第9部分
目を覚まし、おっさんの家へと向かう。
パトリクは朝から不機嫌だ。
おっさんの家に着き、おっさんに突然切り出す。
「村長さん、幸運Cに絶倫Aが2個組み合わされるとどうなると思いますか?」
おっさんの奥さんはじめ、女性陣はスープを吹き出す勢いで話の推移を見守っている。
「2個もあるなら1個はうちの人に貰えないかしら?」
おっさんの奥さんの爆弾発言に私もスープを吹きそうなグループの仲間入りである。
「獣人には魅力的な技能だと思うよ。」「強い男に奥さんが一杯居ることは当たり前だし、しっかり相手出来るという証明にもなるし。」
シャルとクリスは何故か絶倫Aには肯定的のようだ。
「まぁ、パトリクだけに業を背負わせたことは悪かったと思ってるよ。実際のところ問題はありそうなの?」
冷静に冷静にパトリクに聞いてみる。
「自分のステータスを見て凹んだ以外には実害は今のところありませんが…。」
「なら、少し様子を見る方向でいいかな。技能の取り消し方法がないかも探ってみるから。」
パトリクの怒りをどうにか回避することに成功する。
そんな話をして朝食を済ませ、冒険者ギルドへと向かう。
ギルド職員のエルサさんにFランクの依頼でオススメはないか聞いてみる。
「エルサさん、おはようございます。Fランクになったので、受ける依頼を変更しようと思っているのですが、何かオススメはありますか?」
「オススメという訳ではないんだけど、村長からの依頼で出来るだけ受けて欲しいという話のものがあるの。ローカニルダンジョンの1~3階の魔物討伐か村の周辺でのグレーウルフ討伐になるかな。どちらの依頼を受けるか判断は任せるけど、受けるなら良い物を貸し出すことになってるの。」
ちょっと待ってね、と言われエルサさんが取り出したのは金属製の箱に入った装置のようなものと、見たことのある血圧計タイプのアイテムボックスだった。
「アイテムボックス中箱を持ってるから、個人用のアイテムボックスよりこちらの魔道具がいいと思う。これはアイテムボックスの機能拡張が出来る魔道具なの。パーティーメンバーでもアイテムボックスが使えるようになり、回収も1匹づつではなくてある程度の範囲で行えるの。ダンジョン攻略するパーティーには人気の魔道具よ。」
「村長の依頼はどちらが受けている人が多いですか?状況は知ってますので、人員が少ないほうに回ります。」
「ではグレーウルフの討伐任務ね。特別任務になるので今回はパーティ単位で依頼を受けてもらうことになる。グレーウルフ毛皮か牙を商業ギルドで素材販売した時に明細書を書いて貰うようにして。それが討伐証明になるから。複数達成可能な依頼で、10匹ごとに20,000Gが討伐報酬として支払われることになる。どうでしょうか?」
これは良い条件で即答で受けることにする。アイテムボックスへの装置の取り付けと、パーティーの設定は職人の方にお願いして冒険者ギルドを後にする。
数が多いから、装備も見直したほうがいいな。森へ向かう前に武器屋に寄って装備を整えることにする。
リリーさんに各自ギルドカードを見せて特技に合った装備を選んでもらう。
「……絶倫A絶倫Aにオススメの装備は取り扱っていません。すみません。」
いじられるパトリクはちょっと凹んでいる。まぁ、元気を出していこうではないか。
・パトリク装備変更案
サーベル(片手剣)70,000G
タワーシールド(盾)60,000G
チェインメイルセット(鎧)80,000G
・シャル装備変更案
アサシンナイフ(短剣)70,000G
アサシンナイフ(短剣)70,000G
ハードレザーセット(鎧)40,000G
・クリス装備変更案
強化短弓(弓)50,000G
ハードレザーセット(鎧)40,000G
合計で480,000G 装備の下取りは値段が付かなかった。仕方ない。
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名前:ヤマト
職業:村人A
所持金:497,500G
所持P:800P
冒険者ギルドF 0/30件、商業ギルドE 420/1000P
E強化短弓 E小型鉄杭 Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中箱)
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装備を変更し森へと向かう。
今日は餌にするスモールボアは5匹確保している。
シャルは技能を追加した恩恵なのか、周囲の魔物の分布が分かるそうだ。索敵レーダーに地図が加わることで、頭に浮かぶ地図の上に魔物の場所が浮かびあがる感じだそうだ。索敵が有効に使える様になり、索敵範囲が1.5倍位に延びたそうだ。
今日はアイテムボックスは坂の下近くに置くことにした。毎回持って坂を下るのが大変なのだ。配置につくまえにシャルの右手が上がる。
クリスと坂の上で膝立ちになり弓を構えていると、「近づいてるので撃ちます」とクリスに告げられて連射B早合Bで矢を射はじめる。自分の姿は見れないので初めてみる連射と早合のコンボだけど、まさにマシンガンのような速度だね。
シャルはパトリクのやや後ろに位置取りして、側面から襲うグレーウルフをサクサクと倒している。これは連携Bの恩恵なんだろう。あの2人に付けて正解だな。
1回目の群れは小さかったようで、すぐに終わる。
シャルが回収に向かってくれ、手を触れた周囲5メートルくらいか?結構な距離が回収範囲の様で、すぐに回収作業はおわった。
その後、4回の群れと戦闘を行い、大きな怪我もなく終了の時間となる。
帰る間際にシャルから「誰か接近しています。人間ですね。」と警戒が発される。
接近していたのはスタンビートを警戒して見回りをしている冒険者のパーティだった。
少し話をして、ローカニルダンジョンの状況は何か知らないか?と聞いてみる。ダンジョンは魔物の数も落ち着いてきたので、スタンビート候補から外れたそうだ。
ダンジョンで警戒していた冒険者も手が空いたので、今日の夜から交代で終日グレーウルフを狩り続けるそうだ。
明日は朝からここに来るつもです、とパーティに伝え、商業ギルドまでの道のりを急ぐ。
何故か?応援が居ないと今日の夜までに解体が終わらないからだ。
商業ギルドに入りエステルさんを探して話しかける。
「ヤマトさん、おかえりなさい。グレーウルフ解体の応援が必要だったりします?」
とこちらの意向はお見通しのように全てを話す前に返事をされる。
「村長からの依頼で、ダンジョンの魔物と森の魔物は全て商業ギルドが解体をします。アイテムボックスの中身を全部出されて下さい。」
なんとなんと!毎回ボッタクリされていた解体費用は商業ギルド持ちで解体してくれるそうだ。これは有難いじゃないか。
商業ギルドにある解体場に向かい、アイテムボックスの中身をぶちまける。
理解に苦しむ量のグレーウルフの山を目の前に、職員の応援を得てその数を数える。
グレーウルフが420匹、グレーウルフリーダーが45匹、グレーウルフは損傷が激しく素材にならない物がありますので、それは数えていません。
素材の代金は1,020,000Gとなり依頼達成数は45件となった。
解体をお願いして商業ギルドを後にする。
その足で冒険者ギルドに向かい、商業ギルドの買い取り明細を見せて依頼達成。
依頼件数のカウントはないが、グレーウルフリーダーも討伐報酬を出してくれるそうだ。
達成件数42件、討伐報酬は1,065,000Gとなった。
冒険者ギルドを出ておっさんの家に向かう途中、おねーさんの声が頭の中に響く。
「ヤマトさん、お伝えしたいことがありますので、転生課までお越しください。」
メンバーに先におっさんの家にいくように伝えて、一人で自宅へと戻る。
「ヤマトさん、急に呼び出してしまい申し訳ありません。転生住居登録係がお伝えしたいことがあるそうですので、転生住居登録係までお願いできますでしょうか。」
早速、転生課へとやってきたのである。
「ヤマトさん、ようこそお越し下さいました。突然のご連絡で申し訳ありませんでした。用件なのですが、ローカニル村から引っ越しをされた方がいまして、空き家が発生しました。建物はやや古いですが、作りは問題ありません。興味がある様でしたら、福引で使われるPでこちらの物件に住んで頂くことが可能です。物件が少し大きいですので、Pが多めに必要になり6500Pで物件の確保が可能です。いかがでしょうか?」
「その物件情報は見せてもらえますか。流石に6500Pは大きいですので、簡単に返事が出来る量ではありません。」
そう言うと、おねーさんが物件の詳細が書かれた書類を見せてくれる。
・物件は元宿屋だった(申請して開業も可)
・既に廃業していたが、スタンビートの噂を聞き王都に引っ越した
・大部屋5室(1F)、小部屋が10室(2F)、食堂と風呂、トイレ付
・馬車は4台まで収容可能。簡易厩舎、倉庫付き
・立地はギルドと村長宅の中間になる場所
・今後、別の物件を希望する場合は物件の下取りを転生課で行う
宿屋って家ではないと思うが、広い分には困らないのでこの物件で問題ないだろう。
物件の確保をお願いして魔法陣へと移動していると、
「ヤマトさん、ちょっとこちらへお越しください。」
おねーさんから行ったことのないカンターへ案内される。
そこは「支援物資供給係」と書かれており、希望すればPで魔道具が手に入るとのことだ。
・アイテムボックス(小)10,000P
・アイテムボックス(中)40,000P
・アイテムボックス(大)100,000P
・アイテムボックス(中箱)2,000P
・特技:絶倫A 300P
・特技:床上手A 2,000P
・特技:子沢山A 5,000P
特技がアイテムとして売られるとはどうなの?と思いつつ、カウンターを後にする。
魔法陣へと移動し異世界へと移動する。
おっさんの家へと向かい、既に食事中のメンバーに加わり食事する。
「実は広い家が手に入ったんだ。」
全員から「「「「えっ???」」」」という反応をされ、どう説明したものかと考える。
「商業ギルドが宿屋だった物件が空き物件になったと言ってたけど、あそこかね?」
おっさん、村のことはしっかり理解している。
「はい、その元宿屋ですね。ちょっとしたご縁があって、そこが使えるようになりました。」
「そうかそうか。商業ギルドも関係している物件なので、おかしな話ではないだろうから安心だよ。ところで、あそこは結構広いけど、管理はどうするんだね?」
管理する人間まで考えていなかったでござる。
「管理する上で一番簡単なことは、奴隷を買って管理させるのが一番いい。確か使用人の住居があったと思うから、そこを使わせれば待遇としては非常に良い待遇となるから、ヤマト君の考える奴隷のイメージは解消できるんじゃないかな。奴隷も買われないと生きていけないから、奴隷を買うことは悪いことじゃない。知ってる人は少ないんだけど、妻も元は奴隷なんだよ?両親の残した借金が返せなくて奴隷になった。でも今は村長婦人だよ。」
あまり言わないでと言ったでしょ!!と頭をバシバシ叩かれるおっさん。
言わないとすることは分かったので、奴隷の購入方法を聞いてみる。
「ここは村だから、奴隷商がいない。商業ギルドで斡旋しているはずだから、明日にでも聞いてみるといいよ。」
おっさん、なかなかの有能なのである。
食事を終えて、自宅へ戻る前に新物件を皆で見にいく。
これが家とはでかすぎるでしょ!!と皆で騒いで自宅へ戻る。
「パトリク、奴隷を買うけど好みはあるかい?」
とニヤニヤしながら聞くと、しっかり好みを教えてくれた。
絶倫A絶倫Aなので、少しは考えないと駄目だな。
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名前:ヤマト
職業:村人A
所持金:2,582,500G
所持P:900P
冒険者ギルドF 0/30件、商業ギルドE 870/1000P
E強化短弓 E小型鉄杭 Eハードレザーセット Eアイテムボックス(中箱)
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