ドメスティック・バイオレンス
【前回の登場人物】
「おっ3のクローン」
(種族)ヒト
(年齢)43 ※生前
(能力)頭部の輝きを巨大化させる
(概要)カビ助の父親にして、ジェムの師匠……だった男の複製体。
僕の胸の奥がじわりと熱を帯びた。かつて無いほどの怒りだ。
クローンを作るダークスター団……。まさか、死者までも弄ぶとは。
「マスター……!」
ミツバが僕を心配して声を漏らした。大丈夫だよ、ひとまずは。
「おい、ジャック……。前々から思っていたが、お前たちはどうやってクローンを作っているんだ?」
奴は興味のあることしか答えない性格。だがジャックは答える。つまり……僕の怒りを買うような内容ってことか。
「うちのボスの御力さ。遺伝子が欠片でもあれば……その分だけ生み出せる」
やはりそうか。つまり遺伝子の入手源は……。
「つまり、父さん達の遺骨を盗んだのは……!」
ついに真相に辿り着いた。犯人は、こいつらだった。だが分かったところで、気分は当然晴れやかではない。
これが真相……と思った。しかし僕らの会話を聞いて、ミツバは疑問を述べる。
「遺骨は……火葬の高温で、全ての遺伝子情報を失うはず。その説明では納得がいかないわ……!」
そう……なのか? まあ、言われてみればそうだ。
あれ、じゃあ本当に、なぜ遺骨からクローンが作れたんだ? 遺伝子が残るのは、土葬もしくは手の抜かれた火葬くらい。
火葬したら…………火葬…………コストのかかる葬儀…………まさか!?
ドドリ村は、学園にほとんどの資金を費やしているド田舎だ。
「オレたちは田舎村が大好きだぜ……! 手の甘い火葬、何なら土葬なんかもあって素晴らしい‼︎」
あ…………! やっぱそうだったのか。こいつら、どこまで人の道を……!?
「マスター……⁉︎ お義父様は、まさか遺骨じゃなくて……?」
ミツバの唐突な問い。僕は四年前を思い返す。
そういえば僕は……当時、お父さんの死が受け入れられなくて、葬儀には立ち会わなかったっけ……?
これは、まずい状況かもしれない。
ドリあえず僕は真相を知らない。故に黙り込んだがジャックが答えた。
「ああ……綺麗〜なご遺体だったぜぇ?笑」
やはり……土葬!
「ゲホっ! ゴホッ!!」
僕の持病はこの衝撃をトリガーに、再び酷くなった。
ミツバがこちらに駆け寄ろうとすると、ジャックは一息整えて叫んだ。
「さあ、おしゃべりタイムはここまでだ! 絶望を味わう時間だぜぇ! ギャハハハハハ‼︎」
彼の合図とともに、父さんのクローンが僕らに向けて攻撃を仕掛けてくる。
『ツルピカフラッシュ』
ビカッ!
失明しそうな眩しさ。僕のような模造品よりも、ずっと強い。流石というべきか。そして、持病による頭痛と咽頭痛も相まって、苦しさは尋常ではなかった。
「ああああああああああああああ!!!!!」
「マスター‼︎ あたしが今、助けて……、あ……いや……お義父様…………?」
ミツバは僕の父のクローンを、攻撃することはできなかった。
彼女は僕のことを何でも知ってくれていた。だから当然、僕にとってお父さんがどれだけ大事か、誰よりも、つまり僕よりもずっと理解している。でもこいつはクローンだ……容赦はいらない……スライム博士の時のように……!
「ガハッ! ミツバ……大丈夫……僕が、今、自分で……!」
僕は懐からダガーを取り出す。そして死に物狂いで何とか目を開き、敵の方に狙いを定めた。
「あ……」
先ほどは背中しか見えなかったが……正面から見ると、改めて懐かしさが込み上げてくる。
特徴的な頭のマーク。加齢により目立ってしまう禿頭。僕とそっくりな濃い眉毛。そして、優しい瞳に格好良い口髭。
………………無理だ。
僕はダガーをギュッと握りしめた。同時に流れる大粒の涙。
ドカっ! バキッ!
僕らの想いとは裏腹に、敵は攻撃をやめてはくれない。
「痛い……痛いよ……お父さん……やめて……!」
「マスター……うう……どうして……こんなひどいこと……」
「ギャハハハハハ! 愉快愉快。二人して逆らえないとは、やはりお前ら、最高に馬鹿だぜ!」
ジャック……あの屑野郎、許せない。いや……こんな幼稚な言葉では物足りない。僕らの痛みが理解できないなんて、現実主義者という評価は撤回すべきか。
だが……罵詈雑言を飛ばす元気も脳も残っていなかった。
……いや待てよ。
あいつを殺せば……司令塔を失い、お父さんは止まるのではないか?
人を、可愛らしい子熊を、殺す……。
いや……今は、そんな理想論並べている場合じゃ無いか。屑一人殺したところで、神は許してくれる。
うん、そうだ。あいつは人の心を弄んだ。僕は許さない。くたばれ、もう。死ね。
「ジャックぅぅうううう!!!!!!」
僕は限界に近かった身体を怒りで無理矢理動かし、ダガーを笑い続ける屑へと投げた。
今日は運がいい……。完璧なコントロールだった。奴の心臓ドストライク。
は……? 運が……いい? 笑わせるなよ、こんな絶望で……はは……ははは……。
苦しい展開。
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