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第14話 ばっほい!

ご閲覧ブックマークありがとうございます。

七月からタイトルを変更させていただきます。


現在「せっかくの異世界召喚ですが必須スキル未所持なので森に引きこもろうと思います。」

予定「半端な異世界適応者の半端な引き籠もり生活」


御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

「あそこにいるのは?」

「あれは牛じゃ。乳牛じゃにゃ。食肉用は他で飼われておるようじゃ」

「じゃああっちは?」

「あれは羊。お前さんが着とる服はあやつらの毛から作られとる」

「そんじゃあれは?」

「あれは鶏。炭火が美味い」


 翌日の午前、フアト村の一角。動物を飼育しているエリアでイニャトさんと2人きり。さわさわと揺れる草の音が心地いい。


「大昔の人間達は魔物を狩って肉を獲っておった。しかし異世界人達と関わるようににゃってから飼育を覚えたらしい。凶暴にゃ魔物の中から穏やかな性格のもん同士を交配させ続けて今に至るんじゃと。名前は異世界人達が呼んどった名残じゃにゃ」


 イニャトさんが牛乳で作られたアイスを食べながら教えてくれた。


「ほぁ~、なるほど」


 私もアイスをぱくり。うん、素朴な甘さ。


「といっても、味はやはり魔物の方が美味いもんもおる。じゃから魔物は高級肉、飼育肉は家庭用にゃんじゃ」

「ああ、魔物もまだ狩ってるんですね」

「そりゃあそうじゃ。増え過ぎれば村が襲われるし、村が傷を負えば国が痛む。じゃからアシュラン王は冒険者を大切にしておるんじゃよ。どこぞの間抜けにゃ王は冒険者を剣でしか己を見出だせぬ愚か者と罵ったが為に見限られて国を滅ぼしてしまったがにゃ」


 適度な狩りはどこでも必要なんだな。猪を狩りに行くようなもんか。


「アシュラン王って名前はこの国の王に代々受け継がれるんですよね? 今のアシュラン王は何代目なんですか?」

「四代目じゃよ」


 ん? 三代目?


「神々が見守った戦争って400年前ですよね? その時の王は三代目って言ってませんでした?」

「王はエルフじゃからにゃ。1人がだいたい500年から600年統治しておるんじゃよ。先代の王は今は国のどこかで隠遁生活らしい。今代の王はその息子じゃ」

「わーぉ、ファンタジー……」


 500年国を治めるって凄いな。


「イニャトー! ニャオさーん!」


 遠くからニャルクさんの声が聞こえた。目を向けるとニャルクさんを乗せた黒犬が全速力で走ってくるのが見える。


「ちょっ! 待って待って待って!!」


 慌ててアイスをイニャトさんに渡す。イニャトさんが受け取ってくれるのと同時に黒犬に飛びつかれた。ニャルクさんは飛び降り済みだ。


「ばっふばっふ!」

「重い重い! バウジオ落ち着いて!?」

「ただいま戻りました」

「お帰りじゃよニャルク~。どうじゃった?」

「受付嬢に話したら確認が取れるまで2、3日かかるそうです。情報料はそれからだとか」

「っかーーー! その間足止めされるんか! 面倒じゃのう……」

「まあまあ、その分それなゃりのお金が貰えるんですから」

「ちょっと! ニャルクさんイニャトさん! お宅の犬どうにかしてくださいよ!」

「ばっほい!」

「何その鳴き方?!」


 尻尾をお尻ごと振るもんだから、前足をかけられている肩と上半身が揺れる揺れる。長毛のグレート・デンみたいな体躯なんだから、ちょっとは遠慮してほしい。


「いやぁ、元気ににゃってよかったよかった」

「ええ、本当に。旅の途中で死にかけているのを見つけた時はどうしようかと思いましたが、もう大丈夫ですね」

「そうじゃ、ニャルクよ。こやつを治すのに使い果たしたポーションは買い足したか?」

「あ、まだですね。後で買わにゃいと」


 真横で交わされる呑気な会話。昨日のテントで聞いた話なんかどうでもいい。バウジオって名づけて旅のお伴にしたとか純血のクー・シーとハーフのクー・シーの両親とブラックドッグのじい様かばあ様を持つ4分の3妖精で4分の1魔物のわんこだとか今はどうでもいいから!


「つ、潰れる……」


 がくっと膝が曲がる。背中に痛みと青い空。バウジオの満面の笑顔。

 人間って脆い。


「ニャオさん、あにゃたが見たレッドドラゴンとグスターブとケリュネイアはギルドに報告しました。後日情報料が支払われますから、それまで村で待機してください」

「ケリュネイアは儂らも見たから折半じゃよ」

「ありがとうございまぁす……」


 魔物を見たら冒険者ギルドに報告しないといけないって言われても、相変わらず人間とは言葉が通じないから報告しようがないんだよなぁ。ギルド登録してるニャルクさんに代理で伝えてもらったから今回は助かったけど。

 それより、今現在私の上であくびをしてる4分の1魔物をどうにかしてほしい。


「あの、助けてくださ……」

「それにしても、こんにゃ村の近くでレッドドラゴンとは……。恐ろしいのう」

「グスターブはそのレッドドラゴンに狩られたとのことですが、別個体が残っている可能性もありますからね。安全が確保されるまでは僕達も村にとどまった方がいいかもしれません」

「じゃがそのグスターブが住んどった川がこの村に続いておるんじゃろ? ここも安全とは言えんぞ」

「それはそうですけど……」


 あ、完全無視なのね。

猫も犬も大好きです。

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