プリースト
能力と人格は別という話かも
「それでは、今から僕のことを話そうか。
何、遠慮しなくてもいいさ、僕のことに興味深々なのは言わなくてもわかっているからね。
大丈夫、そんなに長い話にならないから、聞いてくれ。」
二人がログインして、紹介するといきなりベアが自己紹介をしようと言い出し、今に至る。
正直、色々気になることがあるから、教えてくれるのは助かるんだけど、話が明後日の方向にいかないようにしないとなぁ。
「まあ聞いてくれ。
僕は自宅警備員をしていたのだけど、兄と姉に言われて今日このゲームに参加することになったのさ。
何でも法令化が決まっていると、それなら何もしてないよりはと放り込まれた次第なのさ。
何、この世界でリアルマネーを稼ぐことができるというから、家族を見返しえてやるよ。
しかし、痛いのは慣れてないから、逆に必要とされるであろう回復職を選んだ。
職業はプリーストだ!」
ニートでヘタレでペーペーっと。
「しかし、初心者が何の情報も無しで参加するというのは無謀だ。
そこで、なんでもメール等で相談を受け付けているというではないか。
何度かのメールのやり取りの結果、適正時間が70時間に調整されたというよく分からない返信がきたわけだが、それが一週間のプレイ時間と聞いていっそここに住もうかと考えている。」
そういえば、運営は『ご相談頂ければ、随時対応』とメールに書いていたけど、一言も時間を減らすなんて書いてなかったね。
増やすこともあるわけだ。
「そうそう、この話は内密に頼むよ。
僕から漏れたと分かったら、どんなことを言われるか。
そういえば、口止めされていたような気もするが、この場では気にしなくてもいいだろう。」
いや、気にしろよ、パーティ責任で全員ペナルティとかなったらたまらんよ。
「おぬしは、ワシ等のパーティに入りたいと、そういうことで良いのか?」
「回復役は確かに居ないから助かるわ。
HPって概念がないけど、その点は大丈夫なんでしょうね?」
「HPの概念がないって、冗談、そんなゲームでプリースト職って・・・・・・あ、本当にない!」
俺は、ベアの目を強制的に覆って、ステータスを見せて、HPが無いことを確認させる。
「しかし、心配することはない!
オートマチックヒールという、光魔法があるから、きっとこれで、ダメージを受けた人を自動的に回復するに違いない!」
カライガとリンの視線はこちらに向いている。
その視線は、こいつどうするよということを語っている。
付き合いはまだ二日だけど、案外目線で会話ってできるもだね。
「あらためてかくにんするけど、ベアは回復魔法しか取っていないの?」
「愚問だな!
僕は戦の神に仕官える神官をしているんだから、戦闘サポートの魔法もとっているさ。
シールド、プロテクション、レジスト、ファナティシズム、ホーリーエンチャント、レーザービーム、ライト、バトルボイスといったものさ」
うん、戦力としては回復&補助で大変バランスが良いよ。
・・・・・・ビームはどうかとおもうけど。
「けどあれだね、勇者様はまだ参加していないんだね。
重戦士、軽戦士、魔法使い、僧侶、後は正当な勇者がいればきっと伝説になるよ、僕等は。
さあ、勇者様を探して迎えて魔王を倒そう!」
「トンよ、スキル構成はともかく、こいつは大丈夫か?
ワシは不安でならんぞ。」
「私がいるからって、変な奴を入れても大丈夫なんて思わないでよ。
敵は倒せても、馬鹿の行動をいちいちコントロールするなんて面倒でしかたないんだから。」
二人の不安は尤もだね。
けど、俺はこいつは使えるとおもっている。
なので、ちょっとベアは席を外してもらって、別途相談することになった。
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「二人の意見は分かるし、人格的にも問題あるとおもうよ。
けど、それでも彼を入れるのはベターだと思ってる。」
流石に二人は渋い顔をしている。
「では聞くが、あやつを入れるメリットはなんだ?」
「まずは、彼がプリーストであることが大事だよ。
今はまだ覚えてないか、覚えられないかだろうけど、いずれは生き返りの魔法をおぼえるよね。
一度死んだんだけど、そのときに生き返りがあればと思ったよ。」
カライガは微妙は表情でこちらを見る。
「それって、ひょっとして銃で撃たれて死体を漁られた?」
「そうだけど、リンはなんでしってるの?」
「やっぱり、それ私を最初に殺した奴等だわ。
きっとNPCね。
初回から拳銃って、私もリアルマネーでようやく購入できたんだから。」
リンは相変わらず、リアルマネーでアイテム買ってるらしい。
翌々考えたら、最初にあったときもそんなことを言ってたね。
「ふううむ、そういうNPCにも気をつけねばいかんな。
ひょっとして、あやつの魔法にはそういった存在に気付けたり隠したりする魔法があるやもしれんな。」
「光だから、十分ありえるとおもうよ。
それと、生き返りの魔法を覚えたらあちこち引っ張りだこになるのは予想がつくからね。
それなら、今から確保するのも悪くないとおもう。」
二人がうなずくのをみて言葉を続ける。
「もう一つは、お金に関した話を俺達に殆どしていないということ。
稼ぐとしか言ってないよね、寄生する気は多少はあるにしても、比較的ドライだしね。
多分、これからのプレイヤーは二極化するとおもうんだよね。
なるべく長くログインして死なないようにする人達。
Aポイントを貯めてお金を稼ごうとする人達。
どっちが悪いというわけではないけど、俺達はどちらかというとAポイントを稼ぐ側になるとおもうよ。
これから別のパーティに入ったりすると、ポイントを稼ぐことで方針のぶつかり合いとかがおきると思うんだ。
それなら、お金に関してしがらみを考えてなさそうなベアは良い仲間になるとおもうんだよね。」
二人は俺の言葉を反芻しているのか、目をつぶって考え込む。
実際の話、この程度の問題は想像の中だから、序の口だと思ってるんだよね。
きっとこれからもっとリアルでもVRでも酷い事が起こるとおもう。
「わかった、トン、おぬしの意見に従おう。」
「私は、はじめから反対なんかしてないわよ。
面倒だっていっただけだし。
それに、ベアが生き返りを覚えたら私は楽になるから、文句はないわ。」
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「僕の格好良さを話し合う会議は終わったかい。
何、遠慮しなくていい、僕は立ってるだけで様になるからね。」
う、うーんちょっと考えたくなってきたよ。
けど、人格には目を瞑ろう。
気を取り直して。
「「「我等がパーティにようこそ」」」
これで4人になりました。
次は、イベント会の予定。




