表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/63

模擬戦。

「分かった?」


 スガモは、ネイキッドに戦闘の感想を聞く。


 昼食後、ジュースなど飲みながらの会議だ。


 少年2人は体力を回復するため、おかわりまでしてちょっと苦しかったが。スガモの用意してくれた特製メニューのおかげで、2人の体力、魔法力は完全に回復していた。


「はい。猪突猛進ではいけない。相手の性質を見極めて、有効な戦術を取る事、ですね」


「ま。そゆ事。ヴェルグならともかく、今のあなたが勝てない敵なんて、世界にはゴロゴロ居るのよ。そんな奴らに真っ正直に全力で挑むだけで勝てるなら、この世に負ける者なんて居ない」


「はい」


 それこそ、ネイキッドが今、ヴェルグと真剣勝負をしたなら、100億回戦っても、一度も勝てないだろう。


 そんな奴と正面から戦ってはいけない。


「そして。例え相手がヴェルグでも、本気になる前に、あんたとオウザが完全なコンビネーションを見せれば、勝機が無いわけじゃない」


「マジっすか!」


 オウザも全力で食い付いた。


 戦士ヴェルグは、現在の世界での最強の1人。


 ヴェルグ、メイストーム、スガモ。そして現役は引退しているはずだが、ヤヨイ。勇者パーティーは、まだ全員が戦える状態なのだ。



「ヴェルグと言えど、所詮は戦士。オウザ。あんたなら、一方的に潰しにかかれる。ネイキッド。あんたは、オウザの盾になる。それで、勝ちよ」


 ・・・理論は、そうなのだろう。


 理屈の上では、正しいのだろうが。



「む、無茶っす」


「うむ・・・」


 オウザもネイキッドも、真に受けてはいなかった。



 まず、オウザの魔法でかろうじて通用するのは、廃滅ラドくらいか?拘束ラッカなど、一瞬の足止めにもならないはずだ。触れただけでちぎられる。


 そして廃滅ラドをモロに食らうような者なら、魔王討伐など夢のまた夢。


 更にネイキッドが盾になるという話だが。


 本気で巨大化アズマを使って、数秒なら。まあ。


 それ以上は、無理。



 絶対的な実力差が、そこにはあるのだ。



「それを、出来るようになってもらう」


 スガモは相変わらず無表情な顔で言った。


 しかし、声は真剣だった。


 でなければ、メイストームやヴェルグに合わせる顔が無い。




 昼食後は、模擬戦。


 ネイキッド、オウザ対スガモ。



「本気を出して良い。何をしても良い。作戦を立てる時間は、10分。はい」


「はい!」


「はいっす!」


 言い終わるとスガモは、先ほどネイキッドが使った空中修練場を拡張して行った。



 そしてこちらでは作戦タイム。


「まず、おれの魔法の一切が通用しないと思って良いっす」


「分かった。おれのサポートを頼む」


 これはどうしようもない。ネイキッドにもよく分かる。


 これが対ヴェルグなら、ネイキッドも同じ事を言っただろうし。


「まさか廃滅ラドは来ないとは思うっすけど。一応、魔法の回避は確実に」


「ああ。まず、避ける」


「おれに込められる限りの魔力でネイキッドをサポート。んで、戦闘中は、スガモさんに嫌がらせして、集中力を削ぎ落とすっす。後はその場その場で動くつもりで、声かけ確認しつつ」


「了解だ」


 そもそも綿密な作戦など、組み立てられない。


 こちらはスガモの戦力を知らないのだから。


 だが、そんな事は分かりきった事。


 これは、その、知らぬ相手との戦闘訓練。自分達より強い、未知なる強敵との戦闘を予期した試合。


 言えば、スガモは、ネイキッドとオウザを、次代の勇者として認めてくれているのだ。


 それも、この戦いで無様をさらせば、無かった事になるかもだが。


 何にせよ、全力。


 丁寧に当たれば、実力は出る。そのように鍛えて来た。


 ヴェルグ師匠が認め、メイストーム師匠が恐れる、魔法使いの頂点との戦い。


 ありがたく、堪能させてもらおう!



 3人はより広大になった修練場に立ち。


「お願いします!」


「お願いします!」


「はい」


 開始!



オ オ オ


「ふうううう・・・・」


 運動能力増強、反射速度加速、そして防御結界。オウザが本気で込めた強固ツモリイシによって、ネイキッドの能力は常時の10倍を超えた。


 強化魔法をかけ終えたなら、オウザ、ネイキッドによる同時攻撃!


 まずオウザの電撃スピア!一撃に全力をかけ、防御結界をあらわにする!


 そこをネイキッドがぶっ叩く!!


 使うは無論、巨大化アズマ!!!



ゴ!!!!



 手応え・・・・あり!


 確かに叩いた。ネイキッドの右掌には、防御結界を真上から押し潰した感触があった。


 ・・スガモは、大丈夫なのか?


 それがヴェルグであっても、防御なしで本気で直撃させたなら、いくら何でもダメージを与える自信はある。


 巨大化アズマを使っているため、スガモの姿は見えない。ゆえに、右手をのける。


 そこには。



「?なぜ、連続して仕掛けないの?」


 全く無傷のスガモが首をかしげていた。



「あの・・・・。今、結界を壊した感触があったんですが」


「ええ。見事だったわ。正直、見くびってた」


 スガモに、褒められた。それは嬉しい。が。


「え・・。それで、なんで、無事なんすか?」


 ネイキッド、オウザの疑問に、スガモは分かりやすく答えてくれた。


「私の結界は、常時100枚張ってあるから。もちろん、戦闘中の話ね」


 非戦闘中は、体内予備結界を含めて、千枚。何度も暗殺を防いでくれた、相棒のような魔法だ。


 更に付け加えるなら、この試合の最中に張っている結界は、スガモの余剰魔力で構築した、最も出力の弱い結界。普段の癖で、枚数はすごい事になっているが。



 ネイキッドは、視線を地面に向けてしまった。全力で攻撃して、さほど魔力を込めてそうでもない結界を、たった1枚のみ。奇襲のために、既に体力の1割を消費した。これで、スガモの100分の1の魔力量すら削れていない。


 オウザもまた、改めてスガモの力を知った。先の電撃スピアは確かに威嚇いかく。魔法攻撃にスガモの意識を行かせた瞬間に、本命のネイキッドの打撃。そういう作戦ではあった。それでも、全力で撃った電撃スピアで、100枚からの結界を1枚たりとも壊せなかった。



 格が、違う。






 スガモは、ちょっと楽しくなった。


 昔を思い出してしまった。



「おれが、結界を削る」


「何とか、やってみるっす」


 意気が、衰えない。いや、むしろ燃えたぎっている。



 あの子達も、こうだったな



 スガモは、少しだけ、微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ