20話
ゲームや小説などファンタジーな世界観では闇属性って何で嫌われ属性なんだろうか?
いいじゃないか闇属性!希少種で弱点と言えるのは同じ希少種の神聖魔法だけ!対策なんてたてられないでしょ!私が使えたら試したいことが沢山あるのに!
シンに呪文を教えながらくだらないことをツラツラと考えていた。
そんな事を考えていたら残り時間はあっという間になくなる。
夜間警備用の魔道具が私たちの上に飛んできた。なら敵役はスタートしたことになる。
「シンは敵の攻撃を自分でどうにかしてね!私は私でなんとかするから!」
「なんとかするって……。お前の絶望的な脚の遅さは、さっき見た。」
わー、ストレート。目から汗が出てきたよー。
「脚の遅さは自覚済みです!……攻撃はダメなら私は自己防衛に集中します。」
「……自己、防衛……?」
「まぁまぁ、あなたは周囲を警戒しててくださいな。」
私は薔薇の壁になっている片隅に座る。
腰につけていたポーチからビー玉サイズの珠を三つ取り出す。
これは魔力を流すと珠に込められた力が発動するというもの。
私が持っているタイプは気配を遮断するのと相手から姿をみえなくするの。そして、小さな結界を張るというもの。
今の格好が動きやすい服装、即ち乗馬服だ。まだ遠乗りには行ったことはないけれど、行き先でアクシデントがあった場合の防犯グッズだ。
脚が遅いなら、助けが来る時間稼ぎのついでに安全を確保すればいいじゃないか。と頭が悪い発想からきた試作品だ。
どこまで物理攻撃や魔法攻撃に耐えれるのかという実験や、味方が駆けつける為の探知道具の同調がイマイチでまだ未完成品だ。なので試作品である。
これが出来あがったら王公貴族に高値で売ってやると決めている。
貴族たちに普及したところで懐に優しい値段で平民にも普及させたいところだ。
防犯グッズという物がこの世に無かったからね。これで子どもの人さらいが減るのを願うよ。
私の気配が薄くなり、姿が消えてシンの顔は驚いていた。
フフン!いい反応するわね!
シンが選んだ場所は薔薇の庭の狭く袋小路になっているところだ。大人一人分の道幅があるかどうかな場所。子どもだから入りこめれる。いい場所のチョイスをしたと思うわ。
シン曰く、狭い場所なら一人一人確実に対処が出来るから。と言っていた。
「ねぇ、シン。良いこと教えてあげるわ。」
「……何だ?手短にしてくれ……。もうすぐ敵が来る。」
シンは草むらに耳をつけて足音を聞いていた。
「2時頃になると薔薇の水やりの時間になるのよ。魔法で水をあげるから無人だけどね。」
この情報をうまく活かせるのを願うしかない。
シンが静かに短剣を右手に構えた。タイミングをみて投げるのだろう。
武器は刃がなく、相手に当たると当たった所が色が着くようになる魔道具だ。
用心棒部門では誰がどうやられたかわかるし、自分の弱点がわかるという理由で訓練で使われている魔道具。
袋小路に入ってきた人影に短剣を投げる。
キンッ!と弾かれた!
現れたのは二人。道場にいた大男と商会に所属している魔法使いだ。
魔法使いの顔を見て私は顔をしかめた。
何でよりにもよって奴がいるの……!!




