表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/41

ドメスティック・バイオレンス

【前回の登場人物】

「おっ3のクローン」

(種族)ヒト

(年齢)43 ※生前

(能力)頭部の輝きを巨大化させる

(概要)カビ助の父親にして、ジェムの師匠……だった男の複製体。


 僕の胸の奥がじわりと熱を帯びた。かつて無いほどの怒りだ。

 クローンを作るダークスター団……。まさか、死者までも弄ぶとは。


「マスター……!」


 ミツバが僕を心配して声を漏らした。大丈夫だよ、ひとまずは。


「おい、ジャック……。前々から思っていたが、お前たちはどうやってクローンを作っているんだ?」


 奴は興味のあることしか答えない性格。だがジャックは答える。つまり……僕の怒りを買うような内容ってことか。


「うちのボスの御力さ。遺伝子が欠片でもあれば……その分だけ生み出せる」


 やはりそうか。つまり遺伝子の入手源は……。


「つまり、父さん達の遺骨を盗んだのは……!」


 ついに真相に辿り着いた。犯人は、こいつらだった。だが分かったところで、気分は当然晴れやかではない。

 これが真相……と思った。しかし僕らの会話を聞いて、ミツバは疑問を述べる。


「遺骨は……火葬の高温で、全ての遺伝子情報を失うはず。その説明では納得がいかないわ……!」


 そう……なのか? まあ、言われてみればそうだ。

 あれ、じゃあ本当に、なぜ遺骨からクローンが作れたんだ? 遺伝子が残るのは、土葬もしくは手の抜かれた火葬くらい。


 火葬したら…………火葬…………コストのかかる葬儀…………まさか!?

 ドドリ村は、学園にほとんどの資金を費やしているド田舎だ。


「オレたちは田舎村が大好きだぜ……! 手の甘い火葬、何なら土葬なんかもあって素晴らしい‼︎」


 あ…………! やっぱそうだったのか。こいつら、どこまで人の道を……!?


「マスター……⁉︎ お義父様は、まさか遺骨じゃなくて……?」


 ミツバの唐突な問い。僕は四年前を思い返す。

 そういえば僕は……当時、お父さんの死が受け入れられなくて、葬儀には立ち会わなかったっけ……?


 これは、まずい状況かもしれない。

 ドリあえず僕は真相を知らない。故に黙り込んだがジャックが答えた。


「ああ……綺麗〜なご遺体だったぜぇ?笑」


 やはり……土葬!

「ゲホっ! ゴホッ!!」


 僕の持病はこの衝撃をトリガーに、再び酷くなった。

 ミツバがこちらに駆け寄ろうとすると、ジャックは一息整えて叫んだ。


「さあ、おしゃべりタイムはここまでだ! 絶望を味わう時間だぜぇ! ギャハハハハハ‼︎」


 彼の合図とともに、父さんのクローンが僕らに向けて攻撃を仕掛けてくる。


『ツルピカフラッシュ』


 ビカッ!

 失明しそうな眩しさ。僕のような模造品よりも、ずっと強い。流石というべきか。そして、持病による頭痛と咽頭痛も相まって、苦しさは尋常ではなかった。


「ああああああああああああああ!!!!!」


「マスター‼︎ あたしが今、助けて……、あ……いや……お義父様…………?」


 ミツバは僕の父のクローンを、攻撃することはできなかった。

 彼女は僕のことを何でも知ってくれていた。だから当然、僕にとってお父さんがどれだけ大事か、誰よりも、つまり僕よりもずっと理解している。でもこいつはクローンだ……容赦はいらない……スライム博士の時のように……!


「ガハッ! ミツバ……大丈夫……僕が、今、自分で……!」


 僕は懐からダガーを取り出す。そして死に物狂いで何とか目を開き、()の方に狙いを定めた。


「あ……」


 先ほどは背中しか見えなかったが……正面から見ると、改めて懐かしさが込み上げてくる。

 特徴的な頭のマーク。加齢により目立ってしまう禿頭。僕とそっくりな濃い眉毛。そして、優しい瞳に格好良い口髭。

 ………………無理だ。

 僕はダガーをギュッと握りしめた。同時に流れる大粒の涙。


 ドカっ! バキッ!

 僕らの想いとは裏腹に、敵は攻撃をやめてはくれない。


「痛い……痛いよ……お父さん……やめて……!」


「マスター……うう……どうして……こんなひどいこと……」


「ギャハハハハハ! 愉快愉快。二人して逆らえないとは、やはりお前ら、最高に馬鹿だぜ!」


 ジャック……あの屑野郎、許せない。いや……こんな幼稚な言葉では物足りない。僕らの痛みが理解できないなんて、現実主義者(リアリスト)という評価は撤回すべきか。

 だが……罵詈雑言を飛ばす元気も脳も残っていなかった。


 ……いや待てよ。

 あいつを殺せば……司令塔を失い、お父さんは止まるのではないか?


 人を、可愛らしい子熊を、殺す……。

 いや……今は、そんな理想論並べている場合じゃ無いか。屑一人殺したところで、神は許してくれる。

 うん、そうだ。あいつは人の心を弄んだ。僕は許さない。くたばれ、もう。死ね。


「ジャックぅぅうううう!!!!!!」


 僕は限界に近かった身体を怒りで無理矢理動かし、ダガーを笑い続ける屑へと投げた。


 今日は運がいい……。完璧なコントロールだった。奴の心臓ドストライク。

 は……? 運が……いい? 笑わせるなよ、こんな絶望で……はは……ははは……。


苦しい展開。



ゲホっ…ゴホっ…! 「ブックマーク登録」「いいね」「評価」を頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ