イベント(1)
イベント開始会、複数話に分かれてしまいました。
あれから、掲示板などで、時間が40時間~60時間に増減したという報告が上がった。
70時間というのは、ベアから聞いた一例だけだね。
きっと戒厳令は出されてるんだろうけど、誰も守っちゃいない。
俺が相談なんかしたら、きっとプレイ時間増加必須だからしないけどね。
後、傾向として仕事とかで時間が取れない人を優先するみたいだね。
実際に睡眠と同じにならないぞと喚いてるやつは認めてもらえなかったようだ。
『一ヶ月程様子をみて改めて連絡下さい』
そう運営から返ってきたらしいから、体質云々はきっと建前だね。
ベアはときどき勇者と称する人を引き抜こうとしたり、自分のことを語りだしたりすること以外は役に立っている。
パーティは安定して、討伐領域で死にそうになることも無い。
人格や行動には問題があるけど、これなら我慢できるよ。
後、Aポイントと金銭のやりとりにちょっとした変化があった。
Aポイントは一週間後まとめて清算する形になった。
そして、お金は一ヶ月に一度差額を払う、もしくは貰う形になった。
銀行や郵便局が大変だったようだね。
それと、スキル更新のドリンクは100G取られるようになった。
安いんだけど、何かけちくさいよ。
中には僅かでもお金を払うのを嫌がって、一切更新していない人なんかもいるらしい。
そして、今は初のイベントだ。
参加は自由だけど、参加したほうが絶対いいとおもう。
サイトをみたら凄いことが書いてあったよ。
『戦争イベントで、敵を一体倒すごとにAポイントが1入ります。
隊長格クラスだともっと入ります。
首級だと、更に入ります。』
敵を最低一人でも倒せばプラスマイナスゼロ。
今まで死に続けていた人もチャンス到来だよ。
俺達はバランスがよいおかげか然程死んでないんだけど、あちこちみると結構死んでるね。
総トータルではきっとプレイヤー側が払ってることになると思うよ。
後、ベアが"生き返り"はまだだけど、ピンチヒールという死の間際になると発動する回復魔法を覚えてくれたおかげで俺達は更に死亡率は減っているね。
『尚、襲い掛かるモンスターには別アルゴリズムのAIが適用されており、人間に近い動きをします。
また学習機能もあるので、次回のイベント、次々回のイベントに反映されることになります。
スリルある戦いをお楽しみ下さい。』
NPCも敵も確かに一定パターンだから、別アルゴリズムのAIってのは楽しみだね。
他にも転用できそうな技術だし、このゲームで試験するというところかな。
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そんなこんなで、イベント当日。
それまでは、一応俺とカライガはトータルプラス、リンとベアはトータルマイナスの状態だよ。
俺以外は野良パーティでもやっているんだけど、なかなか酷いようだ。
ベアはただの回復役とみなされて、死にそうになっても誰も気付かずに死んでて、その事を責められる事が多い。
そのくせ、別プレイヤーが死ぬとサボっていると更に責められる。
「なに、凡人の戯言に耳を傾けるひつようはないさ。
なんせ、僕は勇者のプリーストだからね。
これも修行のうちさ。」
本人は涼しい顔でこんなことを言ってるけど、俺なら我慢できないな。
ただ、本人曰く、回復しか求められていないから回復しかしていないだそうだ。
リンは、高火力なので戦士と相対していた敵がリンに攻撃をしだすといった事が多いようだ。
俺等はカライガがうまく調整しているし、どうしてもターゲットがカライガから変わったら、俺が急所撃ちで倒してるというパターンで、特に問題にはならないね。
けど、他のパーティではリンがたこ殴りになるのを放置して、後ろから敵を倒すという事が多い。
そのせいで、リンは相当死んだようだよ。
カライガは安定してるけど、このパーティに比べて動きがのろかったり、酷いときにはワザとかと思えるように誤爆してくる奴が居るそうだよ。
時にはアイテムをパクられたりもしているようだ。
それもあって、収納量10倍のずた袋は普段はギルドに預けているとのこと。
「さてと、ここで一気に貯金をためないとね。」
「うううむ、運営に踊らされるのは気に食わんが、クレーマーのように扱われるのは気に食わんからな!」
カライガはまだまだあきらめていないようだね。
俺は、半ばあきらめているよ。
だって、面倒だしね。
マイナスにさえならなければ、何でもいいと思うよ。
そんなことを考えてると、脳内放送が流れ出す。
『あと30分でイベントが始まります。
皆様は、各街の防衛をしていただきます。
尚、街は数個あり、全て襲われると思っていて下さい。
隊長クラスと首級クラスに見た目の違いはないので、隊長クラスのどれかが首級となります。
また、首級を倒しても侵攻は収まりません。
時間いっぱいまで守りきるか、殲滅するまで続きます。
敵の数は発生から増加することはないので、ご安心下さい。』
そういえば、確かにプレイ人口と比較して、街の中のプレイヤーの数が少ないなと気がついたよ。
義務化されることを想定するなら、数千万人単位?
世界中で行われてるなら、最低でも億単位だろうしね。
街でばらけているのなら、納得だよ。
ちゃんと調べていれば分かった事なんだろうけど、何か途中でゲーム内の設定よりリアル側の情報や反応が気になっておざなりにしてたよ。
なおざりだっけ? どっちでもいいか。
『敵の発生する方向は、東西南北のどれかになります。
分割はされていないので、一面を保守すれば街は助かります。』
たしかに、初回から分断した敵を遊撃とか大変だしね。
『勘で守る場所をきめるもよし、無双するもよし。
皆さんの自主性におまかせして、放送を終わります。』
なるほど、下手に場所を間違えると敵を倒す事無く終わることもあるね。
敵の数次第だけど、そんな無茶はしないとおもうし、それなら居るパーティーで占領してAポイントを稼ぐのもありだね。
敵が少なくなってきたら、同士討ちも発生しそうな気もするよ。
Aポイントを狙って、醜い争いが起きそうだね。
そして、待機している北門の遠くに砂煙が見えてくる。
しばらくすると、姿も見えてきたよ。
肥満体にも見える体に、鎧をつけ、各々の武器をもち、規律無くこちらに駆けてくるのは、ファンタジーの定番、豚顔のオークだ。
オークが豚顔ってのはいいんだけど、豚って猪が養殖されて出来た品種と聞いたことがある。
それじゃ、豚顔のオークってなんだろう?
たまに、亜種で猪顔のオークが出てくるけど、こっちが本流なんじゃないかと思う昨今。




