表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/41

腐の侵食

【前回の登場人物】

「りんご隊長」

(種族)フルーティア

(年齢)10

(能力)りんごの生成

(概要)ドラゴンマスクを尊敬する子供達、「果霊隊」の隊長。


 しばらくすると博士は、引きつった笑いをしながら降りてきた。それも青ざめた表情で。


「……はは、ははは。モルモットたち、汚染の位置がわかりましたよ……」


「どうしたんです? 博士……」


「おい、まさか……」


「そのまさかです。ワタシたちが来た方向、つまり()()()()()()()が、ガスで覆われています……!」


 何だって⁉︎ そんな。僕たちが来たときはそんな気配、微塵も感じなかったのに……。

 だが、僕なんかよりもずっと動揺している人物がいた。


「……は? そ……んな……まさか『果霊隊』のみんなも……⁉︎」


 りんご隊長だ。彼はそれだけ言うと、全速力で集落の方向へ跳ね走った。


「落ち着いて、りんご隊長!」


 ……速い! 

 手足のない体なのに、あそこまでのスピードが出せるのか!


 僕も彼の気持ちはわかる。でも今は一人で飛び込んだら痛い目に遭う予感がする‼︎




 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎




 ……僕らは必死で追いかけたが、りんご隊長に追いつくことはなかった。

 いや、正確に言えば…………追いついた頃には、もう集落だった。


「みんな! 無事なのか⁉︎」


 ゴハートは平気そうだが、僕にこのガスは少々辛いかも。


「ぜえ……はぁ、ゲホっ、ゴホっ! 村中が……ガスだらけだ……!」


「マスター、あんまり吸いすぎるなよ⁉︎ 何が起こるかわかったものじゃねぇ……!」


 そんな状況の中でも博士は冷静に分析をしていた。


「それにしても……汚染されている割には、集落の人々は外に出ていますね……?」


 ……⁉︎ 本当だ。

 お世話になった長老さんに、『果霊隊』のマークをつけた子たちもいる。


 フルーティア族は、「汚染をもろともしない能力」でもあるのかな……?


「よかった! みかん隊員、ピーチ兵長! 早く逃げようぜ‼︎」


 りんご隊長は彼らにそう呼びかけつつ、手を引こうと駆け寄る。


 嫌な予感は気のせい……?

 僕がそう思っていると、スライム博士が突然自分の頭を叩き、叫んだ。


「そうか…………無事なはずがないじゃないですか! 離れなさい、りんご‼︎」


 博士の叫びが届くのは少し遅かった。彼らはりんご隊長に向け()()を吹きかける。

 ブシャっ!


「ぐぁ……! なん……で……お前ら……⁉︎」


「りんご隊長―――っ!」


 彼は仲間……いや、()()()姿()()()()()に毒を浴びせられていた。


「ふふふ……ふふふ腐ふふふふ腐腐ふふふ!」

「ふ……腐腐腐……」

「ふ腐腐ふふふふ腐腐腐ふふ!」


 いたるところから鳴り響く不気味な笑い声。それらは全て、あの優しかった村人たちだ。

 ……気づけば僕らは取り囲まれていた!


「また……絶望……! ゲホっ、ゴホっ……!」


「これは……一体どういうことだよ⁉︎」


 ゴハートがそう言うと博士は答える。


「おそらく……『フルーティア族』は()()()()()()()()()()()()()()()()でもあるのでしょう……。彼らが今まで安全な森以外には住みつかなかった原因は、これなのかもしれない」


「そんな……! じゃあ、りんご隊長もいずれ……⁉︎」


「どうにかならねぇのかよ⁉︎ 博士‼︎」


 僕らは激しく動揺する。

 スライム博士はしばらく考え込んだ後、彼の必死な呼びかけに応える。


「ワタシなら……三分さえあれば原因となった物質を元に、解毒剤が作れます。だから君たちには元凶を捕まえてきてもらいたい……! ワタシのモルモットなら、やれますね?」


 ゲホっ、ゴホっ! この包囲網を抜け出して、さらに原因をつきとめる……?


 そんなの無理だ。

 生き延びるだけでも精一杯のこの絶望的状況で……‼︎


 ……いや、無理なんかじゃない。「一人前の探検家」になるって決めたじゃないか‼︎


「くっ、僕は…………やってみせます‼︎」


 僕は決意を込めて、そう叫んだ。博士はうなずき、ゴハートは前に出る。


「マスター! …………よし、足止めは俺に任せてくれ‼︎」


「うん……! 頼んだよ、ゴハート‼︎」


「いいコンビですね……。よしモルモットくん、これを持っていきなさい!」


 なんだ……? 

 博士が手渡してくれたのは変な形の、口にフィットする黒い装備品。


「これは……ガスマスク! 助かります、博士!」


 僕は凶暴化したフルーティアたちの隙間を抜けようと、走り出した。


「ふふふ腐腐腐ふふふふ腐腐腐ふふ!」


「皆さん、ごめんなさい。『ツルピカフラッシュ』!」

「マスターの邪魔はさせねぇ! 『人魂シュート』!」



 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎




「はぁ、はぁ……。どこだ、元凶……!」


 ガスマスクをつけたまま走ると、こんなに辛いのか……!


 とっとと見つけて帰らないと、僕らも……何よりりんご隊長が危ない。


「でもどうしたもんかなぁ……。なんの手がかりもなく人探しなんて……」


 僕はドリあえず光で暗がりを照らしてみる。


 何か手がかりがあれば……。

 そんな時、僕はお父さんが昔言っていたことを思い出した。


『道に迷った時は、足跡を照らすといい。他人の足跡と混同してなければ、帰れるさ』


 その言葉を思い出した僕は、目の前の暗がりではなく、自分が来た道に灯りをともす。

 するとそこには……足跡が、二つ‼︎


「ありがとう、お父さん……! あなたとの短い日々は無駄じゃなかった!」


 今回の場合、迷ってるわけではない。元凶探しが目的だ。

 だから助言の解釈を逆に変えて、混同している()()()()()を辿ればいいのだ。









 明らかに僕のより大きい足跡を辿ってみると、開けた場所に出た。


「ここにいるんだろ⁉︎ もう観念しろ」


「…………」


 返事はない……。

 だが足音と共に、敵は姿を現した。


 …………! 二人組だ。


 一人は巨大な帽子を被った可愛らしい子熊。だが目つきは可愛らしいとは言えない。

 そしてもう一人は……黒い博士帽を被り、可愛らしい目に丸いジェル状の身体。


「え…………。スライム博士……?」

「腐の侵食」ってありそうですが造語なんですよね。



ゲホっ…ゴホっ…! 「ブックマーク登録」「いいね」「評価」を頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ