表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/347

白黒カラー

白黒カラー

 色白、小太り、メガネで、スケベ心がまる見えの結婚しているオジサン。真由美は我ながら趣味が悪いなと思いながら、幾人もの色白オジサンたちと恋愛を繰り返し、3回目の干支を数えた。

 好きなタイプの男性と相性が良いとは限らないと、やっと理解できたのは、今年の春に手痛い失恋をした後だった。


「年とると、やっぱり色々、智恵がつくものなのねえ」


 ふと漏らした呟きは隣の席まで届いたらしい。後輩の木下君が「ぶば!」と吹き出した。


「どーしたんっすか? 悟っちゃったんすか?」


 色黒、筋肉質、EXILEの一員に紛れても違和感ない木下君に盛大に笑ってもらって、真由美に久しぶりに笑顔が戻った。


「そうだねえ。悟っちゃったかな」


「いいっすね!」


 木下君が親指をたてて「グー」とサインをくれる。


「あ、そだ。真由美先輩。オレ土日、沖縄いったんっすよ! お土産どーぞ」


 デスクの引出しから雪塩ちんすこうを取り出して、うやうやしく差し出す。その芝居がかった動作も愉快だ。真由美を元気付けようとおどけてくれているらしい。


「まあ! ありがとう! 沖縄に行ったの? 一泊?」


「そうっす、日焼けしてきたんすよ!」


そう言って両袖を捲りあげる。なるほど、先週末より黒さが際立っている。


ふと、彼の左手に目が止まった。

 真っ黒な肌の中、左手の薬指の根元だけが白い。真由美はドキリとした。木下君は独身だし、普段は指輪などしていない。きっと沖縄旅行は恋人と共に行ったのだろう。

 真顔でそんなことを考えていると木下君が首をかしげた。


「どーかしたっすか?」


「うん、すごく焼けたな~ってびっくりしたよ」


真由美が慌てて答えると木下君は破顔した。


「でっしょー? やっぱ沖縄いいっすよ!」


 輝くような笑顔。本当に楽しかったのだろう。

 真由美は笑顔を返しつつ、胸の鼓動が大きくなっていることを意識していた。悪い性癖はまだまだ治っていないらしいことに気づかないまま、真由美の新しい恋は始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ