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推しを買っちゃった♪  作者: 速水美羽
21/35

21話


 魔法使いの名はニコラス。またの名を変態とも読む。


 私の奇っ怪な提案の数々に惚れたとかでつきまとうストーカー予備軍。

 自称永遠の18歳で年齢不詳。商会でも祖父の代からいるといわれ、商会七不思議に数えられている。

 ちなみに自称するだけの美貌と若さがある。女の敵めぇ!


 会うたび変態度が増している気がする。


 本当は接近禁止にしてほしいけれど、私の提案する大半の魔道具を作ってくれているので無下にはできない。

 



 そんなことより何でこいつが参加しているの……!


「坊主はいるがお嬢はいませんぞ。」


 そう言いながらもシンを警戒して籠手を構えている。

 籠手を使う大男の名前って確か……あ、そうだ!ダズって呼ばれていた気がする!違っていたらごめん!


「いやぁ、うまく隠れていますが……クンクンクン……。こちらの方に俺のお姫さまいる気配がするよ!」


 ゾゾゾッと全身に鳥肌がたった。

 何、気配って……。匂いでここまで来た……?気配って私、今気配遮断しているよ……?


「奥さまからは薔薇を傷つけるなとの命令だぁ。俺がシンをやる。魔法使い殿は捕縛に集中してくれぇ。」


「わかったよ。お姫さまを探すのは後の楽しみにしておくよ☆」


 あいつにだけは絶対に見つけられたくない……!

 ポーチの中に何か、何かないか……!?あいつが興味を引きそうな物……!


「坊主!俺に当たるたぁ運が悪かったなぁ!」


 そう言ってダズは飛び上がってシンに襲いかかってきた。

 大きい身体のわりに俊敏らしい。

 

 シンはバックステップで避ける。そこにすぐさまニコラスの捕縛魔法が襲いかかる。


「……隔絶せよ!」


 シンは闇魔法の初級隔絶を唱えた。

 自分の一歩前ぐらいの射程距離で物理や魔法を遮断できる魔法。


 うまいこと防御に使えたみたいでホッとする。


「へぇ、君、闇属性なんだ……。」


 や、やばい。ニコラスの目が獲物を見つけたときの目だ。

 に、逃げて!シンもあいつのお気に入りの仲間入りになってしまう……!


 私が戦えたら、真っ先にニコラスを叩くのに……。いや、推しを護る為にすぐにでも叩きたい。


「お姫さまは俺の為に面白いものばかり集めるねぇ!」


 断じて違う!お前の為じゃねぇ!!


 シンはまだ二人同時になんて戦えるほど力も技量もない。こうなったら、私がやるしかないか!


「ニコラス!聞こえているでしょ!」


 私は結界から出て姿を現した。


「お姫さま!あぁ、そこにいたんだね!自分で作っておきながら気配遮断能力の高さは惚れ惚れしてしまうよ。」


 嘘つけ、絶対にわかっていただろ。


「おい!何で出てきたんだ!」


 シンは焦った顔をしていると思う。ダズを相手にして余所見をできるほど余裕がない。

 今は真面目な時なので推しの焦り顔を堪能できないのが残念だ。……そういえば、夜間警備の魔道具に録画機能ってつけて無かったかしら?あとで確認しよう!


「ニコラス!私と取引しましょう。」


「ほぅ、取引ですか。」


「此方の味方をすればあなたに頼みたい魔道具があるの。」


 嘘だ。現在急いで作ってもらいたいものなんてない。


「な、お嬢!それはないでしょう!」


「お母さんは戦闘に参加はしていけないと言われたけれど、手駒を増やしてはいけないとは言われていないもの!」


「ほぅ!ほぅほぅ。お姫さまからの直接な依頼とは胸が高鳴るね!」


 何で腕がなるじゃないの?


「敵を買収することも想定しないとね!」


「まぁ、魔法使い殿がいなくても何とかなるがなぁ。」


 これでシンとダズの一騎討ちに持ち込めれた!


「……あぁ、甘い。何て甘いんだ。」


 そう耳元で声が聞こえた。

 サァーっと血の気が引いた。振り向きたくない。だがここは女は度胸で振り向く。

 嫌なことは続くものだね。何でニコラスが私の後ろにいるのよ!


「シャオ!」


 異変に気づいたシンが私に手を伸ばす。私も伸ばすが届かない。


「お姫さま。つ・か・ま・え・た♪」


 気づいたら地上から足が浮いていた。

 ニコラスは私の上着の首根っこをつかんでいる状態。

 おい、掴むならもっと丁寧に掴め!地味に痛いじゃないの!


「確かに、お姫さまの提案はとても魅力的だ。だ・け・ど!こうしてお姫さまだけを拐ってしまうことも俺はできるんだよ?」


 確かに私が迂闊だった!……だけどね。私がこの事を頭に入れてないとでも!


「おいおい、これって宝を奪われたから終わりか……?」


 これにはダズも驚いてシンへの攻撃は止まっていた。


「シン!私のことは気にしないで!やっておしまい!」


「健気だねぇ。お姫さまは。宝をとられたんだ。もうチェックメイトだよ。」


 その時、パラパラパラと大粒の雨が降ってきた。薔薇の水やりの時間だ。


 シンは懐からだした珠に魔力を込めダズに投げた。

 短剣の時と同じようにダズは珠を弾く。が、一瞬にして珠が光出した。


「うぉ!目がぁ!!」


 ハッハッハッ!雷魔法が封じてあると思っただろう!違うのだ。水とくれば雷だと予測する。その逆手にとった私の勝ち!

 呪文を教えている時に渡しておいてよかった!

 シンは大丈夫かって?だって彼、闇属性よ?自分の目元に闇魔法を軽くかければいい感じにサングラスになるでしょ?

 ……半分以上は空想と賭けだったけれど……。


 うまくダズの目を潰せた!


 目が潰されたその隙にシンはダズの懐に入り剣で袈裟斬りをキメた。

 致命傷判定だ!これでダズは試験に参加できない。


「あらら、倒されてしまったみたいだねぇ。」


 何の珠を出したのかわかったのかちゃっかり目をつぶっていたニコラス。

 お前も目潰しを喰らえばよかったのに。


 他に気をやっている今がチャンスだ!


 私は上着のボタンを外しずり落ちる。

 地面に落ちれば足の骨は折りそうだな……。

 ふと下を見て思った。


 あれ?シンが走っている。

 シンは助走をつけて私がいた結界を足場にし……嘘、飛んだ。


 グイッと腕を引かれた。と思ったら私はシンの腕の中。


 気づいたらシンを下敷きにして私は着地していた。

 


















戦闘場面って難しいですね。

シンが呪文を教えただけですぐに使いこなすわけないだろって我ながら思いますが、そこはセンスや才能があったと思ってください。

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