オマケ 回避、する暇もありません!!
「かあさまーむふふ~」
僕の大切なサリアナの胸に顔を埋める幼女。
「あら、どうしたの?ライラ」
そわそわと見守る僕にはなにも反応するわけもなく、サリアナはその幼女に微笑みかける。なんて、羨ましい!!いっそのこと、僕も幼児になればサリアナは構ってくれるだろうか。と、幼女はこちらに視線を向けて……ニヤリと笑うとギュッとサリアナを抱きしめた。
────ああ、僕の娘というよりサリアナの血が入っていなければすぐさま叩き出す所だった…危ない。
ギリッと手を握りしめ、僕は耐えたのだよサリアナ。褒めてほしいくらいだ。なのに、何故ライラばかりに構う!
「かあさまー、だーいすきっ」
「かあさまも好きよ?」
「ライラの方がもっと好きー」
いや、断じて言おうか。僕の方が、もっと好きだし愛してる!君より、長く思ってるこの重みが違うよ!だからすぐさまその座を明け渡せ!
「サリアナ、僕とは会話もしてくれないのかい?」
痺れを切らし、僕が言葉を告げるとサリアナはキョトンとして「ラル様、居たの?」
なんてことだ!サリアナ、君は僕の存在に気づきもしてなかったのか!そして、そこ!ライラ、君は本当にサリアナの娘か?その、含み笑いはなんだ!侮辱しているのか、実の父を!そして君は本当に幼女かい?まったくもって、幼女にみえないよ!
「兄上、落ち着いてください。ライラは、兄上そっくりですよ」そう、サキエル言われ「そういうことか、僕とそっくりということは…ライバルか…」
サキエルはひとりため息をはき、「実の娘をライバル視しますか、普通…」
「………しますね、陛下ならば。」と、背後から答えられ振り向くとそこには愛らしさを残した女性が立つ。
「アリシア、君には苦労をかけてるね」
「いいえ、全然!私は、サリアナ様のそばに居られるだけで幸せですから!……よりも、ライラ様もちょっとお遊びがすぎますね」「え?」
「ライラぁーあーそぼー」とある幼児(男の子)がとてとて駆けてくる。「イル!あそぶっ」パッとサリアナから離れ、ライラは駆けてゆく。
「ああ、レイン様には適わないなぁ」アリシアは、そう呟き2人を見守る。レイン様の息子、イルミくんをちょうどいいタイミングで送り込んでくる。陛下は機嫌が大いに損なわれる前にライラが居なくなるのだ。
「サリアナ、僕は君が好きだ。なによりも、愛してる」
少しキョトンとしたサリアナだったが、すぐさま「私も、…です」少し頬を赤らめて言う。
「……それは、ライラよりもだよね?」
サリアナは思った。この人、ライラより子どもっぽい!
「ええ。愛してますよ、それにあの子…ライラはイルミくんを愛してますからね」
そう言えば、瞳がきらめいて「それは、良かった!」
サリアナは思った。それでいいのか?と。あの年で愛してる人がいるし、なによりもあの年だとパパと結婚するのーって言うんじゃないの?しかし、ライラは「かあさま、ライラはイルと結婚する」と断言してたんだよ?
言わないけど。
「僕とサリアナしか出来ないことをしようか?」
色っぽく言う、耳もとで。それは、一体どういうこ…
「跡継ぎに男児がほしい」囁き、「今度は、サリアナにべったりしない子がいい」
これは、もう嫌ぁぁぁぁあ!
回避、する暇もありません!!
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