60話 いつか“あなた”と、あの月の下でリンゴ酒を――
※この60話にて、現在の章「太陽を食み、月を追う」は終わりとなります。
掲示板回と合わせ、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
† † †
【祝!】エクシード・サーガ・オンライン総合スレ224【正式サービス決定!】
1:名無しのVRゲーマー
ついに正式サービスが発表されたぞおおおおおおおおおおお!!
者共、であええええええええええええ!!
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エクシード・サーガ・オンライン正式サービス決定公式配信
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2:名無しのVRゲーマー
>>1乙
マジか! 思ったよりも早かったな!
3:名無しのVRゲーマー
>>1乙
待ってたぞおおおおおおおおお!
4:名無しのVRゲーマー
>>1乙
なんか、公式配信がお祭りやってんなぁ
5:名無しのVRゲーマー
>>1乙
あんだけの大規模レイドバトル問題なくできるんだからな
そりゃあ正式サービスだって当然イケるわ
6:名無しのVRゲーマー
>>1乙
>>4
大規模レイドバトルが終わったから公式バーチャルアイドルたちがコンサートやってるねん
7:名無しのVRゲーマー
>>1乙
>>4
つか、今回は四人のライブらしいからな
8:名無しのVRゲーマー
>>1乙
>>7
マジか!? ついにクロちゃん歌うんか!?
9:名無しのVRゲーマー
>>1乙
>>8
マジ、その発表時のクロちゃんのご尊顔のSSがこれぞ!
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10:名無しのVRゲーマー
>>1乙
>>9
目が死んでらっしゃるぅ!?
11:名無しのVRゲーマー
>>9
無茶しおって……(ほろり)
12:名無しのVRゲーマー
>>9
なんかエレちゃんと練習したら意外に歌えたことが判明したんだっけ?
13:名無しのVRゲーマー
>>9
事務所からOKでるくらいには歌えちゃったらしいね、ガチで
>>12
らしいね、そのまま社長に確認してもらったら問題無しの太鼓判もらったってよ
ただ、社長曰く「歌いたくないなら無理しなくていいですからね」ってことだったらしかったけど……
14:名無しのVRゲーマー
>>13
クロちゃんにそれは逆効果だべ、むしろやるって言っちゃうだろ
15:名無しのVRゲーマー
>>14
おう、そこは解釈一致じゃな
16:名無しのVRゲーマー
>>13
クロちゃん、エレちゃんに頼まれると弱いとこあっからな
押しに弱いお母さん属性とお姉ちゃん属性のダブルブリットだから
17:名無しのVRゲーマー
>>16
そう言われると途端に属性過積載してる気がしてくんな、クロちゃん
18:名無しのVRゲーマー
おーい、そろそろリアルタイムライブ始まるぞー!!
19:名無しのVRゲーマー
>>18
いえー! 靴下だけ履いて待ってた!
20:名無しのVRゲーマー
>>18
OK! せめて配信席でサイリウム振ってるわ!
21:名無しのVRゲーマー
>>18
酒とつまみも用意しておるぞー!
22:名無しのVRゲーマー
>>18
外のバーチャルアイドルの配信の配信も大盛りあがりだわ
23:名無しのVRゲーマー
>>19
風邪引くぞ、せめてネクタイはしろ
24:名無しのVRゲーマー
>>23
大差ないんだよなぁ!
† † †
257:名無しのVRゲーマー
すっげぇな、あの桜吹雪! 一枚一枚きっちり演算されてね?
258:名無しのVRゲーマー
>>257
おめー、髪の毛一本単位で演算するシステム様だぞ? あ?
258:名無しのVRゲーマー
……どうして髪の話をするの?
259:名無しのVRゲーマー
>>258
ごめん
260:名無しのVRゲーマー
>>258
許せ
261:名無しのVRゲーマー
>>258
機嫌直せよ、な?
262:名無しのVRゲーマー
>>257
ライブのテーマが今回は『春夏秋冬』らしいからな
トップバッターはシロちゃんかー
263:名無しのVRゲーマー
普通にシロちゃん、声の伸びいいよなー
聞いてて心地いいわ
264:名無しのVRゲーマー
あの着物、地味にすごくね? 模様動いてんだけど?
265:名無しのVRゲーマー
>>264
VRならではだわ、AR技術でも同じことできっけど見え方がやっぱこっちの方が自然
266:名無しのVRゲーマー
配信席からもグリングリンステージが迫る感じで迫力すっげぇ!
† † †
402:名無しのVRゲーマー
夏担当はエレちゃんだけど……え? あれは水着なんですかね? ドレスなんですかね?
403:名無しのVRゲーマー
すごいな、水の中のイメージなんだろうけど水泡とか海に注ぐ光の揺れ方とかリアルだわ……それでいて、現実ほど圧迫感ないなぁ
404:名無しのVRゲーマー
>>402
純白のセパレート水着に黄金色のパレオ風のドレスが重なってる感じ? やっぱ、リアルじゃ描写できないことするわ、これ
405:名無しのVRゲーマー
>>402
汝が思いたいように思っていい。正直、そんぐらいどっちにも見えるわ
406:名無しのVRゲーマー
>>403
恐怖症の人とかいるから、そこに配慮して物理エンジンのリアリティを下げてんだと思うよ。VRは低いとこから上げるのは難しいけど、上から下げるのは結構融通利く
そのあたりは技術力出してきてるわ
407:名無しのVRゲーマー
エレちゃん格好いい系と可愛い系、どっちも歌い分けられるのいいなぁ
恋愛ソング、普通に可愛い
408:名無しのVRゲーマー
エレちゃん、中の人も見た目に近そうな年齢っぽいから初々しさもあっていいわ
戦ってるときとのギャップ萌えもいいよね……
409:名無しのVRゲーマー
ひえ!?
410:名無しのVRゲーマー
うっわああ!!
パレオ? ドレスのスカート? 広がったと思ったら一気にひまわり畑になったんだけど!?
411:名無しのVRゲーマー
やっぱ、エクシード・サーガ・オンラインの効果有効利用のステージいいなぁ!
412:名無しのVRゲーマー
なんだろう、海が遠くに見える小高い丘のひまわり畑を白いワンピースで歩く女の子……いい……
† † †
675:名無しのVRゲーマー
うっわ……ちょ……
676:名無しのVRゲーマー
ちょっと待って、ちょっと待って!
第一声から鳥肌すごいんだけど……
677:名無しのVRゲーマー
秋担当はディアナん……なんだが、やっぱ、上手すぎるわ……出だしからぞわぞわって鳥肌たった
678:名無しのVRゲーマー
バーチャルアイドルのコンサートで、バラードでこんな鳥肌立つと思ってなかった……
688:名無しのVRゲーマー
なんだろうな、これ……たった一本の紅葉の木の下で月明かりだけで歌ってるだけなのに……迫力すげぇ……
689:名無しのVRゲーマー
※運営から緊急速報
「現在、ディアナさんはライブステージの音響装置を使用しておりません。リアルで言うところのマイクなしで歌っているのと同じ環境です」
690:名無しのVRゲーマー
>>689
ちょっと待って!? マジで!?
691:名無しのVRゲーマー
>>689
はぁ!? オペラ歌手かなにか!?
692:名無しのVRゲーマー
>>689
やっべえ、その情報で鳥肌ひどくなったんですけど!?
693:名無しのVRゲーマー
>>689
待って! ようは配信席の方はステージ外のマイクが拾ってる声聞いてるだけってこと!?
694:名無しのVRゲーマー
>>689
これでゲーム経由して音割れしてねぇってVR機器の音弄ってんじゃなくて、リアル声量で聞かせてるってことかよ……
695:名無しのVRゲーマー
>>689
ディアナんひとりだけレベルが高す――はい!?
696:名無しのVRゲーマー
銀のドレスが赤く変わった!? 紅葉の葉が散って舞台に……!?
697:名無しのVRゲーマー
サビでいきなり演出で本気出さないでぇ!? 歌に殺されるぅ!
698:名無しのVRゲーマー
ちょっとぉ、泣けてきたんだけどこの感動なにぃ!?
† † †
945:名無しのVRゲーマー
トリが冬担当のクロちゃんかー
946:名無しのVRゲーマー
新スレ建ててきたぞ!
【クロちゃん】エクシード・サーガ・オンライン総合スレ227【ついに歌う】
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947:名無しのVRゲーマー
>>946
でかした!
948:名無しのVRゲーマー
よーし、ではこのスレは一気に埋めるぞい!
949:名無しのVRゲーマー
>>948
おー! 確かにすっげえ楽しみ!
950:名無しのVRゲーマー
>>946
おーし、次スレに乗り込むぞ―!!
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【クロちゃん】エクシード・サーガ・オンライン総合スレ227【ついに歌う】
1:名無しのVRゲーマー
ついにベールを脱ぐクロちゃんのアイドルとしての歌唱力!
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エクシード・サーガ・オンライン正式サービス決定公式配信
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118:名無しのVRゲーマー
……やられた
119:名無しのVRゲーマー
うん、上手いよ、クロちゃん
すんごい上手い……けどさ……
120:名無しのVRゲーマー
やっぱり、みんな同じ疑問を抱いたか……わかる、わかるぞ……
121:名無しのVRゲーマー
なんで演歌なんだ? クロちゃん……
122:名無しのVRゲーマー
いや、上手いよ? 拳回しもいいし、あのテンポの曲しっとりと聞かせられるの、すごいと思うよ……?
でも、でもさ……ぁ!?
123:名無しのVRゲーマー
ディアナんとは違う意味で観客席も配信席も静まるわ……静聴モードよ……
124:名無しのVRゲーマー
黒い着物に赤の番傘、雪景色の街……すっげえ似合ってる……
125:名無しのVRゲーマー
なん、だろ、これ……オレ、演歌でサイリウム……振った、こと、なくて、あの……っ
126:名無しのVRゲーマー
ディアナんの時は篝火みたいにしっとり振れたけど……これは、難しい……っ
127:名無しのVRゲーマー
居酒屋で古ぼけたレイディオに耳を傾けておるようで、酒は進むぞ?
128:名無しのVRゲーマー
>>127
それ、前世紀……昭和とかいうの……俺ら、生まれてない……
129:名無しのVRゲーマー
>>125
無理はするな、引け……聞くだけ……もう聞くだけでいいから……
130:名無しのVRゲーマー
でも、あれだな……やっぱ、目の光が消えてらっしゃる……
131:名無しのVRゲーマー
>>130
それが、逆に……去っていく男の背中を見つめる女の情念を歌い上げるのに……あってて困る……
† † †
「…………」
セント・アンジェリーナの街の片隅。遠くから聞こえてくるバーチャルアイドルたちの歌声をぼんやりと聞きながら、シードルはベンチに腰掛けていた。
PCもNPCも、みんな大通りに行っている。だから裏通りはとても静かで、シードルにはむしろ有り難かった。
「ミレーヌちゃん……」
街のどこを探しても、彼女の姿は見つからなかった。あるいは、セント・アンジェリーナの街から事前に避難したのかもしれない……少なくとも、働いていた酒場ではなにも知らない、とのことだった。
「……夢でも見てたのかね、俺は」
実はミレーヌなどという酒場の従業員はいなくて、酔った自分の妄想だったのではないだろうか。正直、ありえないこともない……このエクシード・サーガ・オンラインだって、ただのゲームで夢のようなものなのだから。
「……はは、は……」
自然と乾いた笑いが喉奥からこみ上げる。シードルはその手から酒瓶、シードル――自分の名前にもしたリンゴ酒だ――を飲もうとして、カツンとなにか硬いものに気づいた。
「ん……?」
それはブラックボックスと呼ばれる黒い箱だった。淡い銀色を纏うそれは、レイドバトルで得たものだ……あの戦いが、ミレーヌを守るために戦ったという事実が、嘘ではない唯一の証拠――。
「……あ?」
カシャカシャカシャ、とシードルの手の中で黒い箱が開いていく。そこにあったのは、小さな白銀色のグラスだった。
† † †
・月輪のグラス
一日に定められた量のアルコールしか注げないグラス。それ以外特別な効果は一切ない。愛しき英雄が、どうか酒に溺れぬようにという彼女の想いの結晶。
……もしも許されるのならば、本当の“私”の元へ会いに来てください。追うためではなく、貴方の隣に寄り添うために――“私”は月下のヴァルホルにてお待ちいたしております。
† † †
「…………は?」
そのアイテム欄に書かれた文字が、不意に滲む。なにがなんだかわからない、いや、わかりたくない。
それでも、その想像はストンとシードルの胸に落ちるものがあった。今になれば、納得できるいくつかの出来事があった、そのはずだ。
「もしも……もしも、キミが……あの、ハティ……だった、のだとしたら……」
だったら、俺は英雄になっていない。まだ、本当に彼女を守ってなどいない。目元を拭ったシードルは己と同じ名の酒を月輪のグラスに注ぎ、満月に向かって掲げた。
「行くよ、必ず……キミの元へ、英雄になりに――!」
† † †
正式サービスが始まってから開放された英雄回廊:ヴァルホル。
その険しき道のりを踏破し、到達第一陣の中にとある酒と同じ名前の英雄がいたとされるが――それは、また別の物語である。
† † †
実はシードルさんのお話、外伝的に別プロットがあったりなかったり?
外伝に関しては人気が出たり、こう、上手いこといって書籍化したりしたら独立して実は書きたいな、と思ってます。そのあたり、今後の展開次第、ということで。
“影”は本体ときちんと繋がっております。そこは某女狐さんで実証済みですねー。
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