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自業自得

【前回の登場人物】

「焼機灼鬼」

(種族)トリ

(年齢)47

(能力)炎の翼

(概要)炎鳥組の首領。


「波奇羽鬼」

(種族)トリ

(年齢)31

(能力)氷の翼

(概要)アイス一族の首領。


「武危夢鬼」

(種族)トリ

(年齢)42

(能力)剛の翼

(概要)剛力会の首領。

************************************************



 青白い光はやがて真っ赤な心臓になり、その周りを真っ白な布が包み込んでいった。この浮遊感。見た目は人間でも、生きていると思えない違和感。


 まさか……いや、間違いなく“幽霊”だ。



 そして、その“幽霊”は僕に向けて語りかける。


「助けに来たぜ、()()()()!」

「え……?」


 死が僕を迎えに来た……? 

 いや、でも「助けに来た」って言ってるし……。


「君は、一体…………?」


 僕が問うと、幽霊はすぐに答える。


「オレの名は『ゴハート』。簡単に言うと、あんたの能力で呼び出された存在だ」


 ——意味がわからない。

 僕の能力は『ツルピカフラッシュ』だけのはずだ。


 それ以外の“何か”なんて……? 


 けれど。今は、分からなくていい。

 目の前の存在が、生き延びるための唯一の“希望”だ!




 武危夢鬼はそんな彼を睨みつける。


「なんだテメェは……? 俺たちの邪魔をする気か?」

 その気迫に、空気が震える。


 喜んでいる暇はないな。彼らは再びこちらに襲ってきた。



 だが、少しだけ希望が見えた……。

 今の僕の戦う理由なんて、それだけで十分だ!


「『ツルピカフラッシュ』!」

 ピカっ‼︎


 僕は前述の能力、頭部の輝きを増加させる力を使用。

 奴らの視界を奪う。


「っっ……また光か!」


 視界を塞いだ隙をつき、脱出を計る。巨大樹の出口は、覚えている。


 ——だが。

 出口の前に、アイス一族が立ち塞がっていた。


 分厚い氷の板を構え、光を正面から受け止める構えだ。


「あなたたちの光は、すでに対策済みです。 武危夢鬼さんのようには、いきませんよ」


 ……まずい。あれほどの氷に光を当てれば、反射して自滅する。


「くそ……! 力じゃ勝てない……どうすれば……!」



 その時。絶望が重なって襲う。


 背後から、足音。嫌な予感が、確信に変わる。



「カビ助。 悪いが……お前を逃すわけにはいかない」



 振り向けば、炎鳥組。

 ——裏切り者たち。


「ファイアブル……っ!」

 怒りが、胸を焼く。

「僕は……お前たちを、許さない……‼︎」



 前には氷の壁。後ろには裏切り者。横には、怒りに燃える格闘家。

 ——八方塞がり。無理だ。


「結局、変わらなかったのか」


 幽霊一人の力だけで、この状況は…………

 いや。

 そういえば……あいつは、どこに行った?



 その瞬間。

 上空から声が降ってきた。


「諦めるのはまだ早いぜ、マスター!」



 彼は、空を自在に飛び回っていた……!?


「……君は! なんでそんなところに⁉︎」

「『ゴースト族』なんだから、当然だろ? マスターが時間を稼いでくれたおかげで、準備は整った!」


「準備……?」

 空中で、彼は自身の胸に手を当てる。

「覚悟しろ、軽薄なトリどもめ‼︎」


 ——大技?

 ということは、この状況を……打開できるのか?


「希望……。僕のおかげ、で?」


 胸の奥に、熱が灯る。

 よかった……。僕の勇気は、無駄なものじゃなかった! 


 初対面の幽霊に主人(マスター)と呼ばれるのは慣れないが……


 ゴハートが叫ぶ。

「『仮想蘇起(ゴースト・ヒストリー)』‼︎」


 そうすると、空間には無数の青白い炎が浮かび上がった。


 ……人魂?

 本で見た記憶が、脳裏によぎる。


「また光の攻撃ですか……? 我々にはもう——」

 アイス一族が、言葉を止める。

「——いや、光じゃないですね。『炎』か」


 それを聞くと、炎鳥会が舌なめずりする。

「ならオレたちが食ってやる」


 三組織の連携は強い。

 光は氷に反射され、炎は炎に飲み込まれ、腕っぷしでは剛に勝てない。


 それでも。


 奴らみたいな外道じゃ、ゴハートの技はきっと防げない!

 ——そう、信じた。



 すると。

 数秒後には——人魂たちから、声が溢れ出す!



「許さない……」

「よくも、僕たちの家族を……!」

「お前らのせいで、一族は滅んだ‼︎」

「うちは奴らに燃やされた」

「俺は氷で生き埋めに……」

「私は降参したのにひたすら殴られた!」

「森から出ていけ……!」

「消えろ‼︎」

「復讐してやる……!」


 空間が、怨嗟(えんさ)で満ちる。

 どうやらこれは、死者の声を届ける技。


 だが、声だけじゃなかった。

 人魂たちは、確かに()()()()()()

 奴らを焼き、蝕み、絡みつく。


 声だけじゃない……? 実体がある……⁉︎


「『仮想蘇起(ゴースト・ヒストリー)』は通常、一瞬だけ死者と会話できるだけの技だ」

 ゴハートの声が低くなる。


「戦いに使うものじゃねえ。だがな……!」

 同時に、彼らの炎が激しさを増す。

「お前たちは無駄な殺生をしすぎた」


 その炎は特殊なのか……炎鳥会でさえも、防げていない。


「ぐっ……!」

「くそぉ……」


 断末魔が、重なる。

「「「ちくしょぉぉぉぉおおおお‼︎」」」


「……自業、自得だな」

「ありがとう、今のうちに逃げよう……!」


 こうして僕は……

 不思議な幽霊と共に、命からがら……脱出に成功した。



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