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モグラとモルモット

【前回の登場人物】

「スライム博士のクローン」

(種族)ライトモン

(年齢)22

(能力)体の変形

(概要)『ダークスター団』により創られた。森を汚染した元凶。


「謎の子熊」

(種族)?

(年齢)6

(能力)空間転移

(概要)スライム博士のクローンを連れて森を襲った。


「この辺りで山賊に襲われたのがもう一週間前のようだぜ……」

「ゴホッ! あの時は博士の『どこでも落とし穴』のおかげで助かりましたよ……」

「班長として部下を守るのは当然です。感謝はいりません……」


 そうして僕らが帰路について数時間が経過した。

 観光、調査、戦闘、治療。今回の調査は本当にいろいろあった。その直後に休憩する暇もなく、歩き続けているのだからみんな身体に疲れが溜まってきている。あの時のぶどうが恋しくなってきた。


 ボコっ!


 そんな時、地中から音が聞こえた。まさか……あの時の山賊が⁉︎

 ゴハートも咄嗟に身構える。


「くっ……しつこい奴らめ! もう一度人魂を喰らいたいようだな⁉︎」


 だが違うようだった。スライム博士が彼を制止させ、地中に向け語りかけた。


「やはり来てくれましたか……。助かります、モグドンさん」


 ボコボコボコっ!!


 博士の声を聞くと先程音のした位置から、何者かが現れた。この人は確か……!


「よお、博士。状況を聞かせてもらおうじゃねえか」


 思い出した。彼は「探検隊」の地中班長さんだ。

 筋骨隆々としたドリル族の男性で、怖そうな雰囲気がある。そのせいか、入団式の時に一度見かけただけでも見た目は印象づいていた。


 どうやら探検隊には定期連絡システムがあり、それに僕らの連絡がつかなかったことでトラブルがあったことを察して来てくれたようだ。

 本当にしっかりした組織だな。


「把握した。そのフルーティア達の搬送は俺らに任せて、あんたらは隊長へ詳細を報告してくれ」


 僕らより少し離れた位置で、二人の班長はすでに話をつけたようだ。


 この段階で彼らを運んでくれるとは……!

 感謝してもしきれない。僕らが隊長に報告してから彼らを搬送するのには、最速だとしても相当な時間を要する。地中班のおかげで、彼らを救える可能性はグッと上がっただろう。


 そしてモグドンさんは別れ際、僕ら二人に向けて微笑んだ。


「今回の調査、ご苦労だったな。こいつ……博士は本当に面倒くさい性格だから、これからも頼むぜ」


「ははは……はい! ありがとうございました‼︎」




 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎




「君たちには……本当に申し訳ないことをしたと思っています…………」


 それから数分後、スライム博士は歩きながら僕たちに言った。

 何だか今までに見たことのない、しおらしい雰囲気だった。とても自称マッドサイエンティストの放つ空気ではない。


「ちょっと……? どうしたんですか、いきなり!」


 モグドンさんに事情を報告した時、何か言われたのか? 僕たちは何も気にしていないのだけど。


「今回の事件は、新入りには厳しいレベルの調査でした。まさか『ダークスター団』がワタシのクローンまで創っていたなんて……。班長として、慎重になるべきだったはずでした……」


 まあ、実際危なかったけど……何とかなったし……

 僕たちがやらなきゃ……フルーティア達はもっと深刻なはずだったから……


 僕は博士をフォローしたかったが、うまく言葉にできない。


「らしくないじゃねえか、博士。俺たちは実験台じゃなかったのかよ?」


 そんな時、声をあげたのはゴハートだった。彼の声は絶望の雰囲気でもはっきりと届く。


「いや、しかし……」


 博士がまだ暗い雰囲気を醸し出す中、ゴハートは彼の肩に手を置いた。

 まあ、とても上司に対する態度とは思えないけど……笑  そんな彼だからこそ、心に響くのだろうな。


「確かに、あんたは()()としては間違っているかもしれない。……だけどな、『探検隊の班長』としては最適な行動をしたはずだぜ? 何せ、この件でマスターがまた一つ、成長できたんだからな!」


 ゴハートは僕に向けてもニッと笑う。それを聞いた博士は感銘を受けていた。


「そうか……。私は、マッドサイエンティスト失格です。上司としての一線を越えないように一人で塞ぎ込んでしまいましたが……情けない姿を見せてしまっては、下が育たない。だから君らに敬意を込めて、これからもあえて呼ばせてもらいます。『モルモット』と……」


 博士はその言葉を最後に、元の雰囲気へと戻り、前を見て歩き出した。

 しおらしい博士はレアだったけど、やっぱり上司としての彼はMADの方が合っている。


 すごい、かっこいい……!


 ゴハートの言葉で、博士は再び立ち直ることができた。

 僕にはできないことだ。


 いつか、彼の……仲間の手を、借りなくても一人前になれるようになりたい。








 勇気は出せてもまだまだ未熟な僕は、ドリあえず近況を報告する。


「あ、見てください! もうすぐラッシャイタウンに着きますよ……?」


「ああ、もうそんな時間か……ってあぁ?」


 僕の先を歩いているゴハートが気の抜けた声を出した。何があったんだ?


「モルモットたち、一旦離れて……」


 その反応を見てスライム博士は何かを察したのか。僕らの前に出て、改めて状況を確認する。


「これは……‼︎」




 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎




 ……そう、ここはラッシャイタウン。それは間違いないのだが。


 …………様子がおかしいのだ。

 賑やかな都会の雰囲気は微塵も残っていない。


 しかし、大勢の人の群れは残っている。

 ただしそれは…………‼︎


「街に、()()()()がたくさん……?」


 一体何が起こっているんだ。こんな量が突然湧いて出るはずがない。

 芸術家のイベント……なわけないよな?


 博士は何か心当たりがあるようで、震えた声で言った。


「ただの石像じゃない……見覚えがあります。これは、ワタシたち探検隊の古株がこれまでに幾度となく調査してきた未解決事件……!」


 ゴハートと僕は、博士の言葉に唾をのむ。


()()()()()です」

初版ではフルーティアたちを放置したまま石化事件に突入していたため、モグドンさんには本来の設定よりも早めに出てきてもらいました。



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