってこんなふうに話しかけてきたっけ? ますます怖いんだが。霊障じゃないならなんなんだ。


 前世で霊障は度々あった。気分が滅入りに滅入り精神がおかしくなった時、霊感が強い人に「よくない龍が取り憑きかけている」なんていわれたこともあったな。


 龍には偽物が存在する。正確には偽物の龍は龍ではない。見た目が似ているだけで別の存在だ。例えば生前地球でやり残した後悔の念が塊になり、歪んだ使命感を持つ者もいれば、恨みつらみの念が塊となり存在しているなど、多様である。


 当時、僕に取り憑こうとしていた奴は後者の方だ。見た目はタツノオトシゴみたいだが、力はそれなりに強く、自分自身で振り解くのは難しかった。


 人間の精神に捩じ込むように侵入してくる上、人間は感情の生き物、そう簡単に解除できれば苦労はしない。


 思えばあの頃から霊的な才能の片鱗はあったのだろう。悲しいことに、霊的な才能があるということは、霊的な感度が高いともいえる。裏を返せばそれは「憑依されやすい」といえるからだ。


 そうこう考えているとまた話しかけてくる。


「そんな貧弱な者と一緒にするな。我は龍だ」

 いやそれはさっき聞いた。わかった、とりあえず龍ということにしとこう。


「まぁよい、どうだ? 龍が側にいる感覚は? お主の前世の願い、叶えてやれんこともないぞ」


 空を飛びたいとかってこと考えてたな。そりゃ叶ったら嬉しいが、喉だよこの龍? どうやって空を飛ぶのさ。なんで喉にいるのよ。


「お主の喉は龍穴にするのにちょうど良かったのだ、というか気がつけば我はここにいて、ここは龍穴となっていたのだ」


 自分が転生した経緯を思い出すと、まんざら嘘には思えないから不思議。人ってこんな短時間に変わるんだな。

 おそらく神様の采配だろう、勝手に僕の喉を龍穴化したんだな。


「聞きたいんだけど、なんで僕の喉にい続けてるの? 何か目的があるの?」


「それはおいおいだ。夕食が来るぞ、しっかり味わって食べるのだ」……なんなんだよこの龍、食い意地張ってるのかな。


 夕食はとても美味しかった。そういえば前世で肉をあまり食べなかったから、随分久しぶりだったな。こんなに美味しいお肉、前世なら200gで5000円は軽く越えそうだ。


 喉にいる龍の存在も周囲にはバレていない。いや、エネルギーとして女の子に少し認識されたが、具体的には知られていない。

 

 人気のいないところで問い詰めなければ。下手したら爆弾保持しているようなものだからな、龍だよ龍。


 自分の家につき早速のこと、龍にテレパシーで話しかけてみる。すると

「グゥグゥグゥグゥ」全く反応しない。


「おい、おい喉の龍、起きろ!」

 まだ僕がテレパシーの扱いに慣れていないからなのか、龍は全く反応しない。たぶん寝息だなこれ。


 まぁ悪いことする感じもしないし、今日は寝るか。悩んでもしょうがない、せっかくの異世界転生記なんだ、できるだけ悩まず楽しく過ごしたい。


 今はベッドの気持ち良さを噛み締めよう……。

龍が登場しましたね。

偽物の龍にはお気をつけて。

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