20話目 オリヴィア平原解放の作戦会議
誤字脱字の修正しました!
すまいないです・・・いつもいつも・・・
豪華な馬車から降りてきたその顔にピンとくる。
110番はしないけど、権力に物言わせて参加してくるその姿勢・・・
とっととお帰り願いたいですよ・・・
“ブレイブ王太子殿下!”
それに張り合うかのように、これまた豪華な馬車から降りてくるのは・・・
“スター公爵子息!”
・・・とりあえず、二人とも回れ右で馬車に乗り込んでもらい、
そのままゴーホームしてくれるとこれほどいいことはないんだけどね・・・
それに加えてめんどくさい存在もいる。
聖光教団の馬車からは、年配のご老人・・・
この顔も見たことがある。
枢機卿だったかな?お偉いさんで・・・
めんどくさいのがその横に並んだ美少女・・・
“エラ・フォン・シンダー!”
このゲームのスノウホワイトと共に人気のメインヒロインの一人である。
隣に枢機卿で父のシンダー伯爵がいるためお淑やかにしているが、
いなければイケイケな女である。
口調も悪いし、印象は最悪に近い・・・
まあ、そんなキャラが自分に従順に従うのを喜ぶファンがいるため
人気なキャラだったけど・・・
俺にそんな性癖はないため、お近づきになんてなりたくもない。
それに気をつけないといけないのが、こいつの属性は“闇”。
能力を下げるデバフや人を魅了したり、使役したりする魔法が使えるため、
気がつけば魅了されている可能性もある。
主人公に従うキャラだったから、気にもしてなかったけど、
現実問題で自分の目の前に現れるとなると警戒をしなければならない。
・・・というか、こいつ絶対に魅了をすでに使っているだろう・・・
ブレイブ王太子殿下やスター公爵子息が完全に呆けた顔をして
エラを見つめているのだ。
周りの護衛の騎士たちも同じように呆けた顔でエラを見ているし・・・
普通に魅了なんて魔法を使うかぁ?ありえないだろう・・・
絶対にこいつに心を許してはダメだと気を引き締めて、
こちらに近づいてくるグループを待っていた。
その後、オリヴィアが用意していた天幕の中へと主要のメンバーが集まり、
今後の方針について話を進めていくのであった。
「オリヴィア、今日も美しいな。」
直球でなおかつ呼び捨てで第一声をかけるブレイブ王太子殿下。
それに張り合うかのように二人の間に入ってきたスター公爵子息は、
「オリヴィア、お前のために俺は戦場へと来た。
お前のためなら死線だろうと俺は乗り越えてお前の元まで行くぞ!!」
・・・ないわぁ~・・・
案の定、オリヴィアのこめかみに青筋が浮かぶ。
これ・・・もうすぐキレるんじゃない?
そんな一抹な不安が湧くのだが、二人にはそんな気配が微塵も届くことはなく、
「俺のオリヴィアを呼び捨てにするとは貴様・・・。」
ギロリと睨むブレイブ王太子殿下に怯むこともなく、
目を向けて鼻で笑い答えるスター公爵子息。
「俺のオリヴィアだ。間違えては困るよ。君に相応しくない。
オリヴィアの横に並ぶべき人間は俺を置いて他にはいない。」
・・・ねえねえ、二人とも。
微塵も君らの言葉はオリヴィアに届いていない・・・
わけではないな、ストレスはちゃんと充填されているだし・・・
・・・悪い意味で。
それを見ながら、ふと視界に入った光景にサッと目を反らす。
俺が見た光景は、エラが座っている・・・
四つん這いにした信者?の上に・・・
・・・誰も注意しないのはなぜでしょうかね?
・・・俺は見てないし、知らない・・・
お互い唾がかかるくらいまで顔を近づけて罵倒しあう二人を無視するように
ブレイブ王太子殿下のお付きにいた“聖騎士”アーサー・フォン・ナイツが
こちらに近づいてきて、深々とお辞儀をしてから、満面の笑みをオリヴィアに向ける。
「ご無沙汰しております。今日もお美しいですね、オリヴィア様。」
そう言うとオリヴィアの手を取って、
手の甲にキスをしようと・・・あ、殴られた!
「・・・相も変わらずクズだな・・・貴公は・・・。」
クズを見る目を向けてるオリヴィアに対して、
その視線で光悦して、締まらない顔になったアーサー。
・・・こいつもこんなに残念な性格だったのかよ・・・
ゲームではその笑みで女性プレイヤーの心をつかみ、
そして戦闘場面では、“王国の盾”に相応しく身を挺して
主人公や国王を守る姿にどれだけの黄色い声援が沸き起こったか・・・
それなのに・・・
これは・・・
そして、これなら納得だ。
主人公であるブレイブ王太子殿下が、あんなにナンパ野郎なのに対して、
あのアーサーが注意しないというのはどういうことなのだろう?
という疑問が沸き起こっていたが、ブレイブ王太子殿下に負けずにチャラ男だったとは・・・
しかも・・・
蔑まれた目で見られてさらに光悦するど変態だったとは・・・
こいつに関わらないようにしなくてはと、心を決める。
っていうか、まともなキャラが一人もいないのは気のせいだろうか?
俺・・・こんな世界やだ!!!
そんな俺の切なる声は誰にも届くわけなく、主要メンバーがそろったことで
今後の方針について話し合いが始まったのだが、当然・・・
「「嫌だ!!」」
今後の方針については、すぐに反対意見が出る。
ブレイブ王太子殿下とスター公爵子息からだ。
今後の方針としては、オリヴィアと俺とエール、
さらにアーサーを加えた4人でのドラゴン討伐。
その後、オリヴィアが率いる軍隊が安全を確認していき、その後安全が確保出来たところで
ブレイブ王太子殿下やスター公爵子息が率いている軍隊が進軍してくる。
枢機卿は回復役を率いて、ブレイブ王太子殿下達と一緒に進軍するという方針を提案した。
一番安全な策なはずだし、ブレイブ王太子殿下やスター公爵子息であれば、
戦場にも参加していたと言い張れる状況である。
なのに・・・
受け入れない・・・
彼らの望みとは違うのだけど・・・
「俺は、ドラゴンを討伐してドラゴンスレイヤーの称号を手にしたい。」
「ドラゴンスレイヤーの称号こそ、俺に相応しい。」
・・・こういう時は、二人とも同意見になるんだな。
一応、ドラゴンスレイヤーの称号を手にいれるには、
ドラゴンと戦わなければならないと思っているようで、
そのためドラゴン討伐に加わりたいようだ。
・・・そんなに希望するなら俺が遠慮なく代わるけど?と思い、
手を上げようとしたとこで・・・いえ、何もありません。
オリヴィアが鬼の形相で俺を見て来たので、
上げようとした手がゆっくりと下がっていく。
「だいたい!あのガキだって行くんだろう?
なら、俺が行っても問題ないはずだ!!」
「そうだ!そうだ!あんなガキなどよりも貴族である、
それも公爵家である俺の方が相応しい!!」
・・・俺はあなた方と同じ年齢なんだけどね。
そう言うならあなた方もガキですけど?
と内心思いながらも俺が反論することはない。
代わりにオリヴィアの方が、
「うるさい!!これは決定事項だ!
いいな、お前たちは安全が確保されてからの進軍だ。
それが出来ないなら、この場から去れ!
私がこの戦いの総大将であることを忘れるなよ!」
オリヴィアは、国王からの任命書を片手に広げて、
ブレイブ王太子殿下とスター公爵子息に見せつける。
任命書は本物であり、国王印も押されているため二人は、それ以上の反論はできない。
それで、静かになった二人を尻目にオリヴィアは、枢機卿へと視線を向けて、
「枢機卿もそれでいいな?」
「はい、私は、負傷した者を癒すためにこの聖戦に参加しております。
なので、何の問題もございません。」
「・・・聖戦ではない。これは、ブバルディアや王都を救うためのただの戦いだ。」
「多くの民を救うための戦いこそ聖戦と呼ぶにふさわしいかと思います。
聖戦のために、われら聖光教団は、多くの信者を派遣しておりますから。」
オリヴィアの顔が曇る。この戦いを宗教の道具にされてはたまったものではないという思いと、
必ず負傷者は出てしまうためここで回復役の聖光教団に退去されては困ってしまうからだ。
・・・というか、そんな判断は冷静に出来るんだな・・・
この筋肉・・・
オリヴィアの一喝で静かになった二人だが、
それに静かに手を上げたのがアーサーである。
「一応、ブレイブ王太子殿下の護衛が主目的だから、
ブレイブ王太子殿下から離れることは出来ないんですけどね。」
それを聞いたブレイブ王太子殿下が息を吹き返し、目を輝かせて、
「ならば、俺がドラゴン討伐に参加すれば問題ない!
そうすればアーサーも行けるんだろう?」
「却下だ。なら、ナイツ伯爵はいらない。そこのお守でもしてろ。」
ブレイブ王太子殿下の意見を一蹴する。
愕然とするブレイブ王太子殿下、肩をすくめて苦笑するアーサー。
「これで終わりだ。あとは、ここの陣で一先ず休んでおけ。」
それだけ伝えると、ブレイブ王太子殿下やスター公爵子息、
枢機卿をテントから追い返す。
その後、残った俺とエールにオリヴィアが力強く、
「とりあえず、これで仕事の一つは終わった。
とっととドラゴンを討伐しに行くぞ。」
「・・・俺もここで休んでいたい。なんかお腹が痛いし・・・。」
「あ、俺もお腹がいたい・・・。」
「わかった。なら、2、3日の我慢だ。それまで漏らすなよ。」
・・・全く俺たちの意見は聞いてもらえないんだけど・・・
すでに辺りは暗がりに包まれている中、オリヴィアに続いて、
俺とエールは草原の奥地へと向かう。
そこにはドラゴンがいるというのに・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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