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襲いくる強敵・Ⅱ

【前回の登場人物】

「モグドン」

(種族)ドリル

(年齢)24

(能力)鼻をドリルに変形

(概要)探検隊の地中班長。高速で人の通れるサイズの穴を掘る。


 僕たちは「人間の石化」という恐ろしい現象を信じられずにいた。

 だが、この石像達が本当に元々「ラッシャイタウン」の人々であったなら、急いで解決しなければならない。


 そう思って街へと足を踏み入れるやいなや、ドラゴンマスクさん……隊長の声が上空から聞こえた。

 元々は、フルーツの森での事件を報告する予定だったし、手間が省けてありがたい。

 一体この人は何手先まで見えているんだ……?


「スライム博士! 君たちは無事だったか‼︎」


 それにしても、人が空を飛べるという現実にはまだ慣れない。


「我々はたった今、帰還したところです」

「それより何だよ、この状況!」

「隊長の方こそ、よくぞご無事で……!」


 僕たちは喜んで隊長を迎えようとしたが、彼は少し微笑むとすぐに真剣な顔を作った。


「緊急事態だ。挨拶はこの程度にして、状況を説明するよ」


 それを聞くと博士もすぐに答える。


「了解。まあ、だいたいのことは察しています。『石化事件』でしょう?」


 …………! 切り替えが早いな。

 隊長もそうだが、博士も。先ほどの会話で部下へと弱音を吐いて、心が辛いはずなのに今はそんな面影はない。世界の平和を追い求める『探検隊』の幹部として……、最善を尽くそうとしている。

 これが、一人前の探検家……!


「いや、私たちの知る『石化事件』とは少し状況が違う。今までは、我々が来た頃にはその場の人々が全て石像に変えられていただろう? だが今回は……ラッシャイタウンの人々が南から北へと、()()()()石化されていったんだ」


 なるほど……? でもそれの何が問題なんだ?

 この程度の問いで口に出すと会話に水をさしてしまいそうで、黙ることにした。

 それにしても、隊長自ら僕らを探しに来るってことは……もしかして、拠点にいたメンバーはみんな石化したってことなのか? 本来なら隊員の統率に忙しくて飛び回る暇はないはず……!


 もしも残る隊員が僕らだけなら、とんでもない責任じゃないか⁉︎

 僕がそのように不安がっていると、博士は隊長に進言する。


「今は人手不足でしょう。彼らにも、分かりやすく説明しましょう」


 え…………? 博士……⁉︎


「すまない、確かにそうすべきだったね。カビ助くん達にまで気が回らなかった」


 隊長が博士の言葉にうなずいて、突然こちらを見つめる。


「い、いえ隊長。僕らは指示だけを貰えれば十分です! そんな無駄に時間を……」


 博士の進言が余計だったというわけではない。ありがたい配慮だ。しかしそれ以上に、隊長に迷惑をかけたくなかったのだが……。


「いいやカビ助くん。私は別にそこまで褒められた人間じゃないんだ。歳だって君と四つほどしか変わらない未熟者さ。だからこそ緊急事態では焦って君らのことを思いやれなかった……だろう? だから、気になることがあるなら気軽に質問してほしい。引きこもっていた君には難しいことだろうけど……我々は遠慮はいらないよ」


 隊長は優しい声でそう述べた。

 この人は本当に……僕の気持ちを良くわかってくれている。()()()だと言われましたが、僕からすればその歳で、ここまで思いやりの強い人は本当にすごいんです……!


 僕が感動していると博士が釘をさす。


「モルモットくん、返事は?」


 あ、ああ、そうでした、そうでした。会話の途中でした。

 僕は咳払いして、隊長へと疑問点を伝える。これでいいんですね。


「分かりました! では事件の違いによる重大性を聞かせてください!」


 隊長は僕の言葉に微笑んで、答えようとしてくれた。だがその時……!


 ビュンっ!


 あ……ぶなっ! 探検で自然と鍛えられていた反射神経でなんとか躱せたけども……!

 この展開、見覚えがあるぞ。


「この斬撃は……⁉︎ まさか!」


 僕がそう叫ぶと、住宅の影から声が聞こえる。


「そのまさかだ」


 低い声。どす黒い甲冑に、鋭い刃。忘れもしない。()()だ……!

 いや、それだけじゃない。よく目を凝らして見ると、隣にもう一人……いる?


「ゲホっ。よりによってこんな緊急事態に……!」


 敵を確認すると、スライム博士は素早く僕の前に立ち、冷静に話す。


「カビ助くん。先ほどの質問の答えですが……人々が徐々に石化している……ということは、石化の原因は自然現象でも巨大な兵器でもない。()()()の能力ということです」


「何者か……? 武蔵……あいつの仕業ってことですか⁉︎」


 僕がそう問うと、博士の代わりに隊長が答える。


「いいや、奴は『ヒト族』だ……。そんな能力はないはず。だからおそらく……」


「隣にいる、あの女の仕業ってことだな……⁉︎」


 ゴハートが言った。


 女……⁉︎  本当だ。今の言葉でやっと気づいた。

 武蔵の隣にいる女は……緑のブラウスを着てスレンダーな体型を際立たせており、誰の目にも美人だと感じざるを……。いや、何を考えているんだ、僕は。

 目を覚ませ、彼女は敵だ……。それに身体は美しくても、首から上は醜いと言わざるを得ないじゃないか! 目つきは鋭く……何より、髪から蛇が生えている⁉︎ 石化能力があっても不思議じゃない、化け物だ。


「ふふふ……自己紹介から始めましょうか?」


 化け物女が突然語り始めようとする。しかし武蔵がそれを遮る。


「おい、お喋りよりも()()が先だろう……!」


 おっと、仲間割れか……?

 その言葉に反応し、隊長も僕らに指示を出す。


「……武蔵の相手は私がする。君らは女の方を頼むよ」


「はい……!」


 それだけ言い残して隊長は武蔵の元に駆け出して行った。

殺し屋に、空間転移に、クローンに、石化。敵の力は絶望的です。



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