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Operation PERSIMMON  作者: lemonia
プロローグ

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プロローグ

六年前。


まだ、PERSIMMONという名前はなかった。


 前線の町外れにある、使われていない整備工場だった。


 壁際に車両部品が積まれ、奥では古い発電機が回っている。

 油と埃の匂いがした。


 誠は作業台の前に立っていた。


 濃紺のフィールドジャケット。

 袖は肘までまくってある。


 その隣に猿田がいた。


 砂埃のついた戦闘服。

 肩から無線機を下げ、壁には長い銃のケースを立てかけている。


 二人の向かいに、米丸が立っていた。


 二人より一回り以上年上だった。


 防弾装備はない。

 古びた作業服の上に、薄いナイロンジャケットを羽織っている。

 手にしているのは、使い込まれた革のファイルだった。


 誠は猿田を見た。


「こいつ、RICEBALLでいいからな」


「やめろ」


 米丸が言った。


「おにぎりだぞ」


「知ってる。だから嫌なんだ」


 猿田がわずかに笑った。


 誠は気にも留めなかった。


 米丸の肩を、指先で軽く叩く。

 それから、隣の猿田を指した。


「今後はコイツも、俺と同じ条件で取引してやってくれ」


 米丸は猿田を見た。


「隊長と同じ条件で?」


「そうだ」


 米丸は少し考えた。


「分かった。お前も同じ条件でいい」


「よろしく」


 猿田が言った。


     *


 最初の便は、予定より早く届いた。


 燃料だった。


 猿田は受領書に目を通した。


「早かったな」


「毎度あり」


 米丸はファイルを閉じた。


 猿田の班は、その月の任務を予定より早く終えた。


 次は車両だった。


 その次は弾薬。


 必要なものを頼めば、必要なときに届いた。


 誠を通す必要もなかった。


 猿田は、米丸との直取引を使って、一定の成果をあげていった。


     *


 何件か仕事を重ねたあとだった。


 米丸が、いつもより遅く整備工場へ入ってきた。


 猿田は車両のボンネットを閉じた。


「いつも世話になるな」


「商売だ。礼は要らん」


 米丸はそう言ってから、手にしていた書類を見た。


「ところが、こんなものが出てきた」


 米丸は一枚の精算書類を差し出した。


 猿田が受け取る。


「その便、俺はやってない」


「偽の請求か」


「だったら話は簡単だ。だが、この便で運んだことになってる荷物がある」


 猿田は書類を見た。


「何が」


「まだ調べてる。燃料だけじゃないかもしれん」


 発電機の音だけが響いていた。


 猿田は書類を折りたたんだ。


「隊長に渡しておく」


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