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戦国武将依田康真が囲碁の対局後に間違いを犯さなかったら?  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』


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8/11

依田康国の現状

 戻って二俣城。

「大久保様。兄の近況をお聞かせ願えますでしょうか?」

「依田の方々共々私の意見を良き聞いてくれて助かっている。佐久の国衆に付いては今は私が見ているが、そのまま康国が寄親となる様再編成している所である。」

「領内に付きましては?」

「其方の父信蕃の時、反抗して来た連中は佐久には居らぬ。上杉から取り戻した小諸は拡張中。いつ敵が攻めて来ても問題無い様準備している。」

「攻められる恐れがある?」

「領内に問題は無い。碓氷峠の向こう北条に付いても和睦済み。いくさとなる可能性があるのは上杉。厳密には真田昌幸である。奴は北条との取り決めによりうちの家臣となる事が決まっていたのだが……。」

「問題が発生したのでありますか?」

「真田は上野にも権益を持ち、それを北条に明け渡す事を渋っていた。その間真田は、上杉への備えのためと言って城の新築を願い出て来た。それが今の上田城。この城を築くに辺り、殿は多額の資金を投じたのだが……。」

 真田昌幸は上杉景勝に奔ってしまった。

「これでは示しが付かないので、討伐の兵を挙げたのだが……。その上田城を利用され、真田を破る事は出来なかった。でもな康真。そのいくさでお前の兄は大活躍。殿から感状が発給されている。初陣でだぞ。流石は信蕃の息子。見事な働きであった。」

「それは何よりであります。ところで真田は今?」

「相変わらずだ。北条は北条で上野の真田領を攻めているのだが、沼田を抜く事は出来ていない。そうこうしている内に殿は秀吉と和睦。秀吉と上杉は同盟関係にあるため、真田との境界は……。」

「確定となってしまう恐れがある?」

「うむ。ただそうなってしまえば上杉も、うちにちょっかい出す事は出来なくなる。真田が単独でうちを攻める事は出来ない。上田と川中島を手に入れる事が出来ないのは口惜しいがこればかりは仕方がない。」

「となりますと兄上がいくさの場に出る可能性は……。」

「尾張の織田様も秀吉に従ってしまった以上……康国に活躍の場は残されていないかな?同じ事は其方にも言える。所領を増やす機会を与える事が出来ないのは申し訳無いと思っている。」

「いえとんでも御座いません。私は生まれてからずっと人質と言う立場にあり、その間。武田の滅亡に始まり、父の蒸発。」

「……そうであったな。其方の父が信忠の下を訪ねようとしてそのままであったな?」

「後に殿が父を助けるためであった事がわかり安堵していましたが……。」

「その時が其方ら兄弟が最も危険であった。申し訳無いと思っている。」

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