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使者

 時計が七時を打つと同時にアカトリエルが昨日言っていた双剣徒の使者が大聖堂に姿を現した。

 彼は女神像に忠誠の祈りを捧げるとすぐに待ちぼうけていたヴェントに歩み寄り、手を差し出す。

「タナトスだ。師の命を受けてお前を迎えに参った。ヴェント・エグリーズ…まず銀の(しるし)をいただこう」

「超長かったぜ。やっとだよ」

 タナトスを名乗る双剣徒に女神の紋章の入った銀のコインを手渡すと、彼はしばらくそれを眺めた後「確かに」と呟き懐の小さな袋に収めた。

「馬を用意してきたが…乗れるか?」

「まあ…何とか…でもなぁ………」

 ヴェントが不安な面持ちで振り向いたのは大きな荷物を肩からぶら下げるオランジュだった。

「その娘は私が一緒に乗せていく………来い」

 無感情な言葉に促されると二人は彼の後に従った。

 教会の裏口には言ったとおり二頭の馬が準備されていた。

「タナトスさん?」

 タナトスの前に座らされたオランジュは後方の男を見上げた。

「タナトスさんは怪我しなかったの?」

「肋骨が一本折れているだけだ。運がよかった」

 いとも簡単に吐き出す答えにヴェントが呆れた息を付く。

「肋骨って………あんたらタフだな」

「………私が前を走る。お前はこの光について来ればいい」

 タナトスの馬には赤い炎を宿す丸いランプがぶら下がっていた。

「はいよ」

 軽く返事を返すとヴェントは漆黒の闇の中を前の光りに習い馬を走らせた。


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