恐怖の思考
「そんなっ!私はこのために初めてを捧げに来たのに」
「もっと自分を大切にしなさいよ!!それにこんなおじさんだと嫌でしょうが!」
「嫌だったらそもそも来てませんよ!」
「それもそうだよね!!これは俺が悪かったよ!」
なんで俺が謝ってんだよ!
『メイ……落ち着いて』
「思えばママの配信のおかげでした。よりにも寄って私ではなくママの初声出し配信でライさんの声が全世界に知れ渡ったことは予想外でしたが……」
まあ確かに、視聴者参加型の配信は何度かやったことあったし、必要な時はボイスチャットをONにしていたこともあったから、マッチすれば喋っていたと思う。
マッチしなかったし、リア凸されてる状況だけど。
「どうしてママの配信ではコラボ出来たのだろう、私も荒〇行動が上手だったら良かったんでしょうが、私はこの手のゲームは苦手でした。あの時はママが暴走してたので、私はママを止めざるを得ない状況でした」
「あー、確かに暴走してた」
『ごめん……』
「良いんです。過程がどうであれ、私はあなたの元にたどり着いた……結果さえ良ければそれでいいんです♡♡」
いや、過程に問題大ありだと思うが???
「どうやらロリヲ・ハートさんのご友人であることもわかりましたし、その時はライさんもそちら側の人間だと思いました」
「……ちなみになんでロリヲと友人だと思ったの?」
「ロリヲさんとライさんが投稿していたカルボナーラとパンケーキの写真です。同じファミレスでしたから。その時はライさんがロリコンだと思って焦りました」
「……もしロリコンだったら?」
「ママはロリ巨乳なので、ママを締めてました」
『ぶるぶるぶるぶる』
危なかった……。
1人の命が犠牲になるとこだったかもしれない。
メイちゃんは頭を下げて言った。
「私はずっとあなたに感謝を言いたかったんです。VTuberに憧れて配信を始めたあの日、ライさんが配信に来てくれなかったら私は配信を辞めていました」
「でもあれはたまたま見ただけで」
「そう言ってましたが、ライさんはいつも配信を見に来てくれていましたよね?私が落ち込んでいると思った時はコメントで励ましてくれましたし、登録者が100人を超えた時も私よりも喜んでくれていましたよね?私がおすすめした食べ物やゲームを直ぐに試していましたし、ライさんの性格だとは思うんですが、私はその優しさに何度も救われたんです」
「メイちゃん……」
「コラボ配信が決まった時も1番に喜んでくれましたし、アンチコメントがあった時もライさんも怒ってくれました。何気ない行動だったんだと思いますが、嬉しかったんです。それを気にしていない言動の数々。そんなライさんを私が好きにならない理由なんてない。特別な人だと思わない理由なんてないと思います」
そうだったのか……。
周りのルナイトが俺を師匠だって言うのも、そういう理由だったからか。
隼人や、りさが言うように、俺は認識が甘かったようだ。
でもさ。
「でも、俺をストーカーするのは……ちょっと違うんじゃあないのかな??」
「それはそれ。これはこれです♡♡」
「正直怖いんだけど……男の人が女の人をストーカーするっていうのはよく聞くんだけど、逆はあんまり……」
「ここから逆レイプに持ち込むまでがセットです」
「あってたまるかそんな展開!」
「むしろ私をわからせるんですか!?」
「ニッコニコで言うセリフじゃねえよ!!??」
そんなエロ漫画みたいな展開になるわけないだろ。
通報一択だからね??
「直接感謝を伝えたかったのは本当です」
「そうか。気持ちは充分伝わったよ。ありがとう。今日は帰りな?」
「ここが私のおうちですよ?」
「うん、違うよ」
「泊まりに来たんですよ」
ほらっと、ショルダーバッグから『お泊まりセット』と袋に書いてあるものを取り出して見せてきた。
「泊まらせないよ?」
「夫婦が同じ場所で寝るのはごく一般的なことですよ?」
「いつから夫婦になってんの!?!?そんなことはないから帰りなさい!!」
「そんな……泊まらせてくれるものと思って、ホテル予約してないんですよ!!野宿しないといけなくなります……」
崩れ落ちるメイちゃん。
だが、泊まらせると俺の身が危険だと思う。
「あのさ、そもそもVTuberが現実で視聴者をストーカーするってダメだと思わないか?」
「個人VTuberなのでOKです♡♡」
「違うが?」
俺も隼人からお説教を受けるが、まずはメイちゃんにお説教が必要だろう。
みっちり1時間説教して帰らせた。
30分くらい泣いて縋ってきたが、何とか宥めて帰らせることに成功した。




