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初めての仲間

【前回の登場人物】

「ゴハート」

(種族)ゴースト

(年齢)9 ※転生してからの歳

(能力)人魂を呼び出す

(概要)カビ助のことを「マスター」と呼び、助ける。


 ……あれから数十分後。

 ゴハートの案内で、僕は無事にドドリ村に帰ることができた。

 彼も「トリ族」と同じく、空を飛べるのだ。上空からの視点で帰り道を確認していた。

 その結果、あの森はドドリ学園の裏山を超えた先ーー山麓に広がっていたことが分かった。


 二人で雑談をしながら、山道を登って村に帰還したのである。


「ゴハート……。君は、これからどうするの?」


 雑談のおかげで、彼との距離は縮まった。だからこそ、別れを意識した途端、胸が少し重くなる。


「その件なんだが、マスター。重要な話をしないといけない」

 ……やっぱり。

 幽霊は、この世界に長居できない……? そういう決まりがあるのだろう。


 僕が黙って見つめると…………ゴハートはーー

 舌を出してふざけたように笑った。


 …………⁉


「実はオレさ…………。元の世界に戻る方法が、分からないんだ!」


 ええ…………?  理解が追いつかない。

「なんでそうなるんだよ……?」


 いや。でも……それって……。


「つまり……これからも友達でいてくれるってこと……?」


「そうだぜマスター。だが『友達』なんて関係じゃない」

 ゴハートは笑った。


「ってか……帰れない幽霊なんて聞いたら、普通は笑うとこだろ? まさか、友達が他に誰もいないなんてことは……?」


 おいっ…………。その通りだよ!


 冗談のつもりだったようだが、彼は僕の沈黙を受け、表情を変える。


「…………悪かった、マスター。まずは、オレのことについて話そう……」


「別にいいよ……。話を続けて?」


 ゴハートはうなずいて、この世界に来た経緯を語り始めた。







 DR星には様々な種族が生活している。

 基本的に知られているのは「ヒト族」「ムシ族」「トリ族」「ドリル族」「スシ族」「ダーク族」「ライトモン族」の七種だ。

 しかし、この世界とは別の次元、つまり()()()()()()()()()()にもまた、別の種族が存在しているそうだ。ゴハートはその一つ、「ゴースト族」だ。

 本来、別次元の存在がこちらの世界に来ることはない。……しかし、何らかの能力で呼び寄せることは可能だという。





「ということは……僕が君を、呼び寄せたの⁉︎」


「そうさ。『ヒト族』の能力は『自身の何かを巨大化させること』と聞いた」


 彼はまっすぐと僕を見つめる。

「おそらくマスターは自身の『感情』を無意識に巨大化させた。『生きたい』という感情の巨大化……それがオレを呼び寄せたんだ」


 胸がちくりと痛んだ。

「じゃあ僕のせいで……。ごめん…………」


 僕が謝罪すると、彼は明るく振る舞う。

「ああ……いや、マスターは悪くないぜ。悪いのは戻る方法を覚えていないオレの方だからな……」


 そして、少しだけ声を落とす。

「それに、仮に戻ることができたとしても、まだ戻るつもりはない」


「え……? なんで……⁉︎」


「マスターは孤独すぎる」


 ……直球だった。


「マスターは、『生きたい』という感情でオレを呼び寄せた。だが今のままの状態では、身体より先に()()が病に侵される……。それを止めるのが、召喚されたオレの役割だからだ」


 ゴホっ、ゲホっ……。急に、現実を突きつけれた。


 つまりーー

 僕が他人との関係を作りあげ、満足して()()()ことができるようになるまでは、ゴハートは帰る事はできない。呼び出しの仕組みはよく分からないけど、そういうものらしい。


 責任、重大……。そんなの無理だ。


「わかったよ。少し……考えさせて」

 ドリあえず出した、現実逃避の言葉だ。


 その時、ゴハートはふと何かを思いついたかのように言う。


「そうだ……。ヒントが欲しいなら、マスターの家族に聞いてみるといい」


「……は?」

 一瞬、頭が真っ白になる。


 何を言っているんだ、こいつは……!

 現実を突きつけられた直後なのも作用し、その言葉に腹が立った。


「僕に家族なんていない‼︎ 一人っ子だし、母さんは物心つく前に死んだ。それに、父さんだって……四年前、死んだんだ‼︎ ()()()()()とでも……⁉︎ 」


 ……あ!

 言ってから、気づいた。


 ゴハートは静かに言う。

「そう。あんたにはオレがついている」




 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎




 ……死人に会える技「仮想蘇起(ゴースト・ヒストリー)」。

 その条件は、死人の肉体や遺骨などが近くにあること。というわけで僕らは、帰宅よりも先に「ドドリ村」の墓地へと向かった。


「一応言っとくが、この技で会えるのは一人につき数分だけだ」


 ゴハートが真剣な声で言う。

「これが親父さんに会うラストチャンスとなるが……良いんだな、マスター?」


「…………うん」

 覚悟はもうできてる。


 墓の前で、手を合わせる。

 この文化は、DR星が日本と貿易をしているからこそ伝わったものであり……その日本もまた、別の国から学んだ文化であるそうだ。


 命のように、文化もまた脈々と伝わっている。


「いくぞ、マスター。『仮想蘇起(ゴースト・ヒストリー)』!」

 パァァァ……!

 まぶたの奥で、光が弾けた。


 ーー僕は目を開ける。

 お父さん、話したいことがいっぱいあるんだ。


 目の前には懐かしい背中が……


 ーーあると、思っていた。


「誰も、いない…………?」


 隣を見ると、ゴハートが頭を抱えて塞ぎ込んでいる。


「失敗した……? いや、違う。この手応えは……!」


「ゴハート? お父さんには……ゴホっ、会えないの……?」


 僕が問うと、彼はこちらを向いた。

「聞いてくれマスター。おそらくこの墓地には……」


 ゴハートは青ざめ、低く呟く。

「遺骨が、ひとつも残っていない」


「え………………?」


 僕は激しく動揺する。

 つまり、お父さんに会うことはできない……? ヒントなしでこれから……。


 いや、そんなことはさほど重要ではない。頑張れば自力でどうにかできる問題だ。


 一番の問題はーー


「誰かが……父さんの遺骨を盗みやがったってことか……‼︎」

 怒りが、溢れる。


 そんな時、ゴハートが肩に手を置いた。

「落ち着け、マスター」


「こ……こんな状況で、落ち着いてられるかよ!」


「……オレは、あんたの使い魔だ。あんたが()()()ためならどこだって行く。だから……」


 青白い炎が、静かに揺れる。

「マスターが親父さんと会えるよう、一緒に犯人から遺骨を取り戻そう!」



「はっ…………‼︎」

 その言葉に、僕は正気に戻る。


 今の僕は、一人じゃないのか。感情のままに動いては、彼に迷惑だ。


「ありがとう。でも使()()()はやめてくれ」


「でも()()ってわけにもいかない。いつかは消える存在なんだから」


 いなくなるから友達じゃない、というのも変な話だが……。

 僕の(しもべ)であると覚悟を決めた彼は納得しないだろう。


 だから……言葉を選ぼう。


「僕らは……志をともにする、()()だ!」



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